17.アルデバラン
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「アルデバラン……。」
アークトゥルスがそうつぶやいた。そのつぶやきには、どこかいやそうな意図が含まれていた。
アルデバランは、以前、レグルスが目を覚ました時と全く同じ格好をしていた。
白と黒のまだら模様のパーカーに、真っ黒なショートパンツ。隠れるように見えるのは、尻尾だろうか。尻尾がついている、ということだけでも衝撃的だが、アルデバランの格好はもう一つ、驚くような特徴を持っていた。
角だ。闘牛のような、狂暴極まりない角が、小さな頭から存在を主張していた。
アルデバランが洞窟のエレベーターから、アークトゥルスとレグルスのいる地面に飛び降りてきた。
と同時に、エレベーターは自分の役目は終わった、とばかりに上へ戻っていった。
「貴様こそこんな辺境に何をしに来たんだ?貴様らのような光の加護を受けねばまともに暮らせぬ軟弱ものが。」
アークトゥルスは厭味ったらしくアルデバランと呼ばれた少年をけなした。アルデバランはその言葉に、少年とも少女ともつかない、不思議な顔を歪ませながら、笑うように言い放つ。
「ははっ。君みたいな脳みそに筋肉しか詰まっていないトカゲが人間のように厭味を言えるなんてね。僕はうれしいよ。最近の魔王はに見るに堪えないからね。」
アルデバランはアークトゥルスを下等な存在だとけなしたうえで、これ以上ないほどの挑発をする。
それを受けたアークトゥルスは、先ほどレグルスに老獪な雰囲気を醸し出していたのがウソのように、頭から煙を出していた。
それは比喩などではない。本当に頭から煙を出していたのだ。……まるで、これから攻撃でも放つかのように。
「貴様ッ……!!我だけではなく魔王様おもけなすだと……?それは宣戦布告と受け取ってもよいのだろうなッ!!」
言い終わると同時に、アークトゥルスの頭の煙がとんでもない勢いで噴出し、世界を煙で満たした。
煙が噴出するのを見たアルデバランは、先ほどまでの笑顔を崩し、煙から逃れるように姿を消した。いや、姿が見えないほどに早く動いたのだ。それはアルデバランが突進したかのようだった。
と、同時に、ドンっ!という衝撃が、洞窟全体を震わせた。その原因は……レグルスの前に存在していたはずの、アークトゥルスがいなくなっていることから、わかるだろう。
レグルスが衝撃に洞窟の揺れに耐えて、顔を上げると、そこには。
洞窟では絶対に拝めないはずの、太陽があった。
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