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二重人格者の異世界ライフ  作者: 十六夜 メア
1/2

冒険者

初投稿失礼します。色々と分からないところがあるのでアドバイスお願いします!

 

 「カナデー。おーきーてー」

 そう言って俺の体を揺さぶるその声の主は純白の長い髪に透き通るような青い瞳を持っている同い年の少年。シャルル·ジークだ。

 「どした? シャルル。こんな朝早くに」

 「どうした? じゃないよ。今日からギルドに冒険者登録できるから行こうっていったのはカナデだろ」

 あぁそういえばそんなことを言ったような気がするようなしないような。

 「そうだったな、よーし、じゃあ行くか」

 まぁ、どちらでもいいんだ。ついに俺も冒険者デビューだ。そうして、俺は眠気を抑えながらシャルルと家の外に出た。

 「もう! 遅いよ2人とも。ずっと待ってたのに」

 扉を開けると目の前に頬を膨らませて怒っている金髪と鮮やかな赤い目を持つ少女が立っていた。

 「ごめんアリス。カナデがなかなか起きなくて」

 「おいシャルル。俺のせいにするな」

 「事実じゃないか。聞いてくれよアリス。カナデってば今日のことも忘れてたんだよ」

 「お、おいシャルル。仕方ないだろ。人間誰しも物の一つや二つ位忘れ――」

 「へぇ~、カナデ今なんて? 忘れてたの?」

 少し怒気を孕んだ声でアリスは言っているが、その顔は笑っていた。その雰囲気には俺も背筋が凍るほどだ。

「あの、アリス、さん……」

 「なに?」

 思いっきり睨まれた。え、なにこれ怖い。

 「ハイスイマセンナンデモナイデス」

 やべぇ、チビりそうだったぜ。ちょっと話が変わるが、ここで2人の紹介でもしておこう。コイツら2人とは長い付き合いだ。というのは俺がこの世界に転生してからはや10年の間一緒に過ごしていたのだが、シャルルは頭がいいし顔もいいし性格もいい、運動がちょっとだけ苦手な、村じゃ天才と呼ばれるほどに期待されている。アリスも似ていて頭が良くて見た目は可愛くてちょっと妹感があるけど性格はお姉さんで村じゃ魔法の天才と、そう呼ばれている。ん? 俺か? フッ、聞いて驚けなんと! なんと! 特に何もないただのひっつき虫呼ばわりされてるモブみたいなやつだ。おかしくないか? 異世界転生と言ったらチート能力でしょ! 俺は転生したんだ! それで? 何も貰えなーい。神様の恩恵も、チート能力も、驚異的な身体能力も何もない。アニメのモブの立ち位置にいるんだ。そう理解してもう5年はたってる。この5年間、俺は主人公の立ち位置になるために何をすればいいのか考えた。そう! 考えたのだ。そして、1つの結論に辿り着く。モブから主人公へのジョブチェンジはありえない、と

