26.魔物
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魔力を完全に霧散させるまで頭を振りはらう。そして、急いでアークの方を見た。
「よっし!アーク!魔力が感知できたよ!」
「よくやった!!やはり小僧は筋がいいな。そして、小僧はダンジョンマスターへの第一歩を踏み出したのだ。」
アークがうれしそうな表情で、僕を見た。そうだ。僕はこの世界で、ダンジョンマスターをするんだ。
改めて自分の目標を見据えた僕に、アークが続けた。
「小僧。次は魔力を魔物に変換するぞ。」
スジがいいとほめられた僕は、結構自分やるじゃん。とか思っていた。
「やり方は?」
「魔物の生成はな……。」
この時までは。
「はぁ、はぁ、はぁ。なんでできないんだよー!!」
体感時間で一時間ほど経った。今の今までずっと魔物の生成を試しているが、成功の兆しすら見えなかった。
「小僧の魔力に問題があるのかもしれないな。」
アークは、僕を見捨てずに、対策をずっと考えてくれていた。それだけやっても、いまだに成功しない。
「魔力に問題?だけど、前までの僕は魔物を生成出来てたんでしょ?魔力に問題があったら、前の僕は魔物を生成できないはずだよね。」
そうなのである。アークによると、昔の僕は、迷宮作成の力の中で、魔物生成を最も得意としていたらしいのだ。
「まぁ、そのはずなんだが……。可能性としては、もうそれぐらいしか残っていない。例えば、今までで、前の小僧が持ち合わせなかった、何らかの力が働いている可能性もある。なんせ、記憶の消去など、我ですら知らんのだからな。」
うーん。確かに、記憶の消去っていう手順を踏んでるから、昔の僕が使えても、今の僕が使える保証なんてどこにもないのか。
だったら、すくとも、記憶を消去した後に、僕の魔力に問題が発生したんだろう。
「何か些細なものでもいい。何か変化感じはないか?」
もうアークも困惑しているみたいだ。すげぇ無茶ぶり言ってくる。
些細な事?そんなもの……あっ!!
「そういえば、初めてアークと会った後、なんか声が聞こえてきたような気がする。」
「何?声というのは、どんなものなのだ?」
「確か、『特殊能力:死をなんたらこうたらしました』って聞こえたような……。」
結構最近のことのはずなのに、なんだかすごく懐かしい感じがする。まぁ、一回死んでるしね。
「死をつかさどる特殊能力か……。そんなものが我も気づかぬままに、小僧のもとに届いただと?そんなことがあるのか?」
アークが「我がいたのだぞ?」とか一人でブツブツと言っている。何か気づいたことでもあるんだろうか。
「どうしたの、アーク。もしかして、何かわかった?」
そういうと、アークはびくっと体を震わせて、何かを誤魔化すように、僕と目を合わせた。
「い、いやな。もしかすると、死をつかさどる魔力なのかな、と思ってな!まるで、生きる死体たる、アンデットのように。」
ハハハ、と笑うアークをしり目に、もしかしたら、と思いつた考えを実行してみる。
頭の魔力を極限まで集中させ、完成形をイメージする。
すると、僕の目の前に、バコバコと音を立てて何かが組みあがってきた。その光景は機械を解体する映像を逆再生で流しているようなだった。
段々と出来上がっていく人型のそれ。その体は、人のように二足歩行だった。それも当然だろう。今まさに出来上がった魔物は……。
人の死体だったのだから。
よかったら!
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