第十話 最近のガンダムの主人公機って最終的にファンネル持ちになるよね
更新が大幅に遅れてごめんなさい。
最近忙しくてあまり執筆する時間がありませんでした。
これからはもう少し速くするようにします。
ダイダロス=デミウルゴスは早足に城の中の廊下を歩いていた。細身ながらも筋肉のついた長身。藍色の髪に銀縁の眼鏡。片手にある資料の入ったファイルを抱え、白衣を翻しながらカツカツと音を立てて大理石で出来た廊下を歩いていた。
そしてとある大広間にたどり着いた時、この城の主がこちらを振り向いた。
「ダイダロスか。どうかしたのか?」
「私も、太陽祭の様子が気になりましてね」
「そうか。これから第二予選が始まるところだ」
「ふむ。そのようですね。ヘリオス様が気にかけているあの二人の調子はどうです?」
「どうやら絶好調のようだ。第一予選でいきなり《三機体同時破壊》を披露してくれた」
「それはそれは」
ダイダロスは手元のファイルから太陽祭の参加者のデータの記載されているページを開いた。
「《古代魔力融合炉》......ヘリオス様、一つ質問してもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「何故、《古代魔力融合炉》の解析を学生に託したのでしょうか?」
沈黙。
それが一瞬、この二人の間に流れた。
ヘリオスは遺跡から発掘された《古代魔力融合炉》の内の一つの解析を第零科の学生に全て一任している。
研究所の人間には殆んど触らせていない。残りの二基もそれぞれヘリオスの信頼するある場所に託している。
それがどういう意図なのか。
それを暗にダイダロスはヘリオスに質問しているのだ。
「そんなに気になるか?」
「当然ですね。あれだけ研究価値のあるものを学生に解析を依存するなど、本来はありえません」
「そうだろうな」
「では何故?」
「それは......」
ヘリオスはダイダロスの方を向きながら、健太郎ならば確実に悩殺されてしまうであろういたずらっぽい笑みで、
「秘密だ」
と、ウィンクを返した。
□□□
太陽祭第二予選。
フィールドに隠された全部で三つあるフラッグを探しだしたチームが勝利となる。フラッグは一人一つまでで、各ブロックで全部で三機が次の予選に進むことが出来るのだ。
この予選は各ブロック全て並行して行う。本来ならば順番に予選を行いたい所なのだが、《もの探し》という予選の性質上、どのくらいの時間がかかるのかわからない。予選内容によっては予選そのものがマンネリ化してしまいかねないので、観客の盛り上がりなども考慮した上で、三ブロック同時に予選を行う。
Aブロックは街から離れた場所にある砂漠地帯で行われる。各参加チームには予選突破後のフィールドは既に伝えているので、その地形に対応した装備で予選に参加することになる。
そして、砂漠地帯にAブロック全ての機体が揃った。
まず、観客の目を一番に集めたのは、《インバネスコート》を装備した《オリオン・ベテルギウス》だった。
他の機体とは明らかに違うそのシルエットに多くの観客が目を奪われてしまった。
腰には伸びたアームに左右三基ずつ小型遠隔操作情報収集用武装、《キッズドール》と呼ばれるまるで子供のようなMCDが搭載されているので、それに関しても注目を集めている。
「おいおいなんだよあのとんでもない完成度」
「あれ、本当に学生が作ったものなのか?」
《オリオン・ベテルギウス》の姿に街中の観客がざわめく。それは参加チームも同じで、同じAブロックの機体は頭部カメラをわざわざ《オリオン・ベテルギウス》に向けているものもいる。
「ん? 何で皆じろじろこっちを見ているんだ?」
「......?」
当のパイロット二人は、そのことにまったく気づいていないが。
そもそもこの二人にとって、《この完成度で当たり前なのだ》。それは第零科の開発チームを信じてのことであり、その中で今までやってきたからこその感覚だった。
フラッグはフィールドの様々な場所に隠されている。それは地中であったり木々の中だったり、水の中だったりする。
B、Cブロックは既に同じ砂漠地帯で予選を始めており、いくつか第三予選に進出が決まった機体も現れ始めている。その中には当然、《カトル・シャウラ》も含まれている。
「はあ、まだ始まらないのかな?」
