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3「いいね❤ × 1時間 = 余命」

   ❤×?998




 朝のホームルームの最中、隣席の星狩(ほしかり)さんが、僕にスマホを見せてきた。顔を見ると、『いっしっしっ』とでも笑い出しそうなくらい、悪い顔をしている。

 スマホの画面には、何やらおどろおどろしい背景の上に、


『いいね❤ × 1時間 = 余命』


 という文字。❤からは真っ赤な血が滴っている。

 文字の下には入力欄がある。Twittooでよく見かける、『名前を入力して運勢を占いましょう』みたいなサイトの派生だ。

 説明文によると、ここに学校名、学年、クラスを入力すると、そのクラスのメンバーはTwittooの『いいね(ファボ)』及び『拡散(リツイート)』の数 × 1時間しか生きられない『呪い』に(かか)るらしい。

 入力欄には既に、


『猫目高校2年4組』


 の文字が入っていて、後は『登録』ボタンを押すのみだ。

 ――さて、どうしよう?


 僕は『カクヨム』に1年ほど前から投稿を始めていて、数日に1話のペースでUPしている。最近では1話UPしたら、告知ツイートに合わせて100はいいね(ファボ)拡散(リツイート)が付くようになっている。

 いくら告知しても見向きもされなかった昔を思えば、隔世の感。ちょっとした人気作家だ。


 1日生き残るのに必要ないいね(ファボ)拡散(リツイート)の数は24個。つまりこのペースを維持出来ている限り、僕は死なない。それに多分、僕には過去1年の活動で得た数千時間分の『貯金』があるはず。

 24×356=……咄嗟に計算出来ない。仮に20×400として、1年生き延びるのにざっくり8,000個必要になるのか。まぁ執筆活動は今後も続けるつもりだし、余裕で生き延びるだろう。


 ……って、いやいや僕は何を真面目に考えているんだか。こんな呪いなんて、実際にはあるわけが無い――僕は眼帯に触れる。無いとは言い切れない? いやいやいや、呪いは無いだろう。


 星狩さんは、このブラックジョークなサイトに2年4組を放り込んで、ちょっとした意趣返しがしたいんだ。クラス全員から無視(シカト)される、という苛烈なイジメに対して、何とささやかな反乱なのだろう!

 そして彼女は、僕に共犯者になって欲しいと言っているわけだ。それで星狩さんの溜飲が少しでも下がるのなら、僕は喜んで共犯者になろう。


 僕は星狩さんに対して意地悪っぽく微笑んで見せ、『登録』ボタンに触れ――





















































 ピロピロピロ♪



    ムーッムムッ



       ポーン♪



          ピロピロリン♪



             ムーッムーッ



          テルンテルン♪



       ブーッブブッ



    (流行のJポップ)♪



 「You got mail!」



    (洋楽のロック)♪



       パラリラリン♪



          ブイーンッ



             パラリラン♪



          ジリリリリン!



       ムーッムムッ



    「通知だよ! 通知だよ!」



 テンテケテンテンテンテンテンテンテン♪



    ワオン!



       パパーン♪



          ブーブーッ



             にゃ~ん



          (アニメソング)♪



       パオーン!



    (洋楽のデスメタル)♪



 ブーーーーッ



    パンパカパーン♪



       ドレミファソラシド♪



          ファーン♪












 クラス、全員の、スマホが――――……一斉に、鳴り始めた。

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