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30.こんにちは!

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 どのくらい時間がたっただろうか。数秒にも数時間にも感じられるような時間、僕は扉の前に座っていた。

 アークやアルデバラン、僕を助けてくれた女の子はどうしているんだろう。あんな切羽詰まったアーク初めてだったからなぁ。もっと聞いておけばよかった。



 そんなことを感じている間も、僕の目は何も映すことはない。岩だらけのあの部屋をもう二度と見ることはできないんだろう。


 それは突然の出来事だった。ギィと僕の前にある扉が音を鳴らしたのだ。

 誰かいる!?誰だ!?


 音のなるほうへ、顔を向ける。アークなら僕に気付てくれるだろう。

 だがアークの声はいっこうにしなかった。僕が少しの怖さと、誰かが来たんだという喜びとが複雑に混ざり合って、なんだかおかしな気分になっていた。


 その時、突如として目の前からドンっと、何かとても重いものが落ちたような音がした。


 「誰だ?あんた。」

 それと同時に、若々しい男の子の声が僕の後ろから聞こえた。少し冷たく感じるその言葉はどこか攻撃的な意味合いを含んでいるように思えた。だけど、問答無用で僕を攻撃してくるわけではないようだ。

 慌てて僕は言う。



 「は、はい。僕はレグルスと呼ばれていたものです。」

 「……レグルス?なんだその名前。あんた日本人だろう?」

 男の子の声は、何か困惑を含んでいるようだ。日本人?この言葉を知っているっていうことは同郷のダンジョンマスターなんだろうか。


 いや、ダンジョンマスターの知り合いっていう可能性もあるのか。アークみたいな。

 丁重に扱わないと。


 「そうです。あなたももしかして、日本人なんですか?」


 「そらここは日本なんだから、日本人じゃないほうが珍しいだろ。」

 え?ここが日本?何を言っているんだろうか。あ、もしかして、僕とおんなじように記憶を失ったタイプの人かな?だったら状況を知らないのも無理はないかも。



 「ここは日本じゃないんですよ。異世界なんです。」

 「はぁ?」

 「いいですか?記憶がないかもしれないですけど、僕らの世界の人たちが、この異世界に飛ばされてきたんです。光の神ってやつのせいで。」

 魔王のことは伏せておこう。アークと敵対したいわけじゃないしね。



 「それで僕らは……」

 「待て待て、何言ってんだあんた。ここはどう見たって、2059年の日本だろうが。見りゃわかんだろ。って、あんた、目が見えてないのか。それでそんな変なこと吹き込まれた感じか。」



 男の子の声が前に移動する。

 ん?2059年?なんだその未来。しかも全然信じないじゃん。見ればわかるって、え?もしかして、ほんとに日本なの?


 「ん?どういうことですか?」

 「どういうことも何もそのまんまだよ。ここは日本の俺の家がある場所。だけど帰ってみれば俺の家があったはずの場所に変な建物が立ってる。何がいるのかと思って、こっそり中に入ってみたらあんたがいたってわけだ。」


 え?は?異世界は?

よかったら!

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