封鎖された道へ
ギルドを出ると、街の喧騒が嘘のように静かに感じられた。
アッシュは依頼書を手にしながら、ゆっくりと歩き出す。
ポルが隣で腕を組む。
「……まさかバルドーグさんに会えるとはな」
レーネが微笑む。
「アッシュ殿もポル殿も、昔は本当に色んな方に慕われていたのですね」
アッシュは首を横に振った。
「……慕われてはいない。
ただ、必要とされていただけだ」
その言葉は淡々としていたが、どこか寂しさが滲んでいた。
その時、後ろから三人に声がかかる。
「俺も連れて行ってください。
一緒にあなたの剣を作りたいんです」
その声はガンリックだった。
レーネが驚いて応える。
「Sランク危険区域ですよ?死ぬかもしれませんよ?」
ガンリックは覚悟を決めた顔をしている。
「構いません。一緒に作る剣の鉱石を
俺の手で探したいんです」
アッシュは静かに応える。
「......わかった。戦闘は俺たちに任せて
お前は鉱石を探してくれ」
ガンリックは喜びの声をあげた。
「はい!あなた達の邪魔にならないよう
精一杯頑張ります」
四人でドワルガン北部へ街を抜けると、山岳地帯へ続く一本道が現れた。
空気は冷たく、風が岩肌を削るように吹き抜ける。
「鉱山までは半日の道のりです。
ですが……封鎖されてから誰も近づいていません。
魔物の数も、強さも……予測できません」
ポルが足を叩く。
「心配すんな。俺たちがついてる」
レーネも頷く。
「アッシュ殿の剣を作るためです。
必ず、ヒートストーンを手に入れましょう」
アッシュは静かに前を見据えた。
「……行こう」
山道を進むと、巨大な鉄柵が道を塞いでいた。
“立入禁止”の札が風に揺れている。
柵の前には、冒険者ギルドの封鎖印が刻まれていた。
ガンリックが息を呑む。
「……本当に封鎖されていますね」
ポルが柵を押すと、重い音を立てて開いた。
「ギルドマスター直々の依頼だ。
文句は言われねぇよ」
レーネが周囲を見渡す。
「……静かすぎますね」
アッシュは足を止め、地面に触れた。
「魔物の気配が濃い。
……ここから先は、戦闘になる」
ガンリックが不安げな表情をしている。
アッシュは首を振った。
「お前がいなければ、剣は作れない。
ここに来た時点で……もう仲間だ」
ガンリックの目がわずかに揺れた。
「……ありがとうございます」
柵を越えると、空気が一変した。
冷たく、重く、どこか湿った風が吹き抜ける。
レーネが呟く。
「……魔力の流れが乱れていますね」
アッシュは前を見据えた。
「グレイ鉱山は……すぐそこだ」
三人とガンリックは、封鎖された道の奥へと進んでいった。
その先には、誰も知らない危険と、アッシュの新たな武器の材料が眠っている。




