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守護の果て、炎が羽ばたく

空が裂けたような咆哮が荒野に響き渡った。

大地が震え、砂が爆ぜるように舞い上がる。

レーネは思わず耳を塞ぎ、顔をしかめた。


「な、何ですか……あれ……!」


雲を突き破るように、黒い影が降下してくる。

翼は黒炎のように揺らめき、鱗は金属のような光を反射していた。

その眼には、赤い残滓が妖しく灯っている。


――黒翼竜バル=ラグナ。


ポルが両刃剣を構え、喉の奥で低く呟いた。


「……なんだよ、あの化け物……!」


バル=ラグナが咆哮する。

その声は空気を震わせ、レーネの魔力を乱した。


「くっ……魔力が……乱される……!」


アッシュは新たな剣を両手に構える。

「レーネ、下がれ!」


「いえ……私が前に出ます!」


レーネは魔力を集中させる。


「アイスシールド!」


氷の大盾が三人の前に広がり、バル=ラグナの急降下を受け止めた。

衝撃で地面が割れ、砂が爆ぜる。


ポルは急いで受け身を取る。

「うお!」


レーネは次の攻撃に備える。

「まだです……!アイスウォール!」


巨大な氷の大盾が地面から隆起し、バル=ラグナの黒炎ブレスを受け止める。

氷壁が黒く焦げ、ひび割れながらも、レーネは必死に支え続けた。


アッシュは炎化のために魔力を練る。

「レーネ! 無理するな!」


「アッシュ殿を守るのが……私の役目です!」


バル=ラグナが空中へ舞い上がり、翼を大きく広げる。

次の瞬間、空から衝撃波が降り注いだ。


「アイスヴェール!!」


レーネの周囲に氷の膜が張られ、衝撃波を受け止める。

しかし、結界は一撃で砕け散った。


レーネの身体が吹き飛ばされる。

ポルが咄嗟に抱きとめた。


「レーネ! 大丈夫か!」


「……はい……ですが……魔力が……」


レーネの呼吸は荒く、額には汗が滲んでいた。

それでも、彼女は震える手で剣を握りしめる。


「まだ……立てます……!」


バル=ラグナが旋回し、空から一直線に急降下してくる。

その影が地面を覆い尽くす。


「ポル、レーネを守れ!」


「任せろ!」


アッシュは黒炎を解放した。


「炎化!!」


黒炎が爆ぜ、アッシュの身体を包む。

前回の炎化とは異なりサイズも大きく、背中には黒炎の羽が生えていた。

炎化したアッシュは空中でバル=ラグナの爪撃を

黒炎を纏った二本の剣で受け止め、空中で火花が散った。


「――――――ッ!!」


「くっ……重い……!」


バル=ラグナの爪は、アッシュの一部と化した両剣を押し返すほどの凄まじい力を持っていた。


レーネは立ち上がり、最後の魔力を振り絞る。


「アイス・バルワーク!!」


複数の氷盾が連続して展開し、アッシュの背後を守る。

バル=ラグナの尾撃が氷盾を砕きながら迫るが、レーネは歯を食いしばって耐えた。


「アッシュ殿……今です……!」


アッシュは地面を蹴り、黒炎を纏った剣でバル=ラグナの胸部を貫いた。


爆発。

バル=ラグナが後退し、空中で体勢を崩す。


しかし――

バル=ラグナはすぐに翼を広げ、再び空を支配した。


レーネは魔力が底を尽き掛けていた。


「アッシュ殿! あれは……魔力の塊です!

 普通の魔物ではありません……!」


「わかってる……!」


バル=ラグナが口を開き、黒炎のブレスを溜め始める。


レーネは最後の魔力を絞る。

「アイスウォール……っ!」


レーネの氷壁は薄く、ひびが走り、

今にも砕け散りそうだった。


「アッシュ殿……っ!

 もう……持ちません……!」


アッシュはレーネの声を聞きながら、

黒炎をさらに練り上げる。


「……大丈夫だ。

 ここは……俺が止める!」


バル=ラグナが咆哮し、

黒炎のブレスを放った。


荒野が黒く染まり、

空気が焼けるような熱が押し寄せる。


レーネのアイスウォールが砕け散る。


「――ッ!!」


その瞬間、

アッシュの黒炎が爆ぜた。


「うおおおおおおおおッ!!」


黒炎の羽が大きく広がり、

アッシュは両剣を交差させて前へ突き出す。


黒炎が二本の剣に集中し、

巨大な“黒炎の盾”のように広がった。


バル=ラグナのブレスと、

アッシュの黒炎が激突する。


空間が歪み、

地面が抉れ、

砂が爆風で吹き飛ぶ。


ポルはレーネを庇う。

「アッシュ!!」


「アッシュ殿……っ!!」


「まだだ……押し返す……!!」


黒炎がさらに濃く、深く、重くなる。

まるで“竜の咆哮”がアッシュの背後から響いているようだった。


バル=ラグナのブレスが押し返され、

黒炎が逆流するように竜の口元へ迫る。

「――――――ッ!!」


アッシュの髪が赤く染まった。


「……終わりだ」


黒炎が二刀に収束する。

その刃は、炎ではなく“黒い光”のように輝いていた。


アッシュ

「これで終わりだ!!」


アッシュが跳躍した瞬間、

黒炎の羽が爆ぜ、

彼の身体が空へと射出される。


二刀が“落下軌道”を描き、

黒炎が尾を引く。


その軌跡はまるで、

空から落ちる隕石のようだった。


バル=ラグナの胸部へ、

アッシュの一撃が叩き込まれる。


「――――ッ!!」


黒炎が内部へ侵食し、

竜の身体を内側から焼き裂く。


次の瞬間、

バル=ラグナの胸部が爆ぜた。


バル=ラグナは絶叫しながら墜落していく。

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