第2話 更新再開したら大抵あらすじから始まるお約束
今更ですが、明けましておめでとうございます。
大変お待たせしました。更新再開です。
スラムドッグキャラバンの起動実験からナガレという精霊眷属にコラボスキルを貰うまで、実に二ヶ月の月日が経っていた。
先ずは一日目。
スラム街の住人が作った国、スラムドッグキャラバンの記念すべき起動実験の日だ。
スラムドッグキャラバンとは、道具屋の店主であるアリカ曰く『冒険者を支援するために作られた移動する独立工房』とのことで、その名の通りスラム街丸々蜘蛛の足みたいな足を四本取り付けて、移動させることを可能にした職人国家である。
その目的は冒険者を支援することで、スラムドッグキャラバンが認定した冒険者相手に遠距離でも物の売買が出来るようになるとのこと。
売買方法は、この起動実験前日にマルダ・アルミストというカンレーク国内屈指……それどころかこの世界屈指の魔導具技師から渡されたカードを使ってやるらしい。
だが当時は調整中らしく使えなかったが。
話を元に戻そう。
スラム街といってもカンレーク国の三分の一を占める大きさである。
それが突如浮かび上がり、蜘蛛の足が四本現れ、それも動くとしたらかなりの騒ぎが起こるのは明白だった。
事実、これによって生じた混乱は国中を震撼し、ログアウト不能という混乱の上に『何を言ってるのか分からねぇが、国の一部が動いていた』という追撃はプレイヤーの混乱を加速させることになった。
『もう駄目じゃ……おしまいじゃあ……』
『そうか……! 俺は理解したぞ、この世は滅ぶ!』
そんな混乱もあって大臣は至急混乱を鎮めるために国民全員に告知を実施し、一週間の間は起動実験を止めるように涙目で嘆願したという。可哀そう(他人事)。
◇
それから一週間が経ち、起動実験二回目。
『オーライ、オーライ。右前足上げてー、はいオッケー。右前足下してー。あっ……』
『ワシの家があああああああ!!!』
可哀そう(他人事)。
◇
大掛かりな実験でもそこは流石職人だろうか。
間隔を開けながらも僅か二週間で全ての工程が終わり、残すところは国から出ていくことだった。
その間、俺達はどうしていたのかというと、パーティ間でクエストを受注し連携を深めていた。
パーティメンバーとしてはメインアタッカーであるリーダーの俺ことキョウ。
サブリーダーは俺の親友であるゴッドストレートスマッシュことゴスト。
頼もしい楯役は俺の妹であるライカ。
遠距離射撃に拘りを持つ同じく俺の妹であるナナ。
そこに何故か流れで俺達のパーティに居座ったゴストの姉であるゴッドグレードスマッシャー、長いので以後ゴマ姉と呼ぶ。本当この姉弟のネーミングセンスどうにかなりませんかね。
因みにゴストとゴマ姉は現在のパーティに加入する際、初心者支援ギルドである『勝利への架け橋』を脱退したらしい。
確かにこれからパーティを解散して改めてギルドとして結成するつもりではあったのだが、急に脱退して『勝利への架け橋』に迷惑は掛からないのかと質問した。
『俺はちゃんと仕事の引継ぎをしたさ』
『丸……投げ……』
おい待てやそこの一名。
そんな一幕もあり、やがてスラムドッグキャラバン出立の日。
俺達五人とこの国の大臣であるアギルーダ・カームセ大臣、そしてこの国の国王で現在齢十歳のショタ国王、カインストラ・カンレーク本人を含めた七人で見送りに来ていた。
『アンジュ。まさかお前がスラムドッグキャラバンと一緒に行くとはな』
『これまでのご教授ありがとうございます、サブマス』
『元、だ』
アンジュはマルダ・アルミストにより才能を買われ、一緒に行くことにしたらしい。
その際、彼女はマルダ・アルミストにより俺達のギルドの担当職人に任命されたという。
渡されたショッピングカードにはオーダーメイドする際、どのような機能を付けるか話すための通話機能もあるため、冒険中でも彼女と連絡を取れるため、寂しいという気持ちはなかった。
『カインちゃん……くぁいい……じゅるり』
『男でも可愛いければ問題ないのか』
『あれはどう見ても……女の子』
『いや男の子だぞショタだぞ』
『あんな可愛い子が……男の子の筈がない……』
見ろ、野獣の眼光でカイン君を見るから背筋を震えさせて大臣の後ろに隠れたぞ。
まぁ確かにカイン君の外見はどこからどう見ても女の子だが。
『アンジュ……お前が渡してくれた装備、かなり良かった』
『キョウさん、これで貸し借りはなしですよ?』
『あぁ貸し借りなしだ』
実はクエストを受注して仲間内との連携を深める以外に、アンジュが作ってくれた装備の着心地を試していたのだ。
といっても用意できる素材が少なかったので、初期の拠点で貰える装備よりも良いということだけである。
『これからキョウさん達はどうします?』
『そうだな……スラムドッグキャラバンが旅立ってその三日後ぐらいには俺達も出ようかな』
もう何もこの国に対して思い過すことはないのだ。
なら出来るだけ早く行って、GMと対抗できるように精霊眷属と契約をしなくてもならない。
その時の俺はそう思っていた……。
『あのすみませんが、貴方達のギルドはもう暫くこの国にいてください』
大臣が暫くの滞在をお願いする旨を言ってくるまでは。
内容は、混乱したプレイヤーの収束。並びに国の経済復興。
それなりの報酬は弾むし、それなりの待遇を用意するとのことである。
『えっいやでも……』
前にも言ったが、俺達にはこの国に対して思い過すことはないのだ。
それに報酬といっても現在職人達や国の一区画が消えたのでそれほど余裕もあるわけがない。
待遇もはっきり言ってこの国で待遇良くしてもなんか微妙だし。
『あの……ダメですか?』
『大丈夫……お姉さんに任せなさい……!』
成程。このためだけにショタ国王を呼んだのか。
ショタ愛好家にとってのジョーカーだなこれ。
助力する義理はないが、優秀な人材をほとんど追放したため、現在使い物になるのは大臣一人。
あとはショタ国王だが容姿以外は普通の子供である。
普通に先行きが不安な人材である。
『あーということでもう暫くはこの国にとどまるよ』
『はは……そうですね。いつでもこのショッピングカードで話せますし』
そんなこともあって俺達ギルドはもう暫く滞在し、アンジュはスラムドッグキャラバンと一緒に旅立った。
そしてそれから約一か月後。
何らかの区切りがつき、暫く休憩してからこの国から旅に出ると決まったところでナガレのコラボスキルが来たという事だ。
以上がこれまで過ごしてきた出来事である。
次回、キョウ達が遂に旅に出る……!?
次回更新はこのあとすぐ!




