もののけ姫 なぜ世界は救われたのか
宮崎駿監督の映画、「もののけ姫」。物語の最後でシシガミサマは倒れるが、森、世界は救われる。それはアシタカ、サンが人間の手で首を返したいと願ったから叶ったことだと思っていたが、よくよく考察してみると分岐はもっと前からあったように感じる。
物語の最初、アシタカの村にタタリ神となったマゴノカミが現れ、アシタカは呪いを受けてしまう。そして世界に何が起きているのか、呪いを解く術はあるのかを探すため、西へ旅立つ。
この時、村を出ようとする時、少女のカヤが掟を破り、アシタカへ宝石を渡し、いつもアシタカ様を想っていますと伝える。実はこの宝石が鍵を握っているのではないか。
まず、少女、カヤを通して自然とともに暮らしてきた比較的穏やかな
心を持つ人間たちの感情を宝石が受け取る。そしてタタラバの人達の自然を犠牲に生きてきた人達の感情、生きていくために自然を犠牲にすることへの葛藤。
そして様々な人間の感情を受け取った宝石はアシタカから、人間でもありモロ一族として動物でもあり架け橋となる存在のサンへ託される。
そして今度はサンを通じてモロ一族、イノシシ達、オッコトヌシ、動物、自然の感情を受け取る。
そして最後、シシガミサマが自分の首に触れた時、同時にサンが身につけていた宝石にも触れたはず。そして、本当は歩み寄りたい人間の気持ち、命を脅かされる動物の気持ち、すべての感情を受け取ったシシガミサマはまだ双方歩み寄れる可能性があると判断し、自然を蘇らせ、アシタカを救ったのではないか。