8.一期一会
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ゴブリン!?なんで!?
外の山の中に一匹のゴブリンがいた。地面に生えたゴブリンの背丈ほどもある植物のせいで、その存在が認識しずらいが、確かにいる。
ゴブリンは僕の驚きも知らぬまま、弓を装填している。
「…!!死ぬッ!!」
足が勝手に洞窟のほうに流れていく。蹴った地面は土を舞い、境界線の内側へ戻った。
昇りのスイッチをもう一度押せば、戻れるかもしれない。とにかく逃げないと!!
僕は急いで地面を走り回る。どこにあるんだ。スイッチ!!
部屋の右角、ない。部屋の左角、ない。部屋の下角、ない。
と、ここで僕は一つのことに気づく。
結構な時間がたっているのに襲ってこない?ってことはっ。
いた。洞窟の前に。だがきょろきょろと首を振っており、こちらを認識していないようだ。
「なんだ、これ。もしかして、魔法がかかってる?」
声を出してもゴブリンが気付く様子はない。僕はゆっくりとゴブリンに近づく。
「(ぼそぼそ)この距離でも気づいてない?」
もはや僕とゴブリンの距離は手を伸ばせば届く距離にいる。僕は興味本位で洞窟から手を出してみる。
「ギギャッ!」
ゴブリンがその醜悪な顔をこちらに向けてくる。それは驚いているようで、腰が引けていた。
急いで手を洞窟の中に戻す。するとゴブリンはこちらをみてはいるが、それは虚空を見ているように焦点が合っていなかった。
ちょっと僕も驚いた。予想はしてたけどやっぱり消えるのか。この場所は境界線を越えたら認識される感じだろう。
そんなことを考えていると、ゴブリンが僕に向かって弓を構えた。
えっ!何?!
弓の標準に合わないように体をよける。これ貫通したら魔法が解けるとかないよな…。
念のために軌道をづらしておこう。
ゴブリンの持っている弓を思い切りたたく。
バンッ
弓は衝撃を受け、ゴブリンの手からとんでいく。ゴブリンから見ればさぞ恐ろしいことだろう。
醜悪な顔をよりゆがませたゴブリンは、何を思ったのか僕に殴りかかってきた。
ヤバい調子乗った!