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ゼロ化世界  作者: ゴスマ
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第34話 ワールドハピネス

目を通して頂き有難うございます。

本日は話の切りが良い所で切ってしまいましたので少し短くなってしましました。

 馬之助は悪の秘密結社アーマゲダンの支部マスター達と共にファーイースト大陸サーバーからアジア大陸の中央国サーバーに移動した。王都で一緒になったファーイースト大陸北部予選の優勝者と準優勝者達も一緒だった。


 これから俺たちは裏武闘会の本戦を戦