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太陽のギルド  作者: 三水 歩
太陽のギルド
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優しい願い

     優しい願い


 年明けから雪が解けるまでは驚くほど早かった。そもそも、帝都に雪が降ること自体が珍しい。気候も冬と言えどもそれほど寒くもならないので、街路や大通り、狭い路地裏に至るまで、除雪が完全に為されていなかったにも関わらず、ひと月余りで溶けてしまったのは、もともとの気候が温暖だったから、というのが要因だろう。


 俺は雪解けでぐしょぐしょに濡れた庭を抜けて正門をくぐり、家の敷地から出る。目指しているのは、セシールの新しい店『アイシクルミスト』だ。


 「すっかり温かくなりましたね。もうマフラーもいらないかも」


 「でも外したら外したで、まだちょっと寒い。風邪ひいたら困るから、まだ着けてた方がいいよ」


 レリィと共に水たまりだらけの街路を歩く。温かい、とは言ってもまだ冬だ。先日よりは温かくなったというだけで、まだまだ冬なのだ。一月くらいはこの肌を刺すような寒さは続くだろう。


 「それにしても、春物の服ですか。私はソルさんのお古あるからいいんだけどなあ」


 「女の子が、あんなシミだらけ埃だらけの古着を着るもんじゃないよ。アニスもウルもそうだけど、うちの子たちはオシャレに興味なさすぎだ」


 「あはは……そうかもしれません」


 ウルは昔両親に買ってもらったからという理由で、何年も前の服を着ている。物を大事にするその姿勢だけは褒めてやりたいが、どう考えても今着ている服は小さすぎる。元々体が小さいのもあって何とか着ていられるのだろうが、あれはサイズが違い過ぎている。唯一持っているあの白いワンピースも、姉が昔着ていた物だというし、あの子に合った服を着させてやるべきだ。そうでないと、そのうち父親の着ていた上着をワンピースだと言い張って着かねない。


 「女子として、どうなんだ」


 「まあ……ウルもアニスさんも、気をつかっているんじゃないですか? ほら、お金がないってことは、先日ジャンさんにばらされちゃいましたし」


 「くっそ……だから余計な事してほしくなかったんだよ……まあ、おかげで色々助けてもらってるけど」


 今思えば、よくもまあギルドを作るなどと思い切った決断をしたものだ。実質ギルドなどとは言っているけど、要はなんでも屋だ。店舗を持つ、ただの商売。たくさんの同業者が集う『ギルド』という性質からはかけ離れている。


 要は、俺たちの同業者はいない。なので、この『何でも屋』の経営が立ち行かなくなることが、イコール『ギルド』の解散や崩壊につながる、というわけだ。


 ……まあ、仕事で採算が取れなくなったとしても。どんなことをしてでもこの子たちは養っていくつもりではいるけれど。


 それが例え、誰かの幸せを壊すようなことでも。


 「む、ソルさん。顔が怖くなってますよ」


 「ん、そうか? 元からだろ」


 「いいえ。怖いこと考えてる時の顔してました」


 「すげえな、そんなことまでわかるのか、表情だけで」


 「はい、一日中毎日毎月、ずっとソルさんのこと見てますから」


 「ん? なんか一瞬すごく怖いことのような気がしたが……」


 まあ、気にするようなことでもないか。せっかく一緒に買い物に出かけてるんだ。もっと楽しい話題にしよう。


 「レリィはどんな服が好きなんだ?」


 「え? うーん、そうですね。いつもの黒い上着もステキだと思うんですけど、ソルさんはもっと明るい色が似あうような気がするんですよね。ちょっと豪華に、白とか金とか」


 「いや、俺じゃなくてレリィの着たい服の話だよ。っていうか、白と金とか、どこの王子様だそれ」


 「あぇ!? あ、そうですよね! すみません私ったらアハハハハ……」


 会話がかみ合わなかったことに赤面するレリィ。赤い顔のまま少し考えると、彼女は笑顔で聞いてくる。


 「ソルさんは、私にどんな格好してほしいですか?」


 「? えーと、そうだな。なんとなくふわっとした、可愛い感じの服、かな」


 「じゃあ、私もそれが着たいです」


 「あ、ズルいぞ。レリィが着たい服じゃないだろそれ」


 「いいんです。それに私、小さい村で育ったし、周りに気になる男の子とかいなかったから、あまりオシャレのことはわからないですから。だから、ソルさんが決めてくれた服を着たいんです」


