再会
2話目完成しました。1話目では誤字がやばかったので修正しときます。
俺は森を走りながら何があったのか考えていた。俺は確かに、あの時キラーベアーに身体を裂かれた。服にだってその爪痕が残っている。だが、俺が起きた時、目の前には二つに分かれたキラーベアーと元通りの俺の身体があった。誰かが助けてくれたと思ったが何やら変な違和感によってその考えは消えた。そしてあの時の謎の声、懐かしい声だった。昔から知っている声。
「あ、見えた」
そうこうしている内に街が見えるところまで来た訳だが、
「は? どういうことだよ」
目の前にあるのは燃え続けている街の姿と微かに見える冒険者の影。俺は走った。ただひたすらに走る。街の入り口につき、中へ入る。そこは、まさに魔境だった。魔物が住民を襲い、それを冒険者が食い止めている。しかし、ほとんどの冒険者は敗れて死んでいる。
「クリスさん! どうしたんですかこれ!」
そう、クリスさんがパーティーメンバーと思われる人たちと戦っていた。
「帰ったのか。無事帰ってきたことを祝ってやりたいがこんな状況でよ。お前の相方と嬢ちゃんが結構危ねぇとこにいるから行ってやってくれ」
「わかりました! クリスさんもこんなとこで殺られないでくださいね!」
俺はその言葉に頷き、この場を任せてシャルルとアリスを探すことにした。
クリスさんと分かれてしばらく、俺は街の中心に来ていた。ここにはギルドがあり、この中に転移用の魔法陣がある。ギルドに近づいた時、二つの聞き覚えのある声がした。シャルルとアリスだ。二人はスキルを使って目の前の魔物、モンスターと戦っている。
「シャルル! 加勢するぜ! スキル『創造者の眼』! 開眼!」
俺は二人の元にかけより、創造者の眼を発動した。不思議と目の前のモンスターを見ても恐怖は無く、全力で叩きのめす。
「創造!『百花繚乱』」
と言って俺は掌を横に一閃。するとモンスターの身体に亀裂が入り目の前のモンスターが二つに分かれる。そして驚くことに俺が一閃したモンスターの後ろのモンスターも全て死んでいた。おそらく、俺のスキルで生み出した『スキル超強化』によるものだろう。俺はクリスさんの所に戻るべくして歩を進める。後ろから俺へのお礼が飛んできた。なるほどな。シャルルはこれを守っていたのか、だから戦えなかったと言うわけか。と一人、頭の中で話を完結させた。そして、急いでクリスさんの元へ走る。だが、
「クリスさん達のいた所まで来たが俺の出る幕はないようだな」
もう、すでに戦闘が終わっていた。
「クリスさん。大丈夫ですか? 一応ここ以外は終わらせてきましたが」
そう、俺はクリスさんの所に行く途中、モンスターを殺しまくっていた。
「お前何もんだよ。昨日冒険者になったばかりの奴にSSの俺らが遅れをとるとか」
「えーっと、そこは気合いと根性でどうにかしました」
と適当に言っておくがそういう訳ではない。あの時、シャルル達に会う前、また、声が聞こえた。『スキルの使い方を教えてあげるから言う通りにして』と、その通りにしてみたがおかげでスキルの使い方を理解した俺は急成長した訳だ。
「誰かは知らないが、助かったぜ。ありがとう」
と今は聞こえない声の主へ礼を言う。
「ん? どうかしたか?」
空を見上げる俺にクリスさんは声をかける。
「いいえ、なんでもないです。さぁ、行きましょうクリスさんの奢りでお祝いパーティーです!」
「おいおい、そりゃあねぇだろー」
クリスさんの言葉を他所に何故か被害を受けてないギルドへ向かった。
「それでは皆さん!お疲れ様でした!」
ギルド内の酒場では、冒険者を集めて打ち上げが行われていた。当然、俺やシャルルもいる訳で飲み物を注文するため、ギルドの職員を呼ぶ。
「すいません。えっと、赤ワ――」
「僕達は三人とも水で大丈夫です」
「かしこまりました」
「えっ?ちょっと待って!」
俺の言葉を他所に厨房へ戻って行った。あぁ、せっかく赤ワイン飲めると思ったのに……
「シャルルーなんでだよぉー。なんで水なんだよぉー」
「ごめんごめん。咄嗟に出ちゃった」
こいつ、許さんぞ。俺の赤ワインがぁー。
「なんだ? カナデ、お前酒が飲みたいのか?やめとけ、お前には早いんだよ」
ク、クリスまで、そんなことを。
「あ、そうそう。俺はお前に話があるんだった。ちょっと外で話せるか?」
おそらく森のことについてだろうなと思いつつ
「分かりました。わりぃ、ちょっと席外すわ」
とシャルルに伝えギルドを出た。
「ここら辺でいいかな。率直に問おう。カナデ、お前はどうやってアイツを倒した?」
まぁ、ごもっともな質問だ。なんせSSが単独で挑んで勝てないモンスターに俺が一人で勝ったことになっているからな。しかし、それについてはクリスさんにも話を聞かせてもらわないといけない。
「その質問に答える前に、あの去り際に使ったクリスさんの魔法はなんですか?」
そう、俺はこれが気にかかっていた。あの場面では通常なら支援魔法のはず。しかし、クリスさんは別の魔法を使った。支援魔法なら戦っていてわかるはずだがまた違った何かがあった。
