試験
しばらくすると3人の男を連れて職員が帰ってきた。
「お待たせしました。まずはクラナさん舞台上へ」
付いてきた男の一人が舞台に上がる。
「はい!」
少しは元気に成ってきたな…
余った2本を腰に差し、1本を逆手に構える。
相手は20台位の男金髪碧眼で優男という雰囲気武器はオーソドックスな長剣(木剣)を正眼に構える。
「では…始め!!」
と号令がかかった瞬間クラナは短剣を相手の頭目掛けて投げつけた!
「な!」
新人のしかも女性がいきなり投擲攻撃とは思わなかったのか反応が遅れギリギリのタイミングで叩き落としたが…
「グッ!」
一本目の短剣の影から現れたもう一本が顔面に直撃した。
その隙を逃さず残った最後の短剣を首筋に当てる。
「…そこまで!」
少し驚いたような顔をした職員が止めに入る。
「本来は倒さなくてもいいんですけどね…クラナさん合格です。」
今回は奇襲が偶々(・・)上手くいった為勝つことができた。
そもそも今回は一夜漬けの為投擲と構え方、攻撃の型を少しだけである。
試験官が油断せず冷静を失わず2本目をかわされていたらクラナは負けていただろう。
「やったぁ!」
ぴょんぴょんと跳ねて喜んでいる。
「続きまして…ケインズさん舞台上へ」
頭を押さえながら前の試験官が退場し代わりに30台後半と思われる髪は茶髪でちょび髭をいじっている。武器は同じく長剣であったがケインズは少し驚いた彼の構えに(・・・)…
(あれ…じいちゃんの構えに似てる?)
剣の柄を両手で握り刃をこちらに向け右寄りに構えた上段の構え…
(まあ偶然だろう…)
ケインズは同じ構えをとると合図を待った。
相手の男は俺が同じ構えをしたことに少なからず動揺したようだがもう立て直したようだ。
「では始め!!」
俺の試験がはじまった…




