第三章
「おっ旨そう」
お風呂から上がってきた信吾くんは頭を乾かしながらやって来た。
テーブルに並んだのは焼き上げたハンバーグとサラダ。そして野菜スープ。
やっぱりどうしても野菜が不足がちになるから、野菜はいつも多め。
「信吾くんには敵わないだろうけど……」
両親が共働きの家庭だったらしく、何かと家事をこなしていたらしい彼は料理もそつなくこなす。
そんな彼なら完璧に作り上げるんだろうけど、私のハンバーグはやっぱり少し焦げてしまった。
まぁ半分は彼のせいだけど。
「そんなことないよ。すっげー旨そう」
ニッコリ笑う信吾くんにつられて私も笑う。
「「いただきます」」
二人で一緒に手を合わせて。
なんだか新婚さんみたいだ、とか我ながら恥ずかしい事を思ってしまう。
「なんか新婚っぽいね」
ぽつりと出た信吾くんの言葉。
君も同じこと考えてたの……?
そんな些細なことで嬉しくなった。
「うん、旨い!」
大きく口を開けてハンバーグを頬張る姿に、作って良かったと思った。
もう私の生活には信吾くんの存在が組み込まれてる。
このハンバーグもそう。
気付いたら彼の好きなものを作ってる私。
相当彼に惚れてることを実感した。