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MATERIAL FRONTIER ONLINE:スタイリッシュパーリィーの冒険活劇  作者: クマ将軍
『MFO』ダイブスタート! 結成編
19/62

第3話 現状確認!

「お前等……もしかして、朱里と七海なのか?」

「オフコース! そうだよーお兄ちゃーん」

「兄さんは……予想通りヒューマンを選びましたか」


 葉月朱里、プレイヤーネーム『ライカ』。

 どうやらゲームではドワーフという種族を選んだらしい。

 理由としては朱里の戦闘スタイルを見れば分かるというが……。

 そんな朱里の外見だが皆が期待、もとい知っている幼児体型的な女性ドワーフではなく、身長はリアルとほぼ変わらず髪はオレンジに近い赤色、肌はドワーフの種族特有の健康的な小麦色になっている程度だ。


 対して下の妹である葉月七海、プレイヤーネーム『ナナ』。

 七海が選んだ種族は広義的にドワーフと仲が悪いとされているエルフだ。

 何故ドワーフとは対称的なエルフを選んだかというと、こちらも求めている戦闘スタイルがこの種族しかいないという効率を求める典型的なゲーマー脳で選んだらしい。

 そんな七海の今の外見は、皆さんの予想通り耳が長く、元来整っていた顔に補正が掛けられてかなりの美少女顔になっているというが、雰囲気や見た目からして元からあんまり変わってないように見える。


 そんな二人は今、アリカの薬品を扱う店の出口に立っていたのだ。


「よし感動の再会はそこら辺にしろ」

「おや? もしかしてそこの方は神崎さんでしょうか」

「ゴッドストレートスマッシュだ、葉月の上の妹」


 そんな自分の名前の強調をやっているところに、ナナがやっぱり長いと思ったのかゴッドストレートスマッシュに近づいてこう言った。


「長いからゴストって」

「ゴッドストレートスマッシュだ」

「いやーそれは長いから――」

「ゴッドストレートスマッシュだ」

「…………」


 修羅だ……。

 ナナが笑顔のまま修羅になっている……ッ!


「お、おいまぁそこら辺は置いといて……でさっきの話なんだが本当なのか?」

「え、ええ……実は兄さんの話を聞いて、大臣の情報について調べてたんです」


 しかし大臣の政策は至って真っ当な物で、カジノでやっていた『精霊遺産』による客寄せも含めて全てこの国の発展のために行なっている事とのこと。

 ここまで聞くと大臣自身になんら悪いことをやっていないような流れだが……。


「ですがこのスラム街にいる方々の話によると、現在の大臣が王の代わりに政務に手を出してからというもの失業者が多くなっているのです」

「そうなのか? でもここの人たちは何かしら同業者に嵌められてここにやって来たって言っていたぞ?」

「はい、それはそうなのですが、その時期が問題なのです」


 聞けば同業者に嵌められてスラム街にやって来る人が多くなった時期こそ、大臣が幼い王子に代わり政務に手を付き始めた頃だという。


「でも、ここの人たちはアンジュという生産者プレイヤーの目線から見てもかなり優秀な人が多いんだぞ。寧ろ大臣は優秀な人材を大事にするはずだ」

「……ここからは私の推測に過ぎないのですが……寧ろ優秀過ぎたせいなのかもしれません」

「ど、どういうことだ?」

「当時は私たちプレイヤー、いえ加護持ちの存在の登場によって国が大きく発展して来ました。しかしそのせいで発展の速度に着いていけない人が現れ、足並みが揃っていなかった」


 そこで優秀な人たちが活躍していけばどうなるのか。

 この国の場合それが良くなかったらしい。国の発展速度はその優秀な人たちによって更に加速していき、下の人々は更に着いていけなくなる状況に陥ったのだ。


「だから大臣は選んだと思うのです。発展速度を優秀な人たちに合わせて引き上げるのではなく、周りが着いていけるために引き下げたのだと」

「その結果が、このスラム街の現状か……」

「それだけじゃありません。不満を抑えるためにもスラム街の人々をこの街の『必要悪』として作り上げたんです」


 つまりあれが悪いこれが悪いってのが全てスラム街の人々に向くよう仕向けたって訳か。それならスラム街の人々以外結束するってものだ。


「参ったな……やり方はともかく途轍もない有能だぞこれ……」

「いいえ、だからこそそこに大義が生まれるのです」

「あぁ確か言ってたな……えぇと」

「『大義があれば何をしても許される』でしょうか」

「いつ聞いても凶悪な格言だな。つまりどういうことだ?」

「やり方に問題があると公表すればいいのです。『必要悪』として作り出されたスラム街ですが、その実冤罪によって罰を受けた人たちばかり。ならばその事実を公表すれば大臣の権威が失墜し、兄さんの名誉も回復します」

「いや大事にし過ぎだろ!?」


 下手したら国が真っ二つになるわ!

