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MATERIAL FRONTIER ONLINE:スタイリッシュパーリィーの冒険活劇  作者: クマ将軍
『MFO』ダイブスタート! 準備編
2/62

第2話 キャラクリエイト!

この作品はネトゲ用語、通常のRPGの専門用語を理解されている前提で書いていますのでご了承ください。

「ああああああああああ!!!」


 俺は今絶叫をしていた。

 それはもう心の底から絶叫をしていた。


 あれはほんの軽い気持ちだったんだ。

 βテストから現在まで、毎回俺達に自慢してくる神崎の野郎に意趣返しのために報告しただけなのに、自慢し返すという長年のウサ晴らしで興奮(・・)してしまった。


 これがいけなかったのだ。


『は、葉月様……勘弁してください……もう二時間経ってますよ……』


 興奮して『暴走状態』になっていた俺は、それはもう雪崩のように俺の恨みとゲームをやっと購入した気持ちを二時間に渡ってぶつけていたのだ。

 ぶっちゃけ神崎の弱音を聞かなかったら俺は今頃朝を迎えていたと思う。『暴走状態』の俺……恐ろしい子っ!


「でもどうしよう……あいつ等とゲーム内で待ち合わせしようって約束したのに……」


 あいつ等とは言わずもがな、俺の妹達の事である。

 今頃、二時間経っても待ち合わせ場所にも現れない俺に愛想を尽かしているかも知れない。それはそれで悲しいが、怒りを募っていたらと思うと背中の冷や汗が止まらない。


「そう思うとあいつ等に会いに行きたくないな……」


 どう考えても俺のせいだし自業自得だが、罰を回避したいと思うのは人間の性だと思う。それに妹達とはリアルで会うし、何より夢の『MFO』を遊ばずに放置するのは駄目だ。


 割合で言えばゲーム八の妹二だろうか。許せ妹。

 ということで俺はさっそく『MFO』に入ることにした。


 VRヘッドを頭に装着してベッドの上で仰向けに寝る。

 余談だが別にVRにダイブする時の寝方はどの向きでもいい。

 ただし寝苦しい寝方はVR世界でも影響を及ぼすため特にこだわりの寝方が無い場合、通常は仰向けで寝るのを推奨されている。


「部屋のライトよーし、VRPC電源よーし、VRヘッド固定よーし、寝方バッチシ!」


 先ずは指差しで身の回りの安全を確認。

 この安全確認は、VRPC本体を購入する時に店員さんからマニュアルの説明を徹底的に学ばされてきたので、ダイブする時は毎回欠かさずに行っていることだ。


 そうでないと寝ているときにハプニングが起きたらヤバイ。何がヤバイって、偶然的な事故でない限り何か起きた責任は全て家の責任になるのだ。

 このたかが安全確認されど安全確認を怠って家族に迷惑を掛けるのは非常にアウトなので、怠らないように義務付けなければならない。


 さて、確認をし終えたらお待ちかねのVRダイブだ!


「スタートボタン押しながら……『VRシステム、ダイブスタート!』」


 音声システムにより、起動するVRヘッド。

 すると俺の意識が段々と遠くなっていき、俺は睡眠を始めた。




『WELCOME TO VR-SYSTEM.』




 ふと気がつくと俺は広大な草原の上に立っていた。

 空気は澄んでおり、太陽の健康的な日差しが草原を照らす。


 周りを見渡すと、この草原の中にたった一つの巨大な木がそびえ立っていた。その下には木で出来たテーブルと丸子の椅子が存在していて、熱さを感じる日差しから守られているように、巨大樹の影に隠れていた。


 ここが『MFO』の世界……ではなく。

 ここは謂わばパーソナルルームで、様々なVRコンテンツを選ぶことが出来るホーム画面ならぬホーム空間だ。

 またこのパーソナルルームの内装は自由に変更できるようになっていて、俺の場合は草原の中にそびえ立っている巨大樹のホームデザインに設定している。


 何故このデザインを選んだかって?