 「……まいったな、俺も偉そうに語ったけど、服選ぶセンスなんてないぞ……」


 「ふふふ、可愛い服、選んでくださいね?」


 「責任が重い……」




 そんなやり取りをしているうちに、俺たちは目的の店に着いた。


 新築ではないものの、そこそこ小綺麗にしているらしく、外装も立派なものだ。二階建てで、恐らく二階部分は倉庫か何かになっているのだろうか。一階は両開きのドアが取り付けられているが、今はそれが開放されており、店の中が良く見える。壁際には、以前の店よりも多くの衣服が展示してあり、棚には相変わらずたくさんの色の布や糸、その他仕立てに必要なものが並んでいる。


 「わー、綺麗なお店ですね」


 「セシールの奴、本当になんでもこなすよなあ。戦闘も得意みたいだけど、こういう装飾とか、服とか、そういうもののセンスもすごいな、本当」


 「服も仕立てられて、料理もできて家事全般こなせて、魔法も使えて、強くて美人で気さくでスタイル良くて……あれ、私勝てる要素一つもない……?」


 「何青白くなってるんだ、レリィ?」


 さっきまであんなに顔色よかったのに、今は真っ白だ。なんかの病気じゃなければいいんだが。


 「……あんまり褒めても私が笑顔になるだけで、なあんにも出ないわよ」


 そんな声と共に、セシールが店の奥から出てくる。言葉とは裏腹に頬を少し膨らませて、何やら怒ったような表情である。


 「店員さん、笑顔になってないぜ?」


 「うっさい照れ隠しよ。言わせんなばかちん。……レリィちゃんいらっしゃい! じっくりねっとりしっぽり見ていってね!」


 「アハハ……お邪魔します」


 なんか、いやらしいよな、こいつの笑顔。不信感を視線でセシールにぶつけつつ、俺たちは店の中に足を踏み入れる。


 「どう? 前より広くなったでしょ?」


 「おお……すげえな。というより、こんなにいろんな材料を今までどこに持ってたんだお前……」


 「ジャンの伝手でね。ちょっと知り合いの所に置かせてもらってたのよ。本格的な営業はギルドが始まる時に合わせるつもり。ああ、でもギルドの面々の服は無料で作るわ。特別にね」


 「下手くそなウインクはやめろ、リディアみたいだぞ」


 「あら、リディアちゃんかわいいじゃない」


 「お前は女ならだれでもいいのかよ……」


 なんかこいつのことが心配になってきた。以前からそんな気はしていたが、いやまさか……。


 「もしそうだったら、ちょっとヤだな……」


 「何がよ」


 「なんでもねえよ。それで服なんだけどさ。レリィに似合う、春らしい服を頼みたいんだ」


 「ふふん。そんなこったろうと思ってね。あらかじめ作っておきましたー! じゃじゃん!」


 謎の掛け声とともに、セシールはカウンター近くのカーテンを開ける。そこには、色んなデザインの服が置いてあった。少なく見積もっても三十着くらいはある。サイズは全部一緒だ。


