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17「考察2」

   ❤×?217




 今日は、クラス閉鎖となった。

 みんながみんな、良いネタが出来たと喜んでいた。今日出席しなかったメンバーの中には、出席しなかった事を悔やむツイートをする人が何人も居た。

 出目さんの死体とか、さっきのミキサーとか……そんな動画ばかりUPして、いいねを稼ごうとしているクラスの連中は狂っている、と思う。


「あらあらまぁまぁ、今日も早いのねぇ」


 叔父叔母の家に帰ると、叔母がパタパタと出て来た。


「はい。その、色々とありまして」


 叔母には昨日の時点で、2名が変死、1名が自殺した事は伝えてある。叔父は21時まで帰って来ず、僕は軽く挨拶しただけなので、その話が叔父にまで伝わっているかどうかは知らない。

 いずれにせよ、叔父と叔母に『呪い』の事と『左目』の事を話すつもりは無い。捜査の過程でバレてしまうのなら仕方が無い。けど、積極的に明かすつもりは無い。


「ほら、急に何人もクラスメイトが亡くなったから、クラスの女子とかが不安定で」


「かるたくんは大丈夫?」


「僕は、はい。でも、今日は自室でゆっくりさせて頂きます。お昼は、お弁当を頂きますので」


「分かったわ。何かあったら、遠慮なく言って頂戴ね」


「ありがとうございます」




   ❤×?223




 スマホのアラーム音で、目を覚ます。朝6時半。

 今日は幸いにして、眼帯を付けたままだった。

 アラームを止めるやTwittooを開き、例の『ルール説明』リツイートから『favo_min』アカウントへ飛ぶ。果たして同アカウントのヘッダは――――……


「うっ……」


『いいね❤ × 57分 = 余命』になっていた。

 1日につき5分前倒しどころの話じゃなかった。


 初日、僕が『登録』ボタンを押したのが、確か8時45分。

 2日目、何時の時点で『いいね❤ × 59分 = 余命』になっていたかは不明。

 3日目、8時40分前時点で既に『58分』になっていた。

 そして今日――4日目、6時半の時点で既に『57分』になっている。


 前倒し具合に法則性があるとすれば、

 例えば2日目は前倒し無しの8時45分。

 3日目は1時間前倒しの7時45分、

 4日目は2時間前倒しの6時45分とか?


 いやいや4日目とはつまり今日の事で、現に6時半の時点で既に『57分』になっているじゃないか。いや、仮に『1日1時間ずつ前倒し』という考えが正しいとして、常に8時45分を起点とするのではなく、前倒しされた時間を起点としたならば?

 つまり2日目は、8時45分から24時間後の8時45分に『59分』になった。

 3日目は、8時45分から23時間後の7時45時に『58分』になった。

 4日目――今日は、7時45分から22時間後の5時45分に『57分』になった。

 こう考えれば辻褄が合う。だとしたら明日は、5時45分から21時間後の2時45分に『56分』になるはずだ。


 僕は頼々子さんへ、今の考察の内容と、『だから出来るだけ急いで欲しい』旨をメールした。ざっと計算したところ、半月後には『いいね❤ × 1分 = 余命』になっているはずだからだ。

 早朝だけど、そんな事を気にしている場合じゃない。




   ❤×?229




 朝食を手早く済ませ、着替えて学校へ向かう。

 道中、2年4組たちのTwittooをチェックする。

 歩きスマホは危ないって? 言ってる場合かよ。みんな殺気立っているから、相互いいねをサボったら何を言われるか分からない。


 とりま、TLで目に付いた【Vヲタ】武威くんのアカウントを。

『大正マロンタソカワユスデュフフンヌルコポォ』

 彼はブレないなぁ。昨日の臨時配信で大喜びだ。

 彼は『V魂@大正マロン・月ノミトン・ガルルグラ・デモデモデーモン推し』というアカウント名で推しのVToberについて熱く語るVヲタだ。

 フォロワーもフォロイーも100名ほど。コアなファン同士の繋がりが強いらしく、呟けば10~数十はいいねが付いている。

 僕はそのヲタ全開のツイートをいいねしつつ、そこからVTober大正マロンのアカウントに飛ぶ。


 大手事務所『ライバーズ・ハイ』所属のプロライバー、大正マロン。

 フォロワー数、十数万。まごう事無きインフルエンサーだ。

『おはよう』と呟くだけで1,000はいいねが付く。面白い事を言ったり、配信告知をツイートすれば、数千のいいねが付く。

 文字通り雲の上の存在。

 ただ、実を言うと僕は、この人の正体に心当たりがあるんだよね。

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