 スラム街の人たちの冤罪を晴らすのはいいんだが、曲がりなりにも『必要悪』というシステムによって統率の取れている国だ。もしこれが崩壊したら俺の状況でさえ手一杯なのに余計に滅茶苦茶になる未来が見えるぞ!


「しかし一体どうすればいいのですか? そうしないとこの国の住人、プレイヤー問わず兄さんに対して反省を促せませんよ?」

「もしかしてライカさん相当怒ってる?」

「……」


 ニッコリ。

 どうしよう、その笑みだけで重力が倍になった気分だ。

 ニッコリのニは二倍のニだったのか。


「私が思うにはねー大臣の性格を矯正すればいいと思うんだよなー」


 とそこに、今まで静かだったナナがとんでもないことを言った。


「つまり、どういうことですかナナちゃん?」

「大事に出来ないなら少数精鋭だよー」


 その言葉に俺の脳内にとある考えが浮かんだ。


「つまり……暗殺か?」

「そう、つまりはアサシーン」

「性格の矯正という話は一体どこに行ったのでしょうか?」


 俺含めて妹が脊髄反射だけで会話している件について。


「つまり葉月の下の妹が言いたいのは、少数精鋭で大臣の元に向かい、キョウの現状を改善するよう交渉かっこ物理するという事だな。それなら俺も賛成だ」

「良くナナちゃんの話をそのように整理できましたね、ゴストさん……」

「俺の名前はゴッドストレートスマ痛いっ!?」


 名前の訂正を求めたゴストにイラッときたライカが腹パンをした。


「貴方の壊滅的なネーミングなんてどうでもいいです」

「なぁ皆……大臣の所に行く行かないにしても先ずは俺達の戦力を確認しないか?」




 ◇




「ただいまー」

「うぅ何なんですかあれは……素材も道具も無い口頭だけの説明なのになんで凄いんですか……? 宝の持ち腐れですよあれ」

「あれキョウさん達がいないみたいですね店長……ん? ここに書置きが」

「何々……『パーティの戦闘力を確かめるからクエストを受けに行ってくる』ですって?」

「え、ちょなんで私を置いていったのですか!?」

「えーと……どんまい!」

「うわぁぁぁぁぁん!!!!」




 ◇




 冒険者ギルドの受付所にて。

 俺の今の格好は黒いローブを頭から被り見事な不審者スタイルになっている。

 理由は勿論、この国出身の人々から大臣に通報されないようにするためだ。

 なんか別の意味で通報されそうだが多分気のせいだろう。


「このクエストを受けていいか?」


「受注ありがとうございます。……ゴブリンの討伐依頼ですね。ではパーティ全員のギルドカードの確認を行ないますのでご提出ください」


(なぁおいゴスト)

(ゴッドストレートスマッシュだ)

(俺って指名手配されてるんだろ? 今の状況って危なくないか?)

(大丈夫、この受付嬢はこの国出身の係員じゃないことは確認済みだ)


 そう太鼓判を押すゴスト。

 まぁここで駄々を捏ねても一向に進まないので、自分のギルドカードを神崎に渡した。


「うっすこれで全員だな。はいよこれでパーティ全員分のギルドカードだ」

「では確認致します」


 すると俺のギルドカードを見た受付嬢はちらりと俺の方に向いて、作業を続けた。


「はいありがとうございます。それでは冒険者の皆さん、貴方達の運命に幸あれ」

「ああ、頑張るぜ」

(……なぁゴスト)

(ゴッドストレートスマッシュだ)

(大丈夫なのか? 何かあの受付嬢、一瞬俺の事をチラ見したんだが)

(大丈夫さ、ギルドカードを返された時に『大臣の事なんか気にせずに頑張ってください』って言ってきたんだぞ?)


 ……どうやら俺はまだ人を信じていいらしい。

 そう思った俺は、ライカ、ナナ、ゴッドストレートスマッシュと一緒に初のパーティクエストを開始したのだった。

いや本当に今日はこの話で更新終わりだと思うクマ将軍です。


作中に出てくる説明の一部は個人的な見解の一つですので

真に受けないでくださいね。


では次回はお待ちかねのパーティ戦!


次の投稿は相変わらずの気分次第ですので不定期更新です。

ご了承ください。

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