「......本部でのトラブルも、もうすぐ復旧するらしいから多分そろそろ......」
と、その時。
コックピット内に一つのウィンドウが展開される。それは、ようやく第二予選が行われるというものだった。
□□□
第二予選開始通知が謝罪の言葉と共に送られてくると、今度は各参加機体の移動が開始された。フィールドである砂漠地帯にまで運び込まれ、バラバラのポイントに配置された。
そして、第二予選開始。
それと同時に、一斉に各参加機体が動き出した。フィールドとして指定されている砂漠地帯は直径十㎞。その中にあるフラッグを先に探し出さなければならないので、これはスピードの勝負でもある。
だがここで、《オリオン・ベテルギウス》は動かなかった。
スタート地点でただじっと静止している。
《オリオン・ベテルギウス》に注目していた観客がなんだなんだとざわめき立った瞬間。
「――――いけっ! キッズドール!」
腰から伸びたアームに左右三基ずつ搭載された《キッズドール》が射出された。同時にコックピット内にホロウィンドウが大量に表示される。
健太郎はその全てに表示されるキッズドールが得た情報を解析し、分析し、理解した。
それぞれの方向に射出された《キッズドール》は極光魔力によるセンサー強化によって地形データを瞬時に解析し、その情報を機体本体に送る。
「けんたろー、どうして叫んでるの?」
「い、言ってみたかったんだよ......」
「?」
無駄口を叩きながらも、健太郎は着々と送られてくる情報を処理していく。これを始めた当初は、こんな無駄口を叩く暇などなかった。
だが、ディオーネとの加速魔法と並行で行われた情報処理の特訓によりなんとか形には出来た。
だが今でも、《普通の状態》ではこれだけの情報を一度に処理することは出来ない。それが可能となったのは、並行して特訓が行われた《加速魔法》にある。
加速魔法とは本来、体、もしくは体の一部分を加速するものだ。だが、この場合、加速魔法によって加速させているのは《脳の信号》だ。
人間は脳と体との信号のやり取りで成り立っている。ならば単純にそのやり取りを速くすれば、体が起こすアクションも速くなる。
今回の場合、加速させたのは《脳の情報処理能力》である。加速された処理能力によって、現在健太郎は本来常人が処理するであろう量の数倍以上の情報を処理している状態にある。
「何処だ......何処にある......?」
キッズドールは小回りがかなり効く上に極光魔力による加速力もある。
この予選フィールド全てを探索するのにあまり時間はかからない。
□□□
アルバーレ=グランツィオは第一科の二年生だ。
今年、第一科からは自分を含めて二人の生徒がこの太陽祭に出場している。
実はそれなりにMCDの操作技術には腕に覚えがあって、第一科の中でも期待されていた。
自分には才能があると思っていた。
運も。実力も。
実際に、この太陽祭の第一予選を突破し、さらにこの第二予選では偶然にもフラッグをすぐに見つけることが出来た。
(ほら見ろ。やっぱり、実力では俺達の方が上だ)
第一予選ではあの――アルバーレがもっとも嫌う――第零科の生徒が一位突破というのはとうてい受け入れられなかった。自身の目の前で起こったこととしても、だ。
全て偶然。
学園では「学園のお荷物」などと呼ばれているあの集団が自分達よりも上だということはとうてい信じられない。
「見ろよ、また失敗してたぜ」
「わけの分からないものを作って......」
「所詮は落ちこぼれだよ」
その同級生達の態度は間違っていないと思っているし、正しいとさえ思っている。
実際に、アルバーレだってそのような態度をとってきたし、それ故に目の前で起こったことは事実として認められず、自分達が勝者だと思っているし、そして、自分達には《勝者》としての運も持っている。
「反応は地中から......ならば、ここを掘り起こせば......」
アルバーレは勝利を確信しながら、機体から地中を掘り起こすための装備を展開させた。
□□□
「見つけた」
ディオーネがそう呟いたと同時に、健太郎にもフラッグの居場所を感知する事が出来た。すぐさま機体を加速させ、その場所に向かう。
そのまま加速しても間に合わないので、極光魔力によって加速力を増大させる。
「フラッグの真上に別の機体の存在を確認」