 「これ全部持って行っていいわよ」


 「ああ、そう……? え、全部?」


 「うん。全部レリィちゃんのサイズに合わせております」


 「おまっ……え、これ全部?」


 「うん」


 「バカじゃねえの!? ヒマなのかお前は!?」


 信じられない。これ全部がレリィの服? アホか。こんなにたくさん作りおってからに……。こいつのレリィに対する愛がここまでひどいとは。


 「……どうして、もっと早く気付いてやれなかったんだ……どうしてこんなになるまで放っておいたんだ、俺は……!」


 「あのー。人のこと末期の病人みたいに言うのやめてくれる?」


 「末期だよ! え、なんでこんなに作ったのお前? すげえ赤字になるだろこんなの!」


 「大丈夫よ。全部他所から廃棄用のものもらって再利用した品物だから。あ、でも状態良い物しか使ってないから安心してね?」


 手を振り振り、そんなことを説明するセシール。違う、俺が心配してるのはそこじゃない。お前のほうだよ畜生。


 ……大変だっただろうに、こんなにたくさん。


 「別に大変ではなかったわよ。レリィちゃんの服を作るのはとっても楽しいもの。頭の中で色々レリィちゃんの妄想してると、なんかこう、可愛いイメージがドーっとあふれてきて、気付いたらバーって作っちゃった感じ。だからぜひ着てもらいたいの!」


