一夜明けて…
「おはよございまーーす!」
外から大きな声がする。
キョロキョロと回りを見回す。
「何処だここは…」
あ、昨日はクラナの家の納屋に泊まったんだった。
「おーはーよーごーざーいーまーすーー!!」
…外で叫んでないで入ってくればいいのに。
気を使ってくれてるのかな…
もぞもぞと起き出すと亜空間から服を出し着ていた服を脱ぐ。
ナナが用意したこの世界の標準的な服装だ…見た目は…
(何かあってはいけないので丈夫さを重点的に強化してあります)
よく考えたら昨日の服装は簡易的に装甲を付けているとはいえバイロットスーツに外套という凄い怪しい風体だった…
正直暗くて助かった…
「入りますよ~!」
「え?ちょっ!!」
脱いだ昨日の服を見ながら考え事をしていて、反応が遅れ間抜けな声が出た…
「ガラッ」
こちらの声が聞こえていないのか無造作に扉が開かれ…
(ナナ!!)
なんとかして~!!
「ボンッ」
…たところにナナの閃光弾が炸裂した。
「「目が!!目が!!」」
結果裸を見られる事は無かったが二人で目を押さのたうち回る事になった。
ーーーーーーーーーーーーーー
「…すまなかった…」
目が回復し、着替えが終わってそうそう頭を下げた。
「いえいきなり開けた私も…悪いので…」
「いや、俺も先に声をかければ良かった…」
少し気まずい…
「あ、そうだ村長さんが呼んでますよ!」
それで何回も呼んでたのか…
「わかった何処に行けばいい?」
着ていた服を鞄にしまう振りをして亜空間にしまう。
「お婆ちゃんの所にいるのでついてきて下さい!」
「おお、朝早くからすまないのう…」
見知らぬ爺さんがいるおそらくこの人が村長なのだろう。
「昨日はブルボアを討伐してくれた事礼を言う」
そういうと頭を下げる老人。
「気にするな、大したことはしていない」
なんとも照れ臭く頭を掻きながら返す。
「そこで一つお願いがあるのじゃ…」
そっちが本命か、なんか喜んで損した気分…
「クラナを町まで送って行って欲しいのです。」
「クラナを?」
「冒険者登録為に町に行かなくてはならないのですが…普段見かけないゴブリンやブルボアが出現したこともあって一人で向かわせるのは危険では無いかと…」
そういえば言ってたなそんなこと言ってたな。
「なんで俺なんですか?こう言ってはなんですがもっと信用できる人にしたほうがいいのでは?」
会ったばかりの素性のわからない奴に頼む事では無いだろう。
「ケインズ様は高名な冒険者だと伺いまして…」
「は?」
いや何だって?
「いや…俺冒険者ですら無いが?」
「「「え?」」」
3人が唖然としている。
「え、だってあんな凄い魔法使えて剣も使えるのに冒険者じゃ無いのですか!?」
「うんまだ(・・)冒険者じゃ無い」
まあこれからなるつもりだけど。
「どういう事じゃ?」
「どういう事だい?」
視線がクラナに集まる。
「…テヘ❤」
笑って誤魔化した。
「「誤魔化せるか!!」」
爺さん婆さんの怒号が響く。
「まあ力は申し分ないし、襲うつもりなら昨日の時点で襲っているだろう…」
もうなんかどうでもよくなったようだ。
「どうかのう?」
「いいですよ俺も登録に行く途中でしたし…」
道案内がいたほうが楽だろうし
「ありがとうございますじゃ」
爺さん婆さんコンビが頭を下げる。
「よろしくお願いします!」
手を差し出すクラナ
「こちらこそよろしく!」
そういって握手を交わした。




