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妹は姉の後を追う

あれや、暇潰しに書くのが一番アイデアが浮かぶ。

「サクーヤ、紅茶プリーズ」


「かしこまりましたお嬢様」


「あ、悪いんだけど咲夜、私の分のもいい?」


「ええ、構いませんよ妹様。では少々お待ちください」


「おう。行ってきな」


「お姉様はいい加減紅茶淹れられるようになったらー?」


「何でよ、咲夜がいるんだから、問題ないわ」


「まあ、そうなんだけどねぇ」


「お待たせしました。紅茶です」


「いやー、相変わらず待てないよな。紅茶の到着を待つ時間ってのは至福なんだが」


「それは申し訳ございません。ところでそのアルバムのような物は……」


「アルバムで正解だよ。射命丸の奴がいっぱい送ってきやがったんだ」


「お姉様、写真写り悪いねぇ」


「同感ですわ。笑顔を作ろうとして作れず、凄い引き攣った顔になっている様はいつ見ても面白いものです」


「おぉい、軽く馬鹿にしてるだろう?」


レミリア、フラン、咲夜の三人が、紅魔館のとある一室で話している。


「あ、これ思い出すね〜。お姉様がカボチャのお化けのコスプレしてね……」


「フラン、あの時はめっちゃ辛辣だったよなぁ私に」


「そうかな?」


「そうだよ。こちとら最愛の妹に辛辣に接しられて死にそうだったんだからな」


「それはお姉様が構ってちゃんだからだっつの」


「いやね?私は構ってちゃんなんじゃなくて、フラン……お前に大きな愛情を注いでいるんだよ」


「どさくさに紛れて私の胸を触ろうとするな」


ドゴッ


「痛い!!」


「ふふふっ」


「今日は文お姉ちゃんも来る事だし、情けない格好はしないでよ」


「ありのままの姿でいる事が大事なんだよ、フラン」


「時と場合によるんだよね、その台詞」









「お邪魔しますよ、紅魔館の皆さん!」


「よく来たな射命丸。紅魔館の魅力を伝えるため、今日は存分に取材するといい」


「はい。ではみなさんの写真を撮らせていただきます!あ、フランさん、こちらに来て頂けませんか?読者からはフランさんが一番人気なんですよ。可愛らしいって評判ですよ」


「へえ、それは光栄だ」


フランが文の方へ歩いて行く途中、レミリアがフランの横に回転しながら移動して来た。


「当たり前だ。あのフランだぞ?可愛くないわけがない。仮に人間共からフランが可愛くないと言われたら、そいつの目を潰して新しくさせて、その重症を負った目を治してやりたいね


……な?フラン?」


「うざい」


「ガァァーーンッ……お、お姉ちゃんショックだなぁ」


「そんじゃ、館回っていこうか」


「はい!」


ショックを受けているレミリアを置いて、文とフランは行ってしまった。


「あっ、待たれい待たれい!咲夜、私達も行くぞ!」


「あっはい」









「美鈴ー、ちゃんと門番やってるー?」


「もちろんですよ!私が今まで門番業をサボった事なんてありましたか?」


美鈴は、自分の帽子を地面に置いて胡座をかいて座っていた。


「ふふっ、それもそうね。お客さんは前もって私が伝えるようにしないと、誰も通してもらえないし」


「まあ、魔理沙や霊夢は通しますけどね。知らない妖怪が来たら通しませんよ!」


「一回風見幽香と戦ってたね。思ってたよりいい勝負してたけど」


「あ、あの時は申し訳ありません…負けてしまって…」


「別にいいよ。私と咲夜の能力、知ってるでしょ?」


「…ま、まあそうなんですけど」


「まあ、私達は大丈夫さ。私としては美鈴、貴女が一番無理するからそれが心配なんだよね」


「…す、すみません」


「ん、怒ってるように見えたかな」


「え?違うんですか?」


「私は貴女を信頼してる。だからこそ、私の期待を裏切らないでほしいんだ」


「信頼、してる?」


「貴女は人の心をよく理解できる優しい人だからね。自分が死ねば、悲しむ人達がいるってちゃんとわかってる。


けどそれは貴女も同じで、その人達を守りたいから無理をする。そんなところでしょ?」


「……」


「私は自分を犠牲にしてまで守ろうとする人は大嫌いよ。…これからも頑張ってね」


フランが、地面に置いていた美鈴の帽子を美鈴に被らせた。


「約束よ」にこっ


「…はい!」


そんな二人の様子を、文は少し離れて見ていた。


「…フランさんの性格を記事にしたら、余計に人気が出そうだな」


−下手したら、レミリアさんよりもカリスマ性高いんじゃなかろうか


カシャッ







「こあ、文お姉ちゃんにお茶淹れてあげるから、道具ないかな?」


「あ、でしたら私が淹れますよ!妹様は座って待っていてください!」


「そう?ありがとうね、こあ」


「いえ!」(妹様に頼られた!嬉しい♪)


