第6話 レアボス戦
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巨大サソリ型ボスモンスター狩りに連れて来て貰った馬之助。
高レベル魔法使いが放つ上級火炎魔法と馬之助自身も体を張った甲斐が会って短時間で1頭倒す事に成功した。
『パパパパー!ピロリローン!』
全員が1Lv上がった。ダメージの殆どはハメさん一人の攻撃による物が多きかったが、手数や行動からきちんと戦闘に参加していたと評価されたのだろう他の皆にもきっちりと経験値が配布された。
もちろんlv145から1レベルアップに要する経験値とレベル85からの86へのそれでは値としては雲泥の差があり、そういう意味では圧倒的多数の経験値がハメさんへ配布された事に変わりはない。
『うほぅ!美味い!美味すぎる。何たってこの辺りの雑魚狩りじゃあ3時間狩り続けても1/10も上がらなかったからなぁ...。しかも経験値倍増のアイテムをマックスの2個持っての状態でだぜ?』
彼はリアルマネーで高価な経験値倍増アイテムを利用しているのか。上に行けば行くほど一般モンスター狩りでのレベル上げが難しくなって行くとは聞いた事があるがLv145でのMOB狩りだと経験値稼ぎがそれ程過酷とは。恐らく高価な魔力回復薬を湯水の様に使って高火力魔法で複数の敵を薙ぎ払ってすらそれなのであろう。俺みたいな剣士ならもう気が遠くなる話に違いない。
ハメさんのMPバーが急に全回復したので横を見ると腰に手を当てて風呂上がりのコーヒー牛乳よろしく魔法回復薬を一気飲みしていた。
『しかし盾役や足止めのお蔭て楽に倒せたから礼を言うぜ。昨日サリーと二人で来たときには暴れて魔法から逃げ出したボスに小一時間追いかけまわされたりして物凄く時間をロスしたからな!』
成る程。そういえば技のなかに”突破”という捨て身で飛び込む物があったかな?無駄かも知れないがボス戦中に背中から、若しくはトーナメントで大型の範囲魔法攻撃を食らった時用にスキルポイントを割り振っておくか?スキルポイントは突き・袈裟切り・乱れ斬りをlv5まで取っているが余りまくっている状況である。
その後砂漠に点在する大サソリを3匹狩って深夜の狩りはお開きとなった。
『こいつらのリポップは24時間後だ。そろそろ他の連中に見つかりそうな気がするが良かったら明日も宜しく!』
lv148まで大幅レベルアップしたハメさんがホクホク顔で言った。こちらこそ是非よろしくお願いしますである。ボス4匹でlv6、模擬選でlv1。今日でlvが7つもあがりlv89になった俺は興奮冷めやらぬまま迷宮へ潜ったがその余りにも経験値が少なさに絶望して帰ってきた。迷宮B9Fのlv85ジャイアントツインソードランティスは緑色の大きなカマキリ亜人モンスターだが、1匹倒すのに5分ほど斬り合って倒して見ると1lvの1/1000程しか経験値バーが上昇しなかったのだ。
途中通ったLv81ボスモンスター”アンチマジックゴーレム”は待ち人の列が出来ていた。
此奴のリポップは10分くらいだったよな?とネットを検索してみると、過日は無かった情報が追加されており、アンチマジックゴーレムLv81の特性とリポップ時間15分という情報を確認した。
◇
翌日ゲームにログインした時、丁度珍しくカオス氏に会った。相変わらず赤金色の全身装備に身を包んだ彼はオートの時も多いが基本1日中狩り場にいて黙々とレベル上げをするか、クエストをひたすら繰り返してステータスアップや経験値稼ぎをしているらしい。ギルド幹部が持つトランシーバーと呼ばれる小型のイヤリングで何時でも話が繋がるが、ギルド事務所にいるのは珍しい。
『マスター、頼むから俺と模擬選してくれよ? 勿論ふんどし一丁で。』
ハメさんが拝みこんでいる。
『うーん、lv300を超えると模擬選は月に1回しか出来なくなるって知ってるだろう?それにGMがギルド戦で負けたら勝った奴がGMだ。そうなったら月に1回開かれるギルマスだけのトーナメントに出れなくなる。優勝者にはレベルに関係なく次のレベルアップまでに必要な経験値の10%が貰えるから、実はGMトーナメントで月の経験値の半分を稼いでいるんだよ。』
なるほど、そういう絡みもあるんだ。
