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報告2

「探索に出ている○○だが……」


老齢の男性は王が食事中にも関わらず、報告を始める。

国政に対して寝る時間も惜しんで行う人物像からも時間を無駄にすることを嫌い、王妃と過ごす時間よりも国営に多くを割いた。

忙しなさそうに感じる光景も常なのである。


「もう、戻ったのか? 早いな。で、宝は?」


皿に乗る綺麗に盛られた肉料理にナイフを刺し口へと運ぶ。

旅立ってからまだ三日。多くの英雄を亡き者としたあの場所をこの短期間に攻略できるよう思えなく、悪報であることに違いない。

その事を知ってか、王は空気に緊張を張るように冷静に聞き返す。


「消息が途絶えたそうだ」

「あやつめ、宝を持ち去って他国に売るつもりか? 人質の意味が無いではないか」

「いえ、大量の血の跡があったそうだ」

「ふむ。モンスターに食われおったか?」

「そのようで」


放浪者ではあったが、歴々の攻略していないダンジョンから財宝を取得する男。自己の危機管理に関して人一倍注意深い。そのような者が後れを取るとはよほどの事態。

突然変異の魔物か、それとも大陸から飛んできた魔物か、それとも……。

強力な奴に殺されたのであろう。

先の件で兵力が削がれている所に更に一人猛者がいなくなるとは、見えないところで予想外の事は、確かに起きている。必然か、それとも偶然か。知る由も無かった。

しかし、これを好機と捉えない王では無かった。


「まあよい。奴も奴の一族も金食い虫みたいなものだったからな。丁度良い。その一族を国端へ追放にする。南西の領土の管理を任ぜる。反抗するようなら、あ奴をを国宝盗難の罪人とすればよい」


国庫から貴族に金が流れている。遥か昔、貴族との関係を築く為行った政策は今や意味をなさなくなりつつある。その金額に似合う働きをしていれば、文句など無い。しかし、最近は目に余るものが多く、何かしようにも下手に財力を持つものだから手をこまねいていた。この機に王は新しく占有する国の端へ追いやろうと考えたのである。

南西の半島は広い未開拓地。先の海には人が住む小島さえない広大な海が広がっている。

領地拡大となれば人材はそっちに割かなくてはならない。今まで生業としてきた国対国、人対人の貿易商売は今までのようにいかなくなるだろう。

重きをそちらに置けば城下まで来ないと商売もろくに出来なくなる。

売買内容も稀に成功する密輸以外は監視下におけると、内容をほぼ掌握出来る。

更にはほぼ未開拓の地を開拓するのにどれだけの金がかかる事だろうか。

そんな無謀にも思える命令は、罪人の排出、王国の辞令という二大巨頭により免れることは無いだろう。


「それは……」

「意見でも?」

「分かりました。長老会の方にもそのように伝えます」

「理解があって助かるよ」

「失礼します」


……


平民の貴族に対する不満もこれで落ち着くだろう。

国に仇名す反逆者が減れば国家も安定するのだが、一過性のものでしかない。

これは先代たちが目を背けて手をこまねいていた複数ある内の一つの課題。

私に出来るモノなのか?

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