 こっちのほうが爽やかな気分になるから。


 ……そこ、感性老けてるとか思わないように。


 ま、まぁ話を戻そう。

 現在パーソナルルームに居る俺はリアルと変わらない姿だ。服装も現実で最も着ている服装をメインにしているが、まぁ当然服装も自由に変更できる仕様だ。


 さて、巨大樹の下にあるウッドデザインなテーブルの近くに行くと、テーブルの上にお知らせと書かれているホログラムが表示されていた。

 これに触れるとお知らせの文字が広がり、頭の中に女性の声が響き渡る。


『貴方のVRPCに『マテリアルフロンティアオンライン』がインストールされました』

『このゲームを開始しますか?』


 答えは勿論イエスだ。

 俺は空中に表示されているイエスとノーの文字にイエスの方に触れると文字が広がり、俺がいた空間が白く染まっていった。




『WELCOME TO MATERIAL FRONTIER ONLINE』

『これは世界を構築した精霊達を探す物語』




 気がつくと先ほどの緑溢れた草原の空間とは違う白い空間にいた。見れば俺の周囲には様々な色の球体があり、静かに観察していると無数にある球体がそれぞれ人の形へと変わっていく。

 いずれも女性の輪郭をしている何か。


『世界に祝福を』


 次に来たのはまるで期待や希望を込めるかのように響く声だ。彼女たちの誰かが発した言葉だが、この世とは思えない綺麗で透き通った『音』に思わず呆然と聞き惚れる。

 すると、ふと足元に何かが自己主張するように当たりそれが小さな木の芽だと気付く。

 暫く見つめていると、突然その木の芽を中心にしてこの何も無い空間に自然が広がっていくように草花や木々が生えていったのだ。


 パーソナルルームに設定していた草原とは明らかに違う迫力と神秘と自然の力強さに、俺は思わず声を失う。しかし何故だろうか。心なしか周りにいる彼女たちがさっきより少ないと感じた。


『貴方達に加護を』


 いや、実際に少なくなってるんだ。

 声を発していく度に彼女たちの数が段々と消えていっているのだ。

 ここで俺はとある仮定を思い付く。ゲームのパッケージやキャッチコピーには『世界を構築した精霊達を探す物語』と書かれていた。


 ならこの光景はなんだ。

 この光景こそまさに世界を構築している最中の光景ではないのか。つまりこの世界に加護を与えている彼女達は精霊ということになる。


 加護を与えれば与えるほど、まるで力を使い果たしたかのように精霊の数が減っていく。それでも精霊達はひたすら世界に加護を与え続けていく。すると今度は周りから様々な動物が生まれ始め、それに比例してこの場に存在していた精霊達の何人かが消えていった。


『その未来に栄光あれ』


 風が吹き荒れ、何も無かった空間に世界が構築される。

 気付けば俺の周りに居た精霊は残り一人だけだった。


『生まれてきて……ありがとう……』


 最後に残った虹色の精霊がそう呟くと、その姿が消えた。

 これで俺の周りに居た精霊達は全員居なくなった。


「あれ? ……なんだこれ?」


 気付くと俺の頬に一筋の水が俺の頬を伝っていた。

 それを拭うとその水は俺の涙だと気付く。


「なんでだ?」


 突然の出来事に混乱する俺だが、俺の頭に音声が流れることにより意識がそちらに向いた。




『初回起動を確認。

 βテストからの引継ぎデータなし。

 キャラクターアバターのデータがありません。

 キャラクタークリエイトに移行します』




 音声が流れ、最後の言葉が終わると同時に一人の女性が現れた。

 着物を中心にまるで天女の様な神々しさが溢れているような衣装を着ている女性だ。だが特筆すべきなのはその容姿。まるでアニメとか漫画の世界から出たようなキャラクターが俺の目の前に居る事実に、俺は興奮を禁じ得ない。


「『マテリアルフロンティアオンライン』の世界へようこそ!」

「あああ、初めまして! 俺の名前は葉月鏡也です!」


 いきなり現れた女神のような存在に俺は吃りながらも自分の名前を名乗る。


「はい、音声データを確認しました。名前もVRPCに登録した本人と間違いないようですね」


 そういってこちらに笑みを浮かべる女神様。

 そう言えばこのVRPCを購入した時、音声登録とかしたなぁ。


 VRPCは今や国民一人一人が所持していると行っても過言ではない程の普及率を持っているのだ。

 だがそのせいで、セキュリティ問題に色々直面している状況もあって、音声認識などの対策をしているのだろう。


「では初めまして、私はキャラクタークリエイト兼チュートリアルの案内を務めます、ナガレと申します!」


 そうしてお辞儀をするナガレさん。だが後光が神々しすぎてお辞儀をされると何故か罪悪感が生まれる。これが人間が真の善性に遭遇した際に生まれるカルマによる罪悪感か……。