小悪魔がとても張り切ってお茶を淹れに行った。


「わざわざすみません」


「ううん、それを言うのならこあに言ってあげて。それより、パチュリー。文お姉ちゃんが図書館の写真を撮りたいって言ってたんだ。撮っても大丈夫かな?」


「ええ、いいわよ。貴女の新聞は好評だからね」


「ありがとうございます。では、撮らせていただきますね!」


「お茶をお持ちしました!」


「ありがとう、こあ。せっかくだし少し仕事手伝おうか?」


「え?いいんですか?」


「よしきた!任せといてよ」


「じゃあ、お願いします!まずはこの本の山を片付けなきゃ…」


「了解!行こう」


フランが小悪魔と共に本を直しに行った。


「…いい人ですね、フランさん」


「そうでしょう?あの人柄のせいか、紅魔館内でもものすごい人気者でね。別にアイドルでもないのにファンクラブなんかもあるのよ。この前聞いたら、何でもない日に妖精メイドからプレゼントをもらったらしいわ」


「へえ、そんなに。……まあ……」


文の目に、小悪魔が本の重さで体勢を崩しそうになったのをフランが支えている様子が目に映った。

二人共、とても楽しそうにしていた。


「私も、そのファンの一人かもですね」


カシャッ







「フラン、私の部屋を撮ろうとするのはやめてくれないかしら」


「別にいいじゃん。ね?」


「ね?って言われても…!」(くそ…可愛い。可愛いぞ!!)


「ていうかお姉様、素に戻ってる。ふふっ」


「…な、何だよ。この喋り方の方がいいのか?」


「ふふっ、別に?けどその方がまだ威厳があるかもね」


「っか〜〜!辛辣だなぁフランは!」


「あははは!」


「…随分、仲がよろしいんですね」


「当たり前だろう。私達は姉妹だぞ?」


「それもそうですね。では、お二人のツーショット写真を一枚…」


「だってよ、お姉様」


「ヘーイ!カモンカモン!」


「そ、それは撮ってよろしいって事ですよね?では、撮りますよ!」


カシャッ








紅魔館の屋上にて、フランと文が二人きりで話していた。

フランは、屋上の塀に凭れかかって、紅魔館の庭にいるレミリアとパチュリー、美鈴、小悪魔、咲夜達の様子を見ていた。


「…混ざらなくていいんですか?」


「いいよ。今はちょっと仕事した後で疲れてるから」


「…!」(そういえば、フランさんは図書館だけじゃなく咲夜さんの仕事も多少手伝っているらしいな)


「咲夜は凄いよね。いっつもこんなに疲れる事をしてるのに、あんなに元気に遊べるなんて」


レミリア達は、ダーツと同じ要領でナイフ投げをして遊んでいた。

レミリアが、うっかり手からすっぽ抜けて美鈴に刺さりそうになったナイフを時止めで防いでいた。


「全くお嬢様は…危ないでしょう?もっと注意してください!」


「い、いやー、すまんぼうすまんぼう」


「反省してますか〜…?」


「してるしてる!注意するって!ほんと許して!」


文は、レミリアの様子を見て若干呆れてしまった。


「…フランさん、貴女はご自身の姉についてどう思いますか?」


「突然どうしたの?」


「まあいいじゃないですか。答えてくださいよ」


「……んー、そうだなぁ


まあ、正直言ってうざいよ」


意外な反応で、文はおどろいた。

てっきり、「好きだよ」だとか「優しい人だよ」とか言ってくるものだと思っていたからだ。


「どこまでも私に構い倒してくるし、馬鹿やって咲夜達に迷惑をかける時もあるし……はっきり言っていい加減にしてほしいよ。今じゃだらだらしてるだけのニートみたいなもんだし……


けど、まあ……あの人だけは最初から最後まで私を妹として可愛がってくれたんだよね。前に話した事あると思うけど、昔は私、好戦的だったんだ。それに情緒不安定で、おまけにものすごい力まで持ってた。けど、途中からこう思うようになったんだ。命を奪う事に意味はないってね……


吸血鬼のくせにそんな事を言い出すもんだから、子供の頃からずっと周りには敵しかいなかった。…館の遣いの者で私達を殺そうとした奴までいた。親でさえ、私の事を操り人形の兵器として見るぐらいだった。だから、私はそん時は結構危なくてね…精神が壊れちゃう直前……そんな風だった。


