第5話 初めてのPTボス狩り
目を通して頂き有難うございます。
街のトーナメントでギルドカオスワールドのGMカオス氏に声を掛けられた馬之助はカオス氏のギルドに世話になる事になった。
今会話しているギルドの副マスター”破滅の杖”氏から彼が三国志好きのギルドメンバーであるスーパーホースさんから付けられた仇名がシュウさんで周瑜将軍から取ったらしいと教えて貰う。
えーっと知略に長けた水軍の将だったかな?
破滅さんのニックネーム欄3枡はハメ・シュウ・ガッツと3つ共埋まっている。
ニックネーム欄は空白であれば誰でも人に付与する事ができるが本人が気に入らなければ何時でも削除はできる。但し自分自身で入力することは出来ない。
『ウマノスケは2戦目が未だだろう? 俺とやろう、但し最初だから実力を見たいので手加減はしないぞ?』
ハメさんの誘いに乗り闘技場に入ると模擬選を開始する。
『模擬戦を開始します』
機械ボイスの合図で試合開始早々俺は一直線に斬り込むがあっさりと回避され背中に魔法弾を浴びてしまう。
大きさと発動の速さから言って初球の魔法弾だったと思う。HPの減りは5%程だがこの頑丈な鎧が自分よりレベル高い魔法使いが放つ魔法に対しては無防備であると気が付いた時には既に体力の半分を持って行かれた後だった。
それにしても此方の攻撃が当たらない。素早さと運が極端に高いのか?それだと逆に体力に回わせるステータスポイントが少なそうだから当たれば一撃で根こそぎHPを削れる可能性もある。
ブンブンと剣を振り回したが結局1撃も当てられず残HP1になった俺は模擬選初敗北を喫した。
『イエーイ、パーフェクトボーナスでくじ引きコイン1枚ゲットだせ。悪く思うなよ?』
ウマノスケには微々たる経験値が入ったようだが、自分より素早い相手に向かって剣を振り回し続けてた事は無駄には成らないはずでレベルアップ時にスタータスポイントアップへのプラス補正に期待する。HPは闘技場を出た時に自動回復されて100%に戻った。lv85の馬之助は力に64、体力に100のステータスを割り当てているのだが、HP表示は概算で(体力×√力/5+体力×√レベル)*0.7なので大凡1300×0.7=900HPだった。(正式な0.7に該当する所が更に複雑で放物線的な挙動を示します。)
闘技場を出るとサリーちゃんとスーパーさんが待っていてくれて、なぜかサリーちゃんから”運転手”さんというニックネームが飛んできた。
『珍しい白い手袋してるから。』
これは成り行きで付けられてしまった右手の甲に有る秘密結社マークを隠す為である。このニックネームは後でこっそり消そうと心に誓った。
『さあこの後は一狩り行こうぜ?』
破滅さんの提案で俺たちはPTを組むとギルドが所有する転送ゲートを使い西の砂漠へ移動する。
ギルド転送ゲートはギルド役職者以上が操作でき、その年のギルドポイントに拠って設定できる行き先が増えたり減ったりするギルド特典の一つだ。
これを街中のNPC転送魔道士に頼むと一人10万~100万ギールもの大金を取られる事になる。価格の違いは距離の差である。西の砂漠なら30万ギールと言った所だろうか?転送は高いので頑張って移動する人も多いと聞く。
『実はここに先週のアップデートで砂漠スコーピオンというボスモンスターがポップする様になったがシークレットモンスター扱いで未だ公には広報されていない。見つけた俺様エライ!恐らく後1週間は狩り放題だ!!』
効果音と共に砂の中から現れた赤褐色をした大サソリは聳え立つ様な大きさで、実際大型のシャベルカー程もあった。
建物の2階程もある高さから突きおろしてくる毒尾を躱しながらの戦闘は中々難しかったし、一度鎧の胸部に食らったが耐久が10%下がりHPが35%も減った。代わりに突きを1発入れてやったがダメージ表示がたったの『1』だったので直ぐに下がる。
