♯1 初めての異世界
この世界は悪である。毎日のように起きる事件、鬼のように叱る親。まるで居ないように扱う友人。こんな世界なら自殺するのも納得いく。
僕は隼人。大学生だ。まぁ、ここ1年間学校に行ってないが。親からも見放され生活費はバイトで稼ぐしかない。僕はもうこの世界に飽き飽きしている。そろそろ自殺してみようか、いやまだ止めておこう。そんなのが毎日続く。
しかし、そのつまらない生活が今日一変した。
それは、僕がバイトに向かっていた時だった。いつも行くとき通っている道がたまたま工事で使えなかった。だから、少し遠回りになるが家々の間にある小道を進んだ。一度も通ったことがなかったので道に迷ってしまいバイト先に少し遅れると電話をしていた。僕は電話に夢中になってしまい目の前にあるマンホールの蓋が開いていることに気付かなかった。僕は穴に落ちてしまい
「このまま死んでしまうのか」
そう思いながら気を失ってしまった。そこからのことは何も覚えていない。
まぁ、そんな感じで僕は異世界に来ちゃったわけ。見たことのない木々が茂り、見たことのない動物が群れをなしている。この世界に来てから一時間以上こんな感じ。状況が把握できないのか、体が動こうとしない。諦めて寝転がると頭上に人が現れた。
「だ、誰?」
ゲームやアニメでしか見たことのないドレスを着た女王が立っていた。
「おやおや、驚かせてしまったみたいです。私はこの世界の女王、ミレイユです。そなたはハヤトと申しますの?」
「はぁ~、はい。」
何で僕の名前を知っているのか、そんな疑問を思いながらも答えた。
「ここはローランドプレイス&グローンド王国。略してRPG!ギルド制を導入しておりあなたも魔物狩りに参加してみては?因みに何故ここにいるかって?それは私後間違えてああなたを召喚してしまったの」
ローランドプレイス&グローンド王国?なんだそれ?聞いたことないぞ?てか、召喚してしまったって…
「元の世界に帰りたいんですけど」
僕は恐る恐る聞いた。
「帰り道ですか?それなら、ありませんよ。召喚出来るけど転送は出来ないの。」
笑いながら女王は言った。
「あなたは、これからこの世界で生きていくの。ほら!私があなたに特別な能力を与えてあげるから!」
特別な能力?なんか、凄そう。
「分かりました。で、その特殊能力とは?」
「魔獣を召喚出来る魔法です。この魔法を使えるものはこの世界には少ないですよ。」
魔獣を召喚?やっぱり凄そう。
「で、どうすれば魔獣を召喚出来るのですか?」
「召喚するにはレベルが必要です。レベルを上げるにはモンスターや動物を倒さなければいけません。他に聞きたいことは?」
「大丈夫です。」
僕は一刻も早く魔獣召喚をしたかったので話を早く終わらせたかった。
「また、質問があれば念じて下さい。そうすれば、私の家臣が質問に受け答えします。それでは、良い人生を。」
そう言って女王は消えていった。
ここから、僕の冒険が始まる