12.説得
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「住んでいた?というと?」
訝し気な顔を浮かべ、こちらの言葉を待たれている。
「僕はここら辺の人じゃないんですよ。遠くから急に飛ばされてきて、目が覚めたらあの洞窟にいたんです。」
ほぼほぼありのままだ。嘘は正直から生まれるからな。
「とにかく洞窟を出なきゃっ!と思い、外に出れたはいいのですが…。お察しの通り、ゴブリンに襲われまして。」
同情を買えばきっと誤魔化せるだろう。仮に失敗したとしてもすぐに殺されるということはないはずだ。大丈夫。
「ゴブリン…?あなたの地方ではそういうのですね。」
?ゴブリンで通じていないのか。あれ?そういえばなんで僕は彼女と話せているんだろう。言葉は日本語なのかな?ご都合主義すぎるな。
「まぁ。事情は分かりました。今果物を切ってくるので少し待っていて下さい。」
彼女がそういうと、部屋の扉から果物かごを持って出て行った。
彼女は本当にわかっているのだろうか。表情がなかなかにこわばって見えたのだが。
ふと、周囲を見渡す。生活感のある室内だ。
僕の寝ているベッドの横には小さな机。奥のほうにはクローゼットやタンス。ウシの首が飾られていた。
「ウシ飾るんだ。でも闘牛みたいで迫力あるな。」
振り返ると体を通せるほどの窓があった。外を見ると、一面が真っ白だった。
下をのぞくと、なんだか禍々しい形の植物が生えた花壇があった。見た目でいうと、ラフレシアが一番近い。異世界って感じだ。
窓から横の部屋をみれないか確かめてみたが、特に何もなし。外から見ると僕のいる部屋はぽつんと窓一つあるだけだろう。
まぁそりゃこんな景色だったら窓はつけないよね。逆になんで僕の部屋に窓がついているのか不思議だよ。
などと、様々なことを観察していると、部屋のドアがコンコンッとなった。
「すみません。両手がふさがっちゃってて。ドアを開けてもらえませんか?」
早かったな。
「今開けます!」
魔法のこともっと聞かなきゃいけないし、愛想よくしないとな。
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