「それでは早速ですがキャラクタークリエイトに行きましょう!」

「え? ……あ、はい!」


 呆然としすぎて余計な思考が生まれたが、ナガレさん言葉で我に返る。俺の発した返事に反応するように、俺の前に大きな鏡が現れる。


 その鏡を見るとリアルでの俺の姿が二次元みたいなキャラに描かれていた。


「これが葉月様の『MFO』内での自分です。ここで自分の容姿を変更することが出来ます」


 そう言って、俺はこの二次元版葉月恭也を写している姿見を見る。

 ふむ、これが俺の外見か……。


 妹達によると俺のリアルでの外見は中の上って言っており、俺の親友である神崎曰くラノベ主人公みたいな平凡顔って言っていた。

 変更する箇所は……まぁイケメンに変更したい気持ちはあるが、それにすると知り合いに揶揄われるし、家族からは俺と認識されない気もする。

 悲しい想像に凹みながらも、俺はこのままで続行した。


「このままでオッケーです」

「かしこまりました。それでは次に種族を選んでください」


 そして姿見の横にホログラムウィンドウが現れる。


 その画面にプルダウンボタン、つまり候補を表示してくれる逆三角形のボタンを押すと様々な種族の名前が羅列してきた。

 試しに獣人(ビースト)系狼族という種族を押すと姿見の中に居る俺の分身が、狼のような種族的特長を持った外見に変わった。


 他の種族を見てみるとヒューマン、エルフ、ドワーフ、ドラゴニュート、ジャイアント等々があって非常に多い。ここまで多いのはユーザーの多種多様なニーズに合わせた故だろうか。

 選ぶ際には詳細検索のような物もあって、プレイヤーの好みに合わせた項目を選ぶことでプレイヤーの好みに近い種族が出てくるらしい。


「んー、まぁいいや。それじゃヒューマンでお願いします」


 俺は無難にヒューマンを選んだ。

 種族的特徴はなし。ステータスは平均的。種族欄の一番上に表示されているといったことから、恐らく大多数のプレイヤーが選ぶ種族がヒューマンだろう。


 それに種族を選ぶメリットは些細なステータス差と自身の好みの外見的特徴だけだ。ステータスに関しては、ゲームを進めていくうちに種族的な差は無くなる仕様であると、βテスターや公式サイトのQ&Aにも説明されてる。


 俺がヒューマンを選んだ理由は二つあり、最初は平均値でも育成していくと個性が出始める過程を楽しむというのがヒューマンを選んだのが一つ。あとはまぁ矛盾するようだが、満遍なくバランス良く育成して何でもできるマンにするというのもある。

 要は育成に幅を持たせたいのだ。

 だから育成次第で何でもなれるヒューマンを選んだ。


 い、いやまぁ別にドラゴニュートを選んで竜人姿の俺カッコイイアピールが恥ずかしいからヒューマンにしたわけじゃない。恐らく。多分。きっと。


「分かりました。では頭の中で『ステータス』と念じてどの手でも構いませんから人差し指で空中に下へスライドさせてください」


 ナガレさんの言うとおりにしてみると俺のキャラのステータス画面が出てきた。


 NAME:―

 RANK:―

 ROLE:―

 TRIBE:ヒューマン

 HC:グリーン

 MC:ブルー

 STR:D−

 DEX:D−

 VIT:D−

 INT:D−

 AGI:D−

 MND:D−

 LUK:D+


 お分かりいただけただろうか。

 