操作が下手な俺はストレージから大型のミスリル盾(防御力+250)を取り出し翳すと盾役に徹した。アイスタートルの堅盾(防御力+200,物理攻撃の低減50%に加え被ダメージをHPの30%以下に抑える特殊効果有り)に比べると頼りないがそれでも立派な装備である。
PTを組んでいると仲間のHPゲージ、MPゲージと被ダメ、敵に与えたダメージが画面に表示される。スーパーさんの槍は時々特殊攻撃が入るとダメージが『100』とか『88』とか表示されていたがそれ以外は『17』が並んでいた。サリーちゃんは空間系の魔法で相手の動きを抑制してたが、時々放つ雷系の魔法がやはり『5』とか『6』とか1桁台の数字を叩きだしていた。
『中級以下の魔法だとダメージの95%近くがカットされちゃう!』
ふむふむ。するとサリーちゃんの雷魔法の攻撃力は100くらい?馬之助が食らったら10%は持って行かれるじゃないか?!魔法使い恐るべし。
ボスモンスターのレベルはlv155、俺とのレベル差は2倍弱だったがミスリルの大盾を持った時の防御力だと尾っぽの攻撃も大した事が無いのか受け止めた時のダメージは『40』程度だった。
『大した防御力だ!』
ハメさんが一言誉めると後方に移動し長い詠唱を始める。それまでハメさんの火炎弾が『21』や『20』で平均してなのか一番ダメージを与えていたのでサソリは彼を追いかけようとするが、慌てて3人が攻撃を繰り返しこちらへ反転させる事に成功した。今はサソリがサリーを追いかけ様として俺の大盾に阻まれいる状況である。
そしてハメさんが極大魔法を放った。
”ぐーん”とハメさんのMPバーが一気に減少する。バーは数字が見えないので実際MPをいくつ消費したのかは分からないがとにかく大技だという事には間違い無かった。
『ファイナル フェニックスバード!』
フェニックス・バードって不死鳥・鳥で被ってない?そう心の中で突っ込みながらも3秒に10%以上減って行くHPを食い止める為に必死で体力回復薬を飲みながら盾でブロックを続ける。盾の向こうでは背中から炎に焼かれる大サソリがいるがミスリルの大楯が段々赤熱を帯びてくるのは気のせいだろうか?
鳥の形をした業火に包まれ見る見る内にHPゲージを減らす敵ボスの頭上ではダメージ表示が1秒毎に8,000近くがポップアップしては消えている。あれ?馬之助だと1秒で9回くらい瞬殺される?
『F.F.Bの攻撃力表記は2,000×10回だけどサソリは火耐性が-50%に加えて俺の持つ杖、ローブ、10本の指に嵌めた指輪全ての火攻撃力アップが合計+150%,+100%で倍だから+200%だと倍の倍で4倍、だからダメージ8000×10回!』
すげー、魔法使いってすげ~。1秒毎にボスモンスターのHPバーが1割程づつ減って行く様を呆気にとられながら眺めつつ、そそっと自分の火抵抗を見てみると+50%だった。
ス:『あれ?そういえばハメさんトーナメント出てました?』
ハ:『うっ!出てたけどこのババアに負けた。』
サ:『うぇい!』
どういう事だ?lv145という高レベルに加え、ミスリル装備:火抵抗+50の相手にでさえ4,000×10回の極大魔法を撃てる強者に俺とほぼ変わらないlv82の魔術師が勝つ?
その答えは直ぐに分かった。
”プッ”
サリーの吹いた吹き矢はサソリの足に命中するとそれを瞬く間に石化させる。トーナメントでもこれを使ったに違いない。暴れながらフェニックスの炎から逃れようとしていた大サソリも突然足を1本封じられ思うように逃げられず炎に焼き続かれていく。遂には敵のHPゲージがゼロになり消滅した!
『パパパパー!ピロリローン!』
(つづく)
キャラクターのレベルと所持金などをメモしながら書いています。
おかしな点がありましたらすぐ修正しますのでお教えてください。
宜しくお願いします。