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Sランク危険区域への招待

ガンリックが炉の前で腕を組み、深く息を吐いた。


「アッシュ殿の剣を作るには……

 “耐熱鉱石ヒートストーン”が必要です」


ポルが眉を上げる。


「ヒートストーン? あれは確か……」


ガンリックが頷く。


「はい。ドワルガン北部の《グレイ鉱山》でしか採れません。

 ですが――今は立ち入り禁止です」


レーネが驚く。


「立ち入り禁止……?」


ガンリックは苦い表情を浮かべた。


「魔物が巣食ってしまい、冒険者ギルドが封鎖したんです。

 Sランク危険区域に指定されていて……

 普通の冒険者では近づくことすら許されません」


アッシュは静かに言った。


「……ギルドに行ってみよう」



ドワルガン中央区にある冒険者ギルドは、石造りの巨大な建物だった。

中に入ると、冒険者たちの声と依頼書の紙の匂いが混ざり合っている。


受付の女性が三人を見る。


「ご用件は?」


ポルが前に出る。


「グレイ鉱山の依頼を受けたい」


受付嬢は目を丸くした。


「……あの鉱山はSランク危険区域です。

 あなた方のギルドカードを拝見できますか?」


三人はカードを差し出す。


アッシュは冒険者ギルドに入りたてのFランク。

ポルは試験が必要なCランクを受けずDランク。

イシュヴァルの王国軍に所属しているレーネは

冒険者ギルドに所属すらしていなかった。


受付嬢は確認し、困ったように眉を寄せた。


「申し訳ありません。

 あなた方のランクでは受注できません」


レーネが小声でアッシュを見る。


「……やっぱり無理なんですね」


アッシュは黙って受付の奥を見つめていた。


そのとき――

ギルドの奥から、重い足音が響いた。


「……今、グレイ鉱山と言ったか?」


現れたのは、筋骨隆々のドワル族の男。

長い髭を三つ編みにし、鋭い目をしている。


受付嬢が慌てて頭を下げた。


「ギルドマスター!」


男は三人を見て、目を細めた。


「……お前ら、どこかで見た顔だと思ったら……

 アッシュにポルじゃねぇか」


ポルが驚く。


「まさか……バルドーグさんか?」


男――ギルドマスターのグラドは豪快に笑った。


「おうよ!昔ドワルガンに派遣されてきた時、世話してやったもんだぜ!」


レーネが驚いてアッシュを見る。


「アッシュ殿、知り合いだったんですか?」


アッシュは短く頷いた。


「……昔、世話になった」


バルドーグは腕を組み、三人を見下ろす。


「お前らの強さは俺が一番知ってる。

 Sランクだろうが関係ねぇ。

 俺が直々に依頼を出せば問題ない」


受付嬢が慌てる。


「ま、マスター!? 規定が――」


「規定より実力だ。

 あいつらなら、Sランクでも生きて帰る」


アッシュは静かに言った。


「……助かる」


バルドーグは笑い、依頼書を差し出した。


「受けろ。

 《グレイ鉱山の魔物討伐》

 ――ギルドマスター・バルドーグ直々の依頼だ」


ポルが拳を握る。


「よし、行くか!」


レーネも気合を入れた。


「アッシュ殿の剣……必ず手に入れましょう!」


アッシュは依頼書を受け取り、静かに頷いた。


「……行こう」


こうして三人は、封鎖された危険区域へ向かうことになった。

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