「あー、やっぱ気づいちまったかぁー。あれはな、俺の固有スキルなんだよ。でも、発動条件が特殊でなぁ。魔法を受けた奴が命の危機を感じると発動するんだ。効果は――」
「なるほど、でも、俺は戦った記憶が無いんですよ」
「まさかお前」
「どうかしたんですか?」
何やら驚いているクリスさんは動揺を隠せていないようだ。そして、俺はクリスさんによって、あのスキルの本来の効果を伝えられる。
「あのスキルは元々――」
クリスさんとの話が終わり、ギルドへ戻った。
「あ、カナデ。遅いよー」
「すまないな、ちょっと話しすぎた」
さっきした会話に触れられないように四人で雑談をしていたところ、
「ねぇ、カナデ。あの森からどうやって抜け出したの?」
「あ、それは僕も気になるな。」
まずい、すごくまずい。ここは適当に流して――
「そうそう、その事を話してたんだよ」
とクリスさんが言うと
「あ、の、クリス、さん?」
やばい、イヤーな予感が、
「教えてくれよーカナデー、頼むよー」
「嫌だ」
「なに?私も知りたいんだけど」
「嫌だ」
「おいおいカナデ、言うぞ?」
「い――話します」
そして俺は話した。シャルル達を逃がしたあとキラーベアーと対峙し、負けたこと、気がついたら目の前でキラーベアーが真っ二つになっていたこと。クリスさんの魔法については触れなかったが、誰かが助けてくれたということで納得したようだ。
「やべ、話してたらもうこんな時間じゃないか。寝るぞ。クリスさんもありがとうございました。いろいろと」
「いいさ。また機会があったら話そうぜ。いつか中の奴ともな」
それを聞き、焦ったが二人はよく分からないようで首を捻っていた。
――ギルドの宿にて――
今日1日を振り返る。まず、護衛クエストを受けてクリスさんと出会い、化け物と対峙して生き残り、戻った街ではモンスターが大量、大半を殺してお祝いパーティー、クリスさんの魔法について聞く、か。濃すぎる一日だったな。
「そして、今、一番考えてる事は……」
そう言って胸に手をあてる。そして自分自信に問う。
「お前は、俺を助けたのは誰なんだ? それに、今日の俺チョー強かったな。もしかして主人公の立ち位置にジョブチェンジか!」
その言葉を最後に俺の濃い一日は幕を閉じた。
「ん?」
身体に違和感を覚えて俺は身体を起こす。
「どこだここ?」
宿ではない何処か、暗闇の中に俺はいた。そこは見渡す限り漆黒の闇で埋め尽くされている。その中に一柱の光を見つけた。俺は何かに吸い寄せられるかのようにそこへ歩く。やがて光は近くなり、その中心には白い椅子があり、そこには茶色い髪に琥珀色の瞳を持つ少女がいた。
「う、ああ」
俺はその姿を見て懐かしい恋人を自然と思い出してしまう。急な出来事により、頭が混乱している、嬉しみ、悲しみ、後悔等の感情が入り交じって声にならない声が口から溢れる。混乱している俺にその少女は近寄ってきて、
「大丈夫、奏は何も悪くないよ。大丈夫」
と頭を撫でながら呟いている。
「舞冬? 舞冬、なのか?」
「そうだよ奏、久しぶりだね。私の大切な人」
間違いない。俺の魂が舞冬だとそう言っている。それから数十分くらいで、俺は落ち着きを取り戻した。
「奏、実はね言わないといけないことがあるの。森での出来事のことなんだけど――」
そしてその言葉の後、俺に衝撃の事実が告げられる。
――同時刻ギルドの宿にて――
「カナデー起ーきーろっ!」
僕はカナデが寝ている部屋まで行き、カナデを起こす。しかし、次の瞬間、僕は目の前のカナデに違和感を覚えた。
「あ、おはようシャルル。もうそんな時間か?毎回サンキューな」
おかしい、カナデがお礼だと? きっと頭を強く打ったのだろう。あのカナデが礼なんてそのくらいじゃないとありえない。
「カナデ? 頭でも打ったの?」
「んぁ? えーっといや、そんな訳じゃないから。あ、でも。昨日の疲れが残ってるかなぁー」
「まぁ、そうだよね今日は街を見て歩くんだけどカナデはどうする? 一緒に行く?疲れてるならもう少しゆっくりしといた方が」
「いや、大丈夫だ。多少ダルいが何とかなるしな。ちょっとだけ待っててくれるか?」
「う、うん分かった先に外にいるよ?」
「おう。すぐ行く」
以外だった。カナデが一緒に街を見るだなんて。僕はそのまま一階に降りてギルドを出る。出てすぐの所にはアリスが待っていた。
「アリス、カナデ来るんだって。以外だよ」
「えっそうなの!珍しいわね。珍しすぎて逆に怖いくらいよ。じゃあ待ってましょうか」
そう、今までのカナデは絶対に行かなかったのだ。なんでだろう? 冒険者になって考えが変わったのかな?
「ふふっ」
「どうしたのいきなり」
思わず笑ってしまった。
「いや、思わず昔のカナデを思い出して、ほら、あの時のこと」
「あぁ懐かしいわね。確か――」
「お待たせ」
アリスの言葉を遮って登場したカナデはさっきまでの違和感は少しなくなり、いつものカナデのようだった。
「揃ったわね。じゃあ、行きましょう」
こうしておよそ二時間の間街中を歩き続けた。
これからも頑張ります!誤字等ありましたら教えて頂けると幸いです!