10.目覚めた先で
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「おっ。目が覚めましたか。」
ここは…?というか僕は何をしていたんだっけ?
目を覚ますと、見知らぬベッドの上に眠っていた。灰色の布団にくるまっていた僕は、女性の声を聴いて、飛び起きた。
「わっ!!…何!?」
「フフッ。驚いていますね。」
体を起こすと正面にきれいな女性がいた。三つ編みのブロンズ髪に、きれいな蒼瞳。キリっと引き締まったスタイルに果物かごを持った彼女は、今まで見たこともないような美女だった。
「あ、あなたは…?」
「私はあなたを介抱したものです。私のもとに運ばれてきたとき、あなたすごい状態でしたよ。」
「へ…?あっ。」
そうだ。僕はゴブリンに…。
あぁ。怒りがふつふつとわいてくる。
「すごい顔をしていますよ。」
眉間がすごく寄っている。きっとひどい顔をしているだろう。
いかんいかん。気持ちを切り替えなきゃ。
「それで、あなたが僕を救ってくれたんですね。ありがとうございます。」
「いえいえ、あなたを助けたのは私ではなく…。」
彼女の話の途中で、ドスンッという重低音が室内になり響く。
びっくりして音のなる方向。壊れた扉の方向を見てみると、山のような生き物がいた。
それは、鋭利な角を持ち、立派な蹄の四足歩行の巨大な獣。
「ウシ!?」
「しつれいだなぁ。こんな子供に向かって猪だなんて。」
ウシの下側から中性的な声が聞こえた。巨大なウシの下からぬるりと這い出してきたのは小さな人間の子供だった。
「もうっ!こっちに持ってこないでって言ってるでしょう!アルっ!」
アル、と呼ばれた子供は体についたほこりを払って僕たちのほうを向いた。
「あれ?起きてたんだ。その人。」
「そうだけど…。あなたはまず後ろの魔獣をしっかり解体場に運んでおいて!」
「ううーん。わかったよぅ。」
子供は僕よりも二回りは大きいウシを軽々持ち上げ、扉から出て行った。
「じゃあまたあとでねー。おにいさんー。」
「もうっ。あの子ったら。…すみませんね。お騒がせして。」
そういうと、彼女は壊れた扉のほうに手を向ける。彼女が向けた手からは光があふれ、壊れた扉を包みこむ。
「魔法…?」
「はいっ。これでも修復の魔法はなかなか得意なんですよ?」