けど、あの人だけは……私を妹として見てくれた。どこまでも可愛がってくれた。だから私は精神が壊れる事もなかった。その事に関しては……感謝してる。まあ、本人に言ったら調子に乗っちゃうから、言わないけどね」


そう話すフランは、とても穏やかな目でレミリアの事を見ていた。


「…そんなお気楽なあの人なんだけど、一度だけ。私が知る限りでは一度だけ、凄く悲しい顔をした時があるんだ。…正確に言えば、させてしまった。


私が、自分から幽閉されたいって言った時だよ。


その時は既に、私達二人は家を出て紅魔館に暮らしていた。親とは別居してたんだ。突然、私の精神がおかしくなっちゃってね。常に暴走寸前…殺戮衝動に駆られるようになった。こんな状態じゃ駄目だと思って、お姉様に幽閉を頼んだ。あの時はそれが最善の策だったし、他に方法がなかった。ああするしかなかったんだ。


けど、あの人は最後までずーっと何か別の策を模索してた。見苦しいくらいにね。多分、あの人も気付いてたんじゃないかな?他の方法がない事は。だから私は、自分から幽閉を伝えたんだ。その時に、その悲しい顔をした。……まあ、酷い顔だったよ。他の方法を探しきれない自分への怒り、無力感……そして、自分の妹の口から幽閉を望む言葉を言わせてしまった事の悲しみ。それが一気に襲ってきたんだろうね。どうしようもなかったとは言え、あんな顔をさせてしまったのはなかなか……辛かったかな。


だから、まあこれからも、あの人の馬鹿な行いにも付き合っていくよ。あんな顔を見るくらいなら、馬鹿やって笑ってるのを見る方がマシだしね」


フランがそこまで言うと、帽子を深く被って屋上から飛び降りた。


「その遊び、私も混ぜてよ」


「お、フラン!ちょうどいいところに!フランと勝負がしたかったんだ!負けた方がアイスをエロく舐めるっていう罰ゲーム付きな!」


「私が勝ったらお姉様が坊主ヘアーにしてくれるなら考えてあげなくもないよ」


「ちょっ…!酷い」


フラン達は、とても楽しそうに話していた。


「……人里の皆様、この頃はいかがお過ごしでしょうか


これが、紅魔館の様子ですよ」


カシャッ


その写真は、レミリアとフランを中心に紅魔館の全員が写っている写真だった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……」


−あれだけお姉様の事を馬鹿にしてたくせに…いざとなると全く動けなかった。情けないな……私。

貴女の見せてくれた生き様は、私を大きく変えてくれたよ。


「フラン!大丈夫!?」


「…うん、駆けつけてくれてありがとう、こいし。ヒロトは?」


「いいよ全然…!ヒロトは私以外のみんなが戦ってくれてるよ!妹紅の治療お願いできる?」


「…ごめん、こいし。少し頼みがあるの」


「?どうしたの?」


「みんなを、少し下がらせて」


「…え?」


−私も……今ならあの時の貴女の気持ちが理解できる。



「もうすぐ私も……そっちに行くよ」


「…え?」


「…頼んだよ、こいし」


「…フラン…まさか…!?」


シリウスが起き上がろうとしていたその時。


ドオォーーンッ


「ぐおぉっ!?」


シリウスが、さらに大きく吹き飛ばされた。時間停止で殴り飛ばしたのだ。

博麗神社の外へ吹っ飛んでいく。


「あぁ!?何やられてやがんだシリウスの野郎!!」


ドオォーーンッ


「おぉおーーッ!?」


ヒロトも、同じように吹き飛ばされた。


「…この力は……今まで私が封印してきたもの。体に負担がかかりすぎるし、とても危険だから」


並行フランから、紅いオーラが発生する。


「ハアアアアアアッ!!」


ドオオオオオオオンッ!!


「うわっ!?」


並行こいしは、その衝撃波によって吹き飛ばされそうになった。


煙が晴れ、フランの姿が見えるようになった時、こいしは驚愕した。


「フラン…!?」


フランの頭から帽子を突き抜けて角が対になって生えてきていた。フランの体の周りには、稲妻が迸っていた。


ドオォーーンッ


フランがその場から消えた。


「…今の力はいくら何でもおかしい…!まるで命を削ってるみたいな…!!」


−そんな、まさか…!!


「フラァァーーーン!!」









「いってぇ…!!何だ一体!!」


「貴様もかヒロト。おそらくフランドールの仕業だな」


「何だと…!?」


バサッ バサッ バサッ


「「!」」


フランが空から降りてきた。


「…あんた達は私が倒す……


この命に変えてもね」









To be continue…


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