 鼻息を荒げながらそんなことを言う彼女に、俺は呆れと尊敬を織り交ぜたため息を吐く。『レリィの妄想』の内容は分かりかねるが、ともかく。


 「……ありがとな。でも全部は……」


 「まあそうよね。ありすぎても困るもんね、普通に考えたら。と言うわけで、気に入った物適当に選んでちょうだい。好きなだけ持って行っていいから」


 「……悪いな。そういうことだってさ、レリィ。好きなのを……?」


 ずっと静かだったので、不思議に思って彼女の方に視線を移す。


 ……放心していた。口を半開きにして、まさしくポカンとした表情、という奴だ。


 「……レリィ?」


 「はい!? あ、すいません、ちょっとビックリして」


 どちらかと言うと、呆れて声も出なかった、という感じだったけど。まあいい。


 「ほら、レリィ。この中から好きなの好きなだけ選んでいいってさ」


 「え、あ、はい。じゃあ、ソルさんからお願いします」


 「うぐ……そうだな、そう言う約束だったな」


 渋々俺はずらりと並ぶ衣服の前に立ち、慎重に吟味する。決めかねていると、セシールが近寄ってきて、小声で話しかけてくる。


 「……なんでアンタが選ぶの?」


 「いや、レリィに頼まれてな。服を選んでくれって」


 「ほほーう。ふーん。へえー。そうなんだあー」


 「なんだそのいやらしい視線は」


 「さあね。いやらしいのはどっちかしら? なんならアンタのために、脱がせやすい服でも仕立ててあげましょうか?」


 「なんで俺が脱がせるんだよ。小さい子供じゃないんだから、それくらい一人でもできるだろ。バカにするな」


 「ばかちんめ。『女の子が男に服を選ばせることの重要性』を全く理解してないようね、このハゲ!」


 「仮にハゲてたとして、それはお前のせいだろうが! ……なあセシール、聞いていいか?」


 「嫌だけど聞いたげる。なに?」


 「この中で一番おすすめって何?」


 「……呆れた。それ聞いたら意味ないでしょうが」


 そう言うと彼女はレリィの方へ行き、おしゃべりを始めてしまった。


 「……だめなんだよなあ、こういうの。俺、黒が好きだからなあ……偏るんだよなあ……」


 独り言。完全に孤立無援、孤軍奮闘を強いられた俺は、それから一時間、あーでもないこーでもないと言いながら、レリィの服を選んだ。











 「で、結局その二つなのね」


 「黒いローブ……魔法使いみたいでカッコいいです」


 「それと、純白に近いピンクのワンピース、ね。なんというか、一つは完全にアンタの趣味ね」


 「でもこのローブ、ふわっとして可愛いし、裾の方もレースとかついててオシャレじゃないですか?」


 「まあね。でもソルがこのワンピース選んだのは意外ね。確かに可愛いし、レリィちゃんに似合うと思うわ。作った私が言うんだから間違いない」


 「ちなみに、セシールさんなら何を選びました?」


 「悔しいけど、このワンピは絶対渡したいと思ってたわ。あとは……私の趣味で、あっちのドレスかしら」


 「わあ、綺麗ですね。でも、普段着にはできないなあ」


 「まあね、もともと公のパーティとかで問題なく着られるようなものを一着つくりたかったから」




 「なんだろう……消えてしまいたい」


 自分の選んだ服を女子に評価されるのが、ここまで胃に悪いものだとは。あと恥ずかしい。


 「こっちのローブは動きやすそうですね」


 「まあ、どれも微弱な魔法かけて長持ちするようにはしてるからね。これで多少暴れても、汚れ一つつかないわよ。訓練用にもいいんじゃないかしら」


 「ありがとうございます、セシールさん。あと、良ければその、……そっちのドレスも……」


 「いいわよ、なんでも持って行ってちょうだい」


 「ありがとうございます!」


 結局、俺が選んだ黒っぽいローブのような服と、純白に近いピンクのワンピース、それからセシールが選んだ立派なドレス。この三着をもらうことにした。

 無償で譲ってもらうということに抵抗はあるけれど、善意で作ってもらった物を受け取らない方が無礼か。そう思い、俺は何も言わずにセシールが衣服を畳み、包装し、紙袋に入れるという一連の動きをぼんやり眺める。


 そういえば、今俺が着ている黒いローブ。これを彼女からプレゼントしてもらった時は、随分と包装が下手くそだった。それが今では慣れた手つきで綺麗に包装している。


 (ふふん、私も成長するのよ)


 不意に、セシールがそんなことを言っていたことを思い出す。

 彼女は、俺の知らないところできっといろんなことを覚えた。勉強して、学習した。努力してきたことだろう。


 ……俺は、どれだけ成長できているだろうか。


 ひどく不安になる。彼女はどんどんいろんなことを覚えていくし、色んな事に挑戦している。それはすごく喜ばしいことだし、そんな友人を誇りに思う。


 でも、俺は?


 俺は、ここ数年、ここ数ヶ月、ここ数日。どれだけ成長できているだろうか。いや、どれだけ向上心を持って日々を過ごせていただろうか。

なんだか、セシールにどんどん置いていかれているような気持ちになる。彼女だけじゃない。ウィリアムやアニスも、少しずついろんなことに挑戦して、強くあろうとしている。俺ばかりが、どこか停滞しているような、そんな気持ちばかりが湧き上がってくる。俺は……。