 そうこのゲームのステータスは数値ではなく珍しいアルファベットのランク制を取っているのだ。

 これにより異常なステータス差がある場合を除いて、基本的にプレイヤースキルでほぼ補えられるプレイヤースキル重視のゲームなのだ。


 だからと言ってプレイヤースキルがない、もしくは自信がないプレイヤーの場合でもちゃんと楽しめるように流派という戦い方を教える道場システムがある。

 戦い方がその流派に縛られるのがデメリットらしいと言えばデメリットだろうが、それでも型に沿って動けばシステムアシストで動きを補正してくれるのだ。


 流派の他にも動きを補正してくれるのが、パッシブスキルという自動発動するスキルがあるし、これで例え運動音痴でも大丈夫だという親切設計である。


 そして他の項目とか疑問はあるだろうが先ず、気になるのは体力と魔力だろう。 


 見ての通り、他のゲームの言うようなHP(ヒットポイント)では無くこのゲームではHC(ヒットカラー)という形を取っている。

 ヒットポイントではダメージを受けるたびに体力の数値が減っていくのに対し、このカラーシステムではダメージを受けるたびに色が変色していくのだ。

 これもステータスのデザインが数値制からランク制に変わったためだろう。


 最大値であるグリーンから順番にイエロー、レッドに行きブラックで死亡。

 当たり所が悪いと例え弱い攻撃でもいきなりレッドまで減少することがあるので、油断は禁物ということだ。


 次に魔力は、これもヒットカラーと同じくカラーシステムを採用している。

 このゲームではMC(マジックカラー)と呼ばれていて、上から順にブルー、スカイブルー、ホワイトまで下がっていき、クリアになると魔力切れで最悪その場で気絶するのだ。

 どの魔法、どのような行動で減少するかは分からないけどまぁ減少の程度は感覚とか慣れで補えということだな。それに明らかに使えない魔法があれば、そもそも発動しない仕様である。


 以上が事前に調べたβテスターからの情報だ。


「確認しましたか?」

「はい確認し終わりました」

「ありがとうございます! では最後に貴方の『MFO』内でのお名前をお願いします!」


 そして最後のホログラムウィンドウが現れる。

 そこには『プレイヤーネームを入力してください』という文字とその下に空欄があった。


 まぁそこは事前に決めてある。


「名前は『キョウ』でお願いします!」


 そう言い終えるとホログラムウィンドウ下の空欄に、俺の言った名前が勝手に入力される。


「はい、重複はありません。それではキョウ様、最終確認お願いします。変更点があれば申し出てください」


 俺の前に最終確認用のステータス画面と自分のアバターキャラの姿が映し出された。

 ……うん、何も問題ないな。


「大丈夫です問題ありません!」

「最終確認終えました。これにてキャラクタークリエイトは終わりにします! お疲れ様でした!」

「ありがとうございました!」

「では次にチュートリアルを始めます。このチュートリアルは主なステータス画面の操作方法、戦闘方法などを学べます。スキップしますか?」

「いえチュートリアルをお願いします!」


 かしこまりました!と言ったナガレさんは突然その身体が光りだす。突然の光に俺は目を瞑り、暫く待つと瞼を通して徐々に光が治まってきているのが分かる。


 瞼をそっと開いていく。

 するとそこには、神々しい鎧衣装を纏ったナガレさんがいた。


「それじゃチュートリアルを始めるぜ! あたしに着いて来な!」


 あれ?キャラ変わってません?

次回で漸く戦闘です。ハンマー登場です。クマ将軍です。


現在の『キョウ』のステータス。


NAME:キョウ

RANK:―

ROLE:―

TRIBE:ヒューマン

HC:グリーン

MC:ブルー

STR:D-

DEX:D-

VIT:D-

INT:D-

AGI:D-

MND:D-

LUK:D+


以下用語説明。


NAME

対象の名前を表す項目。


RANK

対象のランクを表す項目。カンストはSSS+CSまで。


ROLE

対象の役割を示す項目。アタッカー(近距離戦闘役)、ディフェンダー(防御特化役)、シューター(遠距離戦闘役)、アシスタント(広範囲支援役)の四つがある。


TRIBE

対象の種族を示す項目。ヒューマン、エルフ、ドワーフ、ビースト等がある。


HC(HitColor)

対象の体力を色で表したもので、最高値であるグリーン、イエロー、レッドの順で変化し、最低値であるブラックに達すると戦闘不能になる。変化の境が曖昧で当たり所が悪ければ例え弱い攻撃でもレッドになる場合もある。


MC(MagicColor)

対象の魔力を色で表したもので、最高値であるブルー、スカイブルー、ホワイトの順で透明になり、最低値であるクリアになると魔法を発動できず、一定確率で気絶してしまう。


STR(Strength)

力を意味する。ランクが高いと攻撃力が上がる。


DEX(Dexterity)

器用を意味する。ランクが高いと攻撃の命中率が上がる。


VIT(vitality)

生命力を意味する。ランクが高いと防御力が上がる。


INT(Intelligence)

知力を意味する。ランクが高いと魔法攻撃力が上がる。


AGI(Agility)

素早さを意味する。ランクが高いと回避力が上がる。


MND(Mind)

精神力を意味する。ランクが高いと魔法の耐性や威力が上がる。


LUK(Luck)

幸運を意味する。ランクが高いとアイテム獲得量が上がったり、レアなアイテムが出現したりする。それ以外にも様々な恩恵を貰える事がある。


ステータスランク

E-、E、E+、という順番で上がり最高値はSSS+CSカウンターストップ


Q.何故数値ではなくランク制にした?

A.ぶっちゃけ数値にすると計算がめんd『この発言は召されました』。

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