第一章
前作の続編とはいえ、名前がなかったのでここで人物紹介を。
主人公(彼女)
白峰 歩果
歩果の彼氏
川棚 信吾
歩果の同僚
玉田 巧
です。
それではお楽しみくださいm(__)m
―幸せってなんだろう
目の前の書類に目を通しながら、私は小さく溜め息をついた。
「白峰さん、幸せが逃げちゃうよ?」
「あ……」
頭の上から降ってきた言葉に慌てて口を押さえる。
ふと見上げると、ネクタイを緩めた同僚の玉田くんが笑っていた。
「今戻ったの?」
「あぁ、ちょっと早めに終わったんだ」
ニッコリ笑う玉田くんは絵に描いたような王子様。
その証拠に私の後ろでは黄色い声が上がっている。
「お疲れ様」
「白峰さん、まだ仕事?」
「え……?ええ、あと少しね」
手にした書類を指差し答えると、玉田くんは腕時計に目をやる。
「俺、今から部長のとこ行ったらあがりなんだ。晩御飯でもどう?」
チラリと白い歯を見せて笑う玉田くん。
普通の女の子達なら、誘いに乗るんだろうけど。
「遠慮しとく」
第一、背後の視線が痛すぎる。
玉田くんと親しげに話してるだけでもこれなのに、食事でも行こうものならたまったものじゃない。
「えー?残念だなぁ」
じゃあまたの機会に、と片手を上げて去っていく姿はやっぱりかっこいい。
でも
「ちょっと苦手なのよね」
小さく呟きながら、私は苦笑いを浮かべ、彼を見送った。