 「それよりも早く行かない?ギルドに」

 おっとそうだった。ギルドに向かうところだったんだ。さぁ、ここは潔くモブとしてモブの極地を目指そうじゃないか。

 「そうだな早く行こうぜ」

 「そうね。早く行きましょうか」

 こうして俺たちはギルドに向かうことにした。


 ――数十分後――

 俺たちはギルドの前に来ていた。

 「俺、ギルドなんて初めて見たが、こんなにでかいものなのか?」

 デカかった。それはもう、大型のショッピングモールくらいに。

 「僕ももう少し小さい物だと思っていたよ」

 シャルル、お前もそう思うよな。うん、分かるぞ。

 「早く入るわよ」

 「あ、あぁ。そうだな」

 てかコイツなんでそんなに冷静なわけ? 意味わかんねぇ。俺たちはアリスの冷静さとギルドのデカさに驚きながら中に入っていく。

 中に入るとそこには冒険者と思われる人たちがたくさん集まっていた。

 「あの、すいません。冒険者の登録をしたいんですけど、どこですればいいんですか?」

俺は近くにいた大柄な男性の冒険者に聞いた。

 「おぉ。新人かぁ。それならあそこで出来るぜ」

男性はそう言って奥のカウンターを指さした。

 「ありがとうございます」

 「いいってことよ。困ったときはお互い様だろ」

 その、アニメでしか聞いたことのないセリフに俺は感激しながら教えてもらったカウンターへと向かっていく。

 「あの、すいません。冒険者の登録がしたいんですけどここであってますか?」

 「はい。こちらの方で冒険者登録が出来ますよ」

 「じゃあ、三人分お願いします」

 「かしこまりました。では、こちらのカードを使って登録しますので、手に持ってください」

 そう言われ、渡されたのにはそれぞれ名前が書かれていた。俺たちが各自カードを手に取った瞬間それが凄まじい光を放った。数秒後、光がおさまると手の中にあったはずのカードは無くなっていた。

 「あのカードはお客様のスキルの確認と登録をする物で、確認を終えると消えます。自分のスキルは『ウインドウ·オープン』で確認できますよ」

 ということなので早速試そう。

 「ウインドウ·オープン」

 すると目の前に水色のパネルが現れた。そこには説明通りスキル等が書かれていた。気になる内容は、


   キサラギ·カナデ  

   スキル

   『完全再現』

   『偽装』

   『創造者の眼』

 おぉ! なんて強そうなスキルなんだ。しかし、偽装か、これは使えそうだ。もしスキルを偽装できるなら、俺はモブを極められるぞ、とそれよりも

 「シャルル、アリス、二人ともスキルは確認出来たか?」

 そう、俺はこっちが気になるんだ。

 「うん、できたよ」

 「私もできたわ」

 そう言ってウインドウを見せてくる二人。


   シャルル·ジーク

   スキル

   『堕天』

   『魔剣グラム』


   アリス·エデン

   スキル

   『全魔法超強化』

   『無詠唱』

   『オートカウンター』

   『オートヒール』

   『時眼』


 が二人のスキルだった。

 え、俺のスキルよりも強そうなんだけど。名前かっこいいし。それに、アリスの『時眼』ってスキル名からしてチートじゃねえか。はぁこりゃ主役が持つスキルだわ。

 「これで、登録は完了しました。これからは冒険者として依頼を受けられます。その際は――――」

 その後ギルドのシステムやギルドのクランについて説明を受けた俺たちは帰路を辿っていた。

 「今日は疲れたなぁ」

 「そうだねまさか登録の時に魔力をごっそり持ってかれるなんてね。思いもしなかったよ」

 「あぁ。今日は帰ってすぐ寝ないとな。明日からばんばん依頼こなしてくぜ!」

 「張り切るのはいいけどちゃんと朝起きなさいよ。まったく、起こす側にもなってよね」

 「わ、分かった。肝に命じておくよ。何にせよ、これで俺の目的は一歩前進って訳だ」

 そう、まだ一歩だ。この広い世界であいつらを見つけるにはまだ小さいが

 「改めてよろしくな。シャルル、アリス」

 「うん。僕もよろしくね」

 「よろしく」

 こうして俺たちの冒険者生活は幕を開けた。



 ――――雨が降っていた。ザワついている商店街の人混みの中で、俺は目の前の血溜まりの中心にいる彼女こと柊 舞冬に近寄り、その体を抱きしめた。そして

 「舞冬、舞冬! ダメだ! 死んじゃダメだ」

 とそう叫んだ。いつもは綺麗な茶色の髪は血で赤く染まり、綺麗な琥珀色の眼は光を失ったように暗くなっている。もう、限界なんだと応急処置の仕方すら知らない俺にもわかった。