 「ソルさん! まーた、怖い顔になってますよ!」


 そう言って、俺の鼻の頭を指先でつつく少女。一瞬驚いて目を丸くする俺を見て、レリィは柔らかく微笑む。


 「何を考えてるのかはわからないですけど、ソルさんは笑っていた方が、その……素敵ですから」


 「……」


 「だから、えっと……」


 こんなに小さい女の子にまで、気を遣わせてどうするんだよ、俺は。


 情けない、と自分を心の中で罵りながら、俺はレリィの頭に手を乗せる。


 「ありがとう、レリィ」


 「あ。え、えへへ……」


 「まーたアンタばっかりレリィちゃんを独り占めして~。腹立たしいわ本当に」


 本当、なんで俺なんかにこんなにいい子が一緒にいてくれるんだか。でも今は、ただひたすらに彼女の存在がありがたかった。


 「そうだな。ギルドのリーダーがこんな冴えない面じゃ、他のメンバーに示しがつかないよな。ありがとうレリィ。それから、セシールも」


 「うぇ、私は何もしてないじゃないのよ。なんでそこで感謝するわけ?」


 「別に。日頃のお礼を今言ってもいいだろ?」


 「はあ。なーにさわやかな笑顔してんのよ。はっ倒すわよ」


 「なんで!?」


 「むかつくから」


 ひどい会話だ。日頃の感謝を述べたら怒られた。しかも理由がむかつくから、とは。

 まあ、もしかしたらそれも彼女の照れ隠しなのかもしれない。そう考えたら、可愛げのある奴だ。




 「じゃあ、また後でな、セシール。店の用事が終わったら、早く戻って来いよ」


 「言われなくても、すぐに帰るわよ。今は私の家でもあるんだからね。……っと、わ、ちょっと待って二人とも!」


 俺たちが帰ろうとすると、セシールは慌てた様子で店の奥へと駆けてゆく。いろんなものをひっくり返すような音を建物中に響かせながら、彼女はすぐに戻ってくる。


 「ごめんごめん、コレ、皆に渡しておいてくれる?」


 「? 何これ」


 渡されたのは紙袋。そこには、レリィがもらった服と同じように包装された、一回り小さい包みがいくつも入っている。


 「太陽のギルドのために作った揃いの衣装よ。まあ、中身はただのマントだけど」


 「マント? なんでまた」


 「任務の時とかに着ければ、一目で私たちが太陽のギルドの人間だってわかるようにしたかったの。それで、大急ぎで仕立ててたんだけど、普通の服よりかはマントとかの方が脱着しやすいでしょう? 身に着けててもそれほど運動に支障ないし」


 「なるほど。一つ見てみても?」


 「ええ。デザインに困ったけど、まあ我ながらいい出来だとは思ってるわ」


 包みを一つ開ける。そこに入っていたのは、少し丈の短めのマントだ。全体が白い生地で作られているが、どういうわけか、肩口の方に向かうにつれて赤い色に変化している。なめらかな色の移り変わりに少しばかり感動しながら、俺はマントを広げる。


 「へえ、すごいな。綺麗だ。……裾の方に、何か刺繍で文字みたいのがあるけど、コレは?」


 「大したものじゃないわ。おまじないの一種よ。まあ、漠然としたお願い事みたいなものだから、あんまり効き目はないかもだけど。気にしなく大丈夫よ」


 「す、すごいですね……」


 「まさかお前、これも無償だって言うんじゃないだろうな……」


 「あったりまえでしょ。ギルドからお金なんかもらえないわよ。もらったところで収益としてギルドに納金するんだし、意味ないじゃん」


 「それもそうか。悪いな、セシールにばっかり大変な思いさせて」


 「いいのよ、全部私が好きでやってることなんだから。それ、帰ったらみんなに配ってよね」


 「ああ、わかった。ありがとうな」


 「どういたしまして」






 店から出て、しばらく歩くとレリィが口を開く。


 「素敵なマントでしたね」


 「ああ、そうだな。それにしてもあのおまじないの文字、なんて書いてあったんだろうな?」


 「私、ちょっとだったら読めますよ?」


 「え、マジで!?」


 そもそもあれがどこの国の言葉なのか、どの時代の物なのかも俺にはわからなかったというのに、いつの間にレリィはそんな天才少女になったんだ!


 「以前、魔法の勉強をしていた時に、古代語についてもほんの少し勉強したんです。とは言っても、本当にちょっとですけどね。多分、『求める』『安全』『平和』って言葉だと思います。文法について、詳しくは分からないですけど」


 照れ笑いしながら、自慢げに語る彼女に尊敬と感動の視線を送りながら、俺は考える。


 「……みんなに安全と平和を。そういう意味なのかな」


 「そうかもしれませんね。安全と平和を、ですか。……なんだか、優しい響きですよね」


 確かに、願い事としては漠然としているけど。でも彼女らしい、優しいおまじないだと思う。


 「とりあえず帰ったら、皆にコレ渡そう。きっと喜ぶぞ」


 「そうですね! カッコいいですし、早く装備してみたいです」


 笑顔でそんなことを言いながら、俺たちは家へと戻る。


 安全と平和を。太陽のギルドのみんなに。そして、できることなら、全ての人々に。


 優しい願いを胸に抱いて、俺たちは出かけた時よりも元気に正門をくぐったのだった。


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