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32.事情

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 どうなってるの?ここは本当に異世界じゃないの?

 さっきのアークの焦りっぷりからして、そういうことがあったとしても不思議じゃない、のかな?

 いやでも地球に帰ってきたにしてもこの部屋があるのはおかしいでしょう。


 そんなことを考えていると、目の前の少年が語り掛けてくる。


 「俺はシシっていうんだ。あんたももしかして、東京から追われてきた身か?」

 「東京から追われてきた身?どういうことなんですか?」

 「あぁ。その反応から見るに、余程世間離れしてきたんだな。俺も人のこと言えねぇけどよ。」


 ははッっと、笑う少年は、おそらく僕のベットに腰かけた。


 「じじから聞いた話なんだけど、今からずっと昔。突如東京にダンジョンが現れたんだ。」

 「ダンジョンが現れた!?」


 東京に、ダンジョン?ここって僕がもともと住んでた世界だよな。なんでこの世界にダンジョンが現れたんだ?


 「ダンジョンっていうのは、魔物って呼ばれる、普通の動物とは違う生物の住処だ。ちょうど今いる岩山みたいなところでイメージしてもらえればいい。あいつらは入ってくる奴らをどんなものであれ食い尽くす。」


 ダンジョンの認識が違う……?ダンジョンっていうのは、ダンジョンマスターが作り出して操作してるものじゃないのか?


 「ダンジョンにいる魔物はピンからキリまで色々といて、ダンジョンの中に入っていった完全な武装をした自衛隊も、最初は順調に進めて行けたらしい。」


 最初は、か。


 「ある程度まで進むと、広い部屋があってな。そこには決まって、それまでとは比べ物にならない強力な魔物がいる。」

 多分ボス部屋とかかな?人為的なものである可能性はちょっと上がった。


 「そこで最初の自衛隊は、全滅した。」

 全滅?完全な武装をした自衛隊が?何がいたんだ、いったい。


 「そこからの日本政府の対応はボロボロだった。ダンジョンを一応包囲して、何度か自衛隊を突撃させた。そして、動くに動けない時間が、約一週間を過ぎたとき、それは起こってしまったんだ。」

 「それ?」


 「スタンピードっていう、大量の魔物がダンジョンから出てくる現象だ。これのせいで、ダンジョンの奥深くにいる強力な魔物たちが、ちょうど警戒が緩まる時期に来てしまった。」

 あぁー察した。


 「東京は半壊した。そのあとは大混乱。日本はまともに動かなくなっちゃった。」


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