『ちっ仕方がねー。今日もサリー婆と序に馬之助にも負けてやるか。その変わりボス狩りのサポート頼んだよっ!』
『何処のボスだい?』 マスターが訪ねる。
『おっと、まだ一般公開されていないボスだ。公開されたら教えるよ』とハメさんは意外と口が堅い。
今日も初戦はスーパーさん、2戦目はハメさんと模擬選を熟し其々lv1とlv3アップしてlv92でボス狩りへ向かう。2戦目の経験値が少なかったのは手を抜いて貰ったのがバレタから評価が低めだったのだろうと思う。実際本気出されたら直ぐに真っ黒焦げになる訳だし。
ボス戦に向かう際に途中で出会ったモンスターは無視してくれと頼まれた。なんでも経験値バーが99%でいつアップするかの瀬戸際らしい。ボスモンスターはレベル差が3以内になった瞬間から経験値がゴミ化し、その経験値激減は今回のボス(Lv155)の場合PT内にlv153以上の者がいるか、lv153以上の者の攻撃を受けてHPを減らしたボスモンスターを狩った場合に適用される。
lv333のカオス氏に狩りの同行をお願いしない理由がこれである。
足止め魔法と俺の大盾で何とかボスモンスターだけを狩って行く。3匹狩った所でハメ氏が151になった所で何と極々低確率、噂では10万分の一と噂される特大のボーナスボスモンスターが出現した。テレビ放送でアイスタートルのボスモンスターを見たことがるがそのPTは全滅した。こいつは通常のボスの3倍の大きさとHP,通常より高いステータスを持つ代わりに経験値が4倍貰える代物だ。
急いで残り1匹の通常ボスを狩ってハメ氏は魔力回復薬を一気飲みする。
またレベルアップした彼のレベルはlv152、これで彼はこの街で3番目のランカーになったはず。
『よし、行くぞ!』
彼の勇ましい掛け声と共に小山程もある大ボス戦が開始されたのであった。
◇
”ぐわん!”大きな音を立ててミスリルの大盾がへこんだ。耐久は!10%減!?。まじか、これは避けながらじゃ無いと楽に脱落してしまう!
サリーが重力魔法でサソリの足止めをするが効果が今一だ。再度間に割って入り盾が凹む。
『F.F.B!』
炎鳥が超大型サソリに絡みつく。1秒毎にHPバーを削り1/3程減らした所でフィニックスは消えた。サリーがハメさんから受け取った魔力回復薬を飲み干すと再度重力魔法を放つ。ズンズンと地響きを立てながら過酷な重力場をねじ伏せながらサリーとの距離を詰める巨大な赤サソリ。
『ファイナル アターック!』
ちょっと聞いていて小はずかしいセリフと共にスーパーさんの体が青い渦に包まれてサリーに襲い掛かろうとしていたサソリの尾っぽを弾き飛ばす。同時にスーパーさんのMPとHPゲージがぐぐーと減って真っ赤になり1で止まった。
『すまん、これ3時間に1回しか撃てない』
それでもサソリの動きを止める事には成功した。
追いついた馬之助がサリーが逃げる時間を大盾を翳して稼ぐ。
”ガン!ガン!”
ファイナルアタックでHPを更に5%程減らし怒ったサソリがスーパーさんを攻撃しようと邪魔な俺を乱打する。ここは耐え処だ、スーパーさんが体力回復薬で回復するまでの間盾が拉げて行くのも構わず必死で守る。
盾を構えてなお受けるダメージに1本100万ギールもするHP全回復薬を飲んで耐えるが盾の損傷が激しく、1回1回ダメージの割合が増えてくる。ヤバい、最後まで持たないかも?
『F.F.B!!』
魔力回復薬で全回復したハメさんが巨大草食恐竜ほどもある赤サソリへ2回目のF.F.Bを放つ。傍らでは全力で重力魔法を撃つサリーとHPとMPを全回復させたスーパーさんが駒の様に回りながら敵とサリーの間で奮迅する姿が見えた。大ボスのHPが残り2割を切った。
ダメージは期待出来なかったがヘイトを稼ぐために馬之助も必殺技を始動する。
ヘイトというのは悪い意味でのモンスターからの注目である。必殺技系はヘイトを多く稼ぐ。幸いなのかどうか分からないがヘイトは此方に向かう事は無く、怒り狂う大ボスは大きな赤茶色い二つの鋏をビルの3階程の高さに振り上げたながら赤い目を爛々と怒らせながら業火に焼かれて行った。
(つづく)
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