 「私はね。君に、いや、奏に伝えたい事があるんだ。」

 「――――ぁ」

 その時、頬につたうなにかがあった。

 「私ね、奏のことこの世界の誰よりも好き」

 「あぁ。俺も、だよ。だからこれからも一緒にいよう! 二人で」

 「あはは。嬉しいな。奏がそんな事言ってくれるなんて。でもね、もう、駄目みたい」

 「だ、駄目だ。俺は、俺は、舞冬がいないときっと生きていけない。だから消えないでくれ、いなくならないでくれ」

 そう、掠れた声で俺は言った。

 「違うよ」

 今にも消えそうな声で舞冬は俺の言葉を否定した。そして、震える手で俺の胸元を指さして

 「私は奏の傍にいる。ずっとその心の中で生き続けるの。だから、さよならなんかじゃない。奏が私を覚えてる限り私は消えない。だから、ね? 笑顔で」

 俺は涙を拭い、無理やり笑顔をつくって。

 「またな。舞冬」

 「うん、またね。奏」

 その言葉を最後に舞冬は瞼を下ろした――――



 「あ、起きた」

 俺はいつものベッドで目を覚ました。

 「あぁ。おはようシャルル、アリス」

 「あら、どうしたの? あなた……」

 アリスが心配そうな顔をしてるな。なんかあったのか、そう思った。しかし、その後に続いたアリスの言葉に俺は驚いた。

 「目から涙が流れてるわよ」

 「カナデ具合悪いの? 大丈夫?」

 「あぁ。大丈夫だ。でも、ちょっと一人にしてくれないか? 二人で先にギルドへ向かっててくれ、必ず追いつく」

 「わかった。行こうか、アリス。じゃあギルドで」

 「わかった」

 そしてシャルルとアリスは外へ出ていった。

 「はぁー」

 俺はため息をついた。気づけば涙は止まっていた。嫌な夢だった。なぁ舞冬、お前はまだ俺の中で生き続けているのか? やっぱり、お前がいないあの世界はつまらなかったよ。また、お前に会いたいよ。

 それから数十分、落ち着いた俺はギルドへ向かっていた。

 「すまん。遅くなった。で、いい感じこクエストはあったか?」

 「これとかどう?」

 そう言って一枚の紙を見せてくるシャルル。それは森に行く人達の警護だった。このくらいなら何とかなるだろ。こっちには天才が2人もいるからな!

 「まぁ、これでいっか。すいません、これ受けます」

という事で武具を揃えてクエストに向かうことにした。

 数十分後、俺たち三人は護衛対象の人の元にたどり着いた。そこには、二人組の男性がいて、一人は大きなカバンを持ちもう一人は腰にナイフを装備していた。おそらく、カバンを持った人が護衛対象でもう一人は同じクエストを受けた冒険者だろう。

 「はじめまして、僕は君たちと同じクエストを受けたランクSSのクリスだ。気軽にクリスとでも呼んでくれ」

 とご丁寧に挨拶をしてくれた。

 「よろしくお願いします。えっと、俺はカナデ、こっちがシャルルで横にいるのがアリスです。ランクSSと聞いてビックリしましたよ」

 こちらも挨拶と自己紹介をした。話してみると案外話しやすくて、ランクSSというのを忘れてしまいそうなほどだ。ちなみにランクSSは上から二番目の冒険者ランクでその後ろにA.B.C.D.Eとある。

 「じゃあ、クリスさんは暇つぶしにクエストを受けたんですね」

 「まぁそんなとこだ」

 「あの、もし良かったら冒険者の事教えてもらえませんか? 俺たち昨日冒険者になったばっかりで」

 「そうなのか。よし、これも何かの縁だ快く引き受けよう」

 こんな感じで会話は進んで現在、

 「おいおい、あまりにもデカすぎだろ」

 森の中でとてつもなくデカい熊と対峙している。

 「クリスさん! こいつは?」

 「こいつはA級モンスター、キラーベアーだ。まずいぞ、流石に俺たちじゃ。おい! 俺を置いて戻れ! このままじゃ全滅だ、街に戻って伝えろ!」

 モンスターのランクは単体ではなくパーティーを組んで戦う事が前提のランクのため、ランクAのモンスターでも、単独で挑むとなれば、いくらランクSSのクリスさんでも勝つ可能性は皆無だ。

