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27.死体

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 あぁ。やっぱり。こういうことか。



 「なんだ!?こいつは!」

 アークが唖然としているのが声だけで分かった。今僕が生み出した魔物を見ているんだろう。


 「これは魔物だよ。人の型のね。」

 僕は目の前にいる死体の魔物……ゾンビから目を離せなかった。


 だってそうだろう。元居た世界でゾンビは人間の敵として扱われていることが圧倒的だ。それに、死体が

目の前にあるということがそもそも怖い。

 血まみれな死体を目の前で見るのは、案外いやな気持になる。



 目が飛び出ていて、髪は抜け落ちて白くなっており、口は開きっぱなしで涎が流れている。それに、立っている姿は、骨が何本かおれているかのように、不安定だ。


 「これが魔物だと……?こんな魔物は今まで見たことがないぞ。」

 「そーなんだ。ゾンビの魔物は珍しいか、全く新しいことなのかな。」

 だらだらと油のような液体がゾンビから出ている。粘度の高いその物質は、地面につくと、じゅわっと音を立てて地面を溶かした。


 このゾンビものを溶かすタイプなのか。話が通じればいいけど……。


 「君は僕の話が聞こえるのかい?」

 ゾンビはどこを見ているのかわからないような顔で、何の返答もよこさなかった。


 「アーク。魔物ってダンジョンマスターに反逆できるの?」

 「あぁ。魔物の中にはダンジョンマスターへ攻撃を仕掛けるものがいる。基本的には、自分の姿から大きく離れた姿の魔物であればあるほど、反逆の可能性は大きくなる。」


 なるほど。じゃあ、ゾンビは反逆しずらい、のかな?少なくとも、僕もゾンビも人間の形をしている。だから僕に攻撃は仕掛けないと仮定しておこう。


 僕はゾンビに少しずつ近づく。後ろで力の奔流が集まっていることが分かった。

 近くで見ると、より強烈な見た目をしていることがよく分かった。


 「君は、味方なのかい?」


 ゾンビはピクリとも動かない。なぜだろう。あと一歩踏み出せば、ゾンビと顔がくっつくほどの近さなのに。

 近くで見ると、ゾンビの全体が、てかてかとしているのがわかった。おそらく、先ほど地面を溶かした液体だろう。


 僕はその液体がほとんど付着していない、ぼろきれのような服をチョンと触った。


 だけども、ゾンビは動かない。不意に、ゾンビを触った指のにおいをかぐ。瞬間。ものすごい腐乱臭が僕の鼻を襲った。



 「っくっさ!!!」

 思わずゾンビから飛ぶように離れてしまった。だけど、この世のものとは思えないようなとてつもない匂いが急に来たんだ。しょうがないよね。


 「何をしているのだ。」

 後ろでアークのあきれたような声が聞こえた。他人事みたいに……。他人事か。


 「それにしても、そこまでやって動かないのであれば、人形のダンジョンマスターのような構造になっているのかもしれんな。」

 僕が鼻を服で擦っていると、急にアークが話しかけてくる。


 「人形のダンジョンマスター?」

 「うむ。人形を多用するダンジョンマスターが噂程度にいてな。何でも、人形を意のままに操るらしい。我の知り合いが、人形のダンジョンマスターと戦った際、糸のような魔力がその人形に含まれていたらしいのだ。」


 あぁー。魔力でつながないと動かないのかな?僕のゾンビも、そのパターンの可能性があるかも、と。


 「わかった。試してみるよ。」

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