表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/36

1.おはようございます

「ではこれからダンジョン運営を開始いたします!」

目の前には今まで見たことのないような美女が、演説台で大声を出している。

周囲には醜い顔、ガリガリながら筋肉質な体を持つ、子供の妖精。ゴブリンたちがいる。

そしてここは大きな大きな洞窟の中。薄暗い洞窟内にこんな状況が広がっている。

どうしてこんなことになってしまったんだ…

それは、一週間ほど前にさかのぼる。


僕は見知らぬ部屋のベッドの上にいた。知らない天井だ。ごつごつとしていて、まるで、岩のよう。って本当の岩?

ハッとしてベッドから起き上がる。…知らない部屋だ。俺の部屋じゃない。って、俺の部屋ってどんな感じだったっけ。起き掛けだからか全く頭が回っていない。


ここは…?部屋は岩の中にあるようだった。いくつかの家具に、扉が一つある。

家具。といっても変なものばかりだ。岩塩ランプのようなもの。スコップとつるはし。真っ白な低めのテーブル。小さな本棚。そして今寝ているベッド。

人が暮らしていたような形跡はなく、すべてが新品のように見えた。


体を起こし、扉の方へ向かう。何があるんだろう。そんな、少しだけの好奇心で。


ギィ。と鈍い音を立て、扉が開いた。

扉の先には…化け物がいた。赤い鱗に大きなしっぽ。体を覆いつくすほど大きな翼。時折口から覗かせる鋭い牙。寝ているのか丸まっている大きな体躯。ドラゴンだ。


身体がすくむ。呼吸が止まっているのがよく分かった。逃げろ。早く閉めろよ。体が言うことを聞いてくれない。生物としての格が違う生物と出会うと、こんなにも恐ろしく感じるのか。怖い。怖いんだ。いうことを聞かない体を無理やり動かして、そっと扉を閉める。

ギぃ

開けるときに鳴らした音よりも

小さな音が鳴った。

瞬間、紅い大きな瞳が僕を貫いた。

僕は慌てて扉を閉める。


扉を閉めたにもかかわらず、まだ恐怖は収まらない。こんな薄い扉一枚あったところで、僕を守ってはくれないからだ。

過呼吸になりそうな感覚があったが、何とか深く息を吸い込む。

深呼吸をしたことで何とか落ち着いた。


冷静に考えよう。僕がここで隠れていて、生き残れる可能性は?…ない。何日待てばいいのかわからない状態で、食料も水も何もないこの部屋で生き残れるわけがない。


そもそも、ドラゴンが起きてしまったらこんなところにいる僕はひとたまりもないだろう。

ドラゴンの奥に何かある可能性にかけるのは?…無理だ。見ただけであんなにも恐怖心に包まれたのだ。足が動く気がしない。ただ、ここに立てこもるよりは可能性があるだろう。


他には?ほかに何かないか?そうだ。つるはしがある!…無理だろう。ドアを開ける音で目開けたんだ。大きな音を立てるのが一番まずいだろう。


…詰み、だな。僕は死ぬだろう。

なんだか緊張の糸が途端に切れた。僕は崩れ落ちるように扉の前で気を失った。


《特殊能力:シヲサトルモノを手に入れました。新たなクラスに転職可能です》


微睡みの中で声が聞こえたような気がした。

ブックマーク、コメント、☆☆☆☆☆評価。

押していただけると更新が早まります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