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五円玉で縁切り

 作法はいろいろあるだろうが、簡単に言うと交差点に五円玉を棄てるだけだ。


 ほら、あるだろう。「十分ご縁がありますように」と十五円を賽銭箱に入れたり、「交差点に落ちている小銭は拾ってはいけない」と教えられたり。だから俺は五円玉を交差点に棄ててきた。これで幼馴染・工藤春香との縁を切る。切らないといけない。俺は春香にとって害悪だから。


 丑三つ時の静かな道を家へと歩く。


 その時、


「これ、落としましたよーッ!!」


「ヒュッ」


背後から声がした。心臓が止まるかと思った。


「な、ななな」


振り返ると金髪碧眼の美少女が五円玉を持って立っていた。正真正銘俺が棄てた平成20年のやつ。


 当然、俺は逃げた背後からガチャンガチャンと音がする。甲冑のようなものを来た外国人の美少女が日本の住宅街を丑三つ時に追いかけてくる。そうか、これは夢か。夢なんだな。


「これお金でしょー? ねぇなんで逃げるのーッ!?」


当然逃げる。全力疾走ですとも。だってこういう夢は、捕まってはいけないと相場が決まっている。


 にしても速い。追い、付かれ──た。


「はい、これどうぞ!」


長い金髪を一本の三つ編みにした大人しそうな顔つきだが、喋るとなんかアホっぽい。話が通じなさそうだ。うん、縁切りは明日やり直そう。


「はぁ……はぁ……あ、ありがとう……ございます。──え、」


硬貨を右手で受け取った瞬間、その手と効果を差し出してきた右手が金色の鎖で繋がれた。


「あれっ!? なんでっ!?」


そして、足元にぽっかりと穴が開いて、俺を美少女は落下した。

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