4.本の中身
「初めまして、新しい僕。」
本から出てきた光が僕の体を形どる。
新しい僕…?まるで前にもう一人の僕がいたかのような物言いだ。
「君は今ダンジョンの制作者…ダンジョンマスターをやっている。ダンジョンが何かは僕ならわかるだろうけど、一応説明しておこう。ダンジョンマスターは魔力を使って生物や物を作り、ダンジョンエリアに入ってきた侵入者を追い出す仕事だ。」
ダンジョンのマスターか。確かに何となく想像はつく。魔力を使っていろいろなものを作れるのか。便利だな。
「ただ、君の認識と違うところが一つ。僕はあるお方に支配されている。いや、君がこれを見ているということは支配されていた、が正しいかな。」
僕は支配されていたのか?いったい何から支配されていたのだろう。
「まぁ、今君が気にするべきことはそこじゃない。この部屋を出るとすぐそこに、ドラゴンがいると思う。彼は僕の友人さ。彼の好意で僕が目覚めるまで守ってもらっている。」
まじか。あのドラゴン僕の友達だったのか。何やってんだ昔の僕。すごいな。
「詳しい話は彼から聞いてくれ。彼は忙しいからあまり長引かせないようにしてほしいけどね。」
話を聞く…。あのドラゴンから?怖いよ。なんであれと話せてたんだ僕。
「僕からいえることは一つ。『侵略に備えよ。』」
バタッ
本が光を失い、落ちてくる。
侵略?なんだそれ。もしかして、ダンジョンマスターだからかな?
僕の知っているダンジョンマスターは、迷宮の奥で侵入者に報酬と絶望を与える存在だ。
その侵入者が攻めてくることを侵略といっているのだろう。その侵略、ッていうのは魔力を使っていろいろ生み出して防ぐんだろう。
「…まじか。まじか。」
何だろう。この…ワクワク感。
僕がつくことがすごく好きなんだろう。ダンジョン、というものを作りたくてしょうがない。
「とりあえず、あのドラゴンに聞いてみるか。」
いやだなぁ…
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