「で、でも!」

 まぁこうなるよな。だからといって俺らには何も出来ない。しかし、ここまで来れたのはクリスさんのおかげだ。それにこんなとこでランクSSのクリスさんを死なせるわけにはいかない。だからこそモブである俺が出る時だ!

 「クリスさん! 俺が、俺がやります! ここでランクSSのクリスさんが死ぬなら死んでもこの先支障が出ない俺の方がいいはずです!」

 俺はこの場において思いつく最善の行動をする。

 「で、でもカナデ! ダメだ!」

 「シャルルの言う通りよ! 何を考えてるの!」

 「分かった。お前を信じよう、短い付き合いだが知ってるやつを死なせるわけにはいかない。必ず帰ってこい! 最後に一つプレゼントだ!」

 そう言ってクリスさんは一つの魔法を俺に放った。

 「ジキルとハイド!」

 と。この時の俺は知らなかった。この魔法がこの先の人生を変えることになるとは。

 「さぁ、やりますか」

 遠くに行って見えなくなったことを確認して俺は目の前の化け物に視点を合わせる。それから数秒、両者に静寂がおとずれるが、

 「グルァァァ!」

 静寂を打ち破ったのはキラーベアーだった。右前足の大振りから左前足の大振りと来た攻撃を俺は寸前で躱す。

 「っっぶな! こいつはマジでやばいな」

 その後も俺は攻撃を避け続けたが、体力の限界が来てしまい攻撃を受けてしまった。

 「っっっ! がはっ!」

 キラーベアーの攻撃をモロに受けた俺は胸を裂かれて大きく吹っ飛んだ。

 「ゴボッ」

 とてつもない痛みに襲われて口から声ではない何かが出てくる。血だ。喉が焼けるように熱い、身体中の出血が止まらない。まずい! このままだと完全に殺られる! クソッ! どうすればいい? どうすれば、と考えているとすかさず次の攻撃がくる。

 「ぐっっ!」

 身動き一つ取れない俺はその攻撃を正面から受けた。森の木を貫通して連続で全身に強い衝撃と痛みが走る。その時、いきなり身体を襲っていた痛みが和らいだ。それと同時に

 「あとは任せて、カナデ」

 と俺の頭のなかで声がした。その声はどこか懐かしく、暖かい声。その瞬間、俺の意識はまるで誰かと代わるかのように暗闇の中へ落ちていった。



 キラーベアーの周りは木々が倒され共に一人の人間が血溜まりの中にいた。血溜まりの中心にいたそいつは起き上がり、キラーベアーに向かってこう、言い放った。

 「俺の大切なものをよくもやってくれたね。君にはそれ相応の報いを受けてもらうよ」

 そこからは一方的な戦いだった。そいつはキラーベアーからの攻撃を未来を見ているかのように数歩動いて躱し、一瞬で背後をとって五つの魔法を無詠唱で放つ。その行動を数回繰り返すとそいつは、

 「さぁ終わりだよ。強制切断っ!」

 と言い放った。瞬間、キラーベアーの身体に線が走り二つに分かれた。

 「終わったね。カナデ、終わったよ」

 そう言ってそいつは力なく倒れた。



 「うっ!」

 瞼を上げた。そして驚いたことに傷が全て塞がっていた。

意識が戻り周りを見渡すとキラーベアーが二つに分かれて倒れていた。誰かが助けてくれたみたいだ。運が良かったと思い、俺は歩いて街に戻った。

 

お読み下さりありがとうございます。これから投稿頑張りたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

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