早すぎる昇格
前回のあらすじ
商人ディスさんはいい人
ディスさんから逃げるようにギルドへと向かう。
「いらっしゃいませ!」
人が少なくゼオラの声が響く。
「クエストの完了の報告に来た」
クエスト票と全員のカードを渡し確認してもらう。
「…はい、薬草集め、解毒草集め完了です。」
「トロンさん!魔物鑑定お願いします!」
奥からトロンが顔を出す。
「おお!あんちゃんか!」
「ここに出せばいいのか?」
前回はブルボアがいた為奥に直行だった為普通の鑑定は初めてだ。
「ああ!ゴブリンとトロル位ならここで足りるだろう!」
言われるがままにゴブリン5体とトロル1体の死骸を置くと少しはみ出して床に落ちる。
「あーゴブリンもそのまま持ってきたのか…」
やらやれみたいな顔をされた。
え、不味かった?
「ゴブリンは素材価値が無いので、討伐部位の耳だけ持ってくる事が多いんですよ」
なるほど…今度からはそうしよう。
耳を切り落とし残りを亜空間へと戻す。
「あ、わざわざ戻さなくてもこっちで処分するぞ?」
「外で囮か何かに使えそうだから一応持って帰るさ」
「なるほど異空間収納を持ってるとそういう使い方ができるのか…」
と感心しているようだがはっきりいって大嘘である。
単にナナの実験&研究用である。魔法等の仕組みを調べるのに流石に人体実験するわけにはいかないからな…
(最終的には細胞を分解して食料品に再構築します!)
それは聞きたくなかった…
「そういえば帰る途中こんなやつに襲われたんだが…」
空いたスペースにアースウルフを1体置く。
「!こりゃ…アースウルフか!!」
おおアースウルフで合ってるのか。
「そうらしいな集団で襲ってきて厄介だった。」
「「集団!?」」
「あ!さっき守備隊が出てったやつか?」
トロンは気がついたみたいだな。
「アースウルフは山の岩場に生息する岩のように硬い毛を持った狼です。本来この辺りには顔を出さないのに…」
ゼオラが説明してくれた。なるほどだからアースか。
「なんでも山から来た商人の馬車を追いかけて来たらしいぞ?」
「例え獲物がいたとしても自分の縄張りから余りでないはずなんだがな…」
とトロンが返す。確かにそれはおかしいな?
「ん…何かに終われて縄張りを出たとか?」
何か脅威に対して縄張りを離れる事はあるだろう。
「もしくは何か獲物以上に惹き付けるものがその馬車にあったか…」
なるほど扱ってる商品の中に何かあった可能性もあるか。
「後は…」
誰かに誘導されたということもあるだろうが可能性としては低いだろう。
「…後は兵士が調べるだろう」
と話を終わりにした。
「そういえばこの狼は買い取りできるのか?」
「はい可能ですよ!」
毛皮は防具の素材になるようだ。
ナナの実験用に何体か残し残りは売却した。
全部合わせて金貨1000ほどになった…
ほぼアースウルフの値段であるが。
「すみませんね…討伐依頼が出ていれば倍は出たんですが…」
本来このエリアに存在しない為常時討伐依頼は無いし、サーチ&デストロイしてしまった為緊急討伐依頼も無いので、素材の値段+ギルドからの金一封だけになってしまったという事らしい。
「別に構わないよ」
何度も頭を下げるゼオラに苦笑いで応えた。
カウンターで報酬を受け取るとランクがDランクに上がっていた。
「え?もう?」
ゼオラを見ると微笑みながら
「おめでとうございます!」
と祝福された。
「いや…早すぎない?」
「何をおっしゃるんですか…ランクc無傷であんだけ倒せる方たちがEランクなわけ無いじゃないですか!規則で飛び級ができないだけでCランクに昇級は確定してますよ!!」
途中から興奮して敬語がすっ飛んでる。
「ああ…わかった」
これは逆らってはいけない…しかし確定してるのかCランク…
こうして3人ともDランクに昇格した。
ポーラスター内には小規模の農園もあるが基本培養したプランクトンから合成される食品擬きを主食としている。
これは長く補給できない事が常であるためである。
ゴブリンもタンパク質やカルシウム等に分解されラトの胃袋に消えるのだろう…
ちなみに味は一流シェフが食べてもわからない位である。