「まずいな。このままだと先に取られる......ランダム配置されたスタート地点の近くにたまたまフラッグがあったのか?」
フラッグを見つければ予選を突破できるが、いざとなれば《取り合い》になることもある。ようはこの場でも戦闘が許可されており、フラッグを入手するまではこの予選は戦闘も考えられる。
「武装は......ダガーだけか」
「大丈夫?」
「当然」
そして、驚異の加速力でフラッグの位置まで到達した《オリオン・ベテルギウス》はその敵機体と対峙する。どうやら《カリナス・カノープス》を改良した物のようで、今まさに地面を掘り起こすためにドリル型の武装を使わんとしようとしているところだった。
それを目撃すると同時に腰に収納していた先の曲がったパイプを取りだし、口部に装着する。このパイプの内部には丸々MCDの演算機能を上げる高性能コンピュータが入っており、これを装備する事によってインバネスコートを装備した《オリオン・ベテルギウス》の情報処理能力を向上させることが出来るのだ。
しかし、これを使用するとフル稼働させたコンピュータにより機体内部に熱が籠り、オーバーヒートする危険性がある。故に、こうしたパイプの形にして分離させているのだ。
そして機体内部に籠る熱はインバネスコート換装時に設けられた頭部の口部とパイプから放熱を行う。
追加パーツによって向上した演算機能により瞬時に相手の全ての武装を解析した。更に、得た情報を全て活用、応用させ、敵の攻略法を導き出す。
加速。
同時にダガーを展開。
「き、貴様!?」
敵――第一科の生徒――がようやく健太郎達の接近に気づく。慌てて武装を構えようとするが、健太郎からすればその動きは圧倒的にぎこちない。
「邪魔だ」
瞬間。
極光魔力によって莫大な加速を得たオリオン・ベテルギウスが通り過ぎると同時にダガーによってカリナス・カノープスの改良型が切り刻まれた(当然ながらコックピットは残してあるが)。
「......今のは確か第一科の......」
「ん? そうだったのか?」
そのことにはあまり気にかけず――むしろ大した事とは思えず――地中に目をやる。
「地中を掘り起こすための装備ってなかったよな?」
「その通り」
「だよなぁ。なら......」
インバネスコートによる情報処理を発動。地中に埋まっているフラッグの位置を正確に把握し、拳に極光魔力を集約。同時にその拳を――――、
「はっ!」
地中に叩き込む。
途端に地響きが起こり、地面が吹き飛んだ。
そもそもこの砂漠地帯がフィールドに選ばれたのはこの地形そのものが《硬い》からだ。MCD同士の戦闘にも耐えられるぐらいに。
だがこのオリオン・ベテルギウスの放った一撃は、この地形を変えたのだ。
そして健太郎とディオーネの目の前には吹き飛んだ地面の中心に極光魔力に包まれたフラッグが鎮座していた。
それをオリオン・ベテルギウスはフラッグに悠々と近寄り、そして掴んだ。
街は驚愕の渦に包まれた。
オリオン・ベテルギウスがフラッグを入手したタイムに目をはなせなかった。
「三分? 三分だと?」
これまでの大会の最速タイムは二十分台。それを十七分も更新してしまった。たった一分更新するだけでもかなりの運と実力、更に機体の性能を必要とする。
それをいとも簡単に、アッサリと、何でもないかのように更新してしまった。
「すげえ......!」
「圧倒的過ぎるだろ!?」
「本当に学生なのか?」
「信じられねぇ......!」
会場が驚愕に包まれる中、たった一握りの人間達が空上のホロモニタを見上げながらオリオン・ベテルギウスに視線を注いでいた。
「見つけたぞ......古代魔力融合炉搭載機を......」
関係ないけど最近、ガンダムAGEのガンプラを買ってみました。
種時代のガンプラに比べると凄い出来でビックリしました。
腕とかグリグリ動きますからね。
AGE-1、AGE-2ダークハウンド、AGE-FXを買ったのでこのさいもうAGE-2とAGE-3を揃えちゃいたいと思います。
最近、自分の中で再びガンプラブームが到来しているので何か買おうと思ったんですが、誰かオススメのガンプラを教えてください。
今のところ赤枠改、青枠リヴァイとGNアームズのどれかを考えてます。
というか更新が遅れて本当にごめんなさい。
ラストバトルと結末は考えているのでこの作品は必ず完結させます。
次からはもう少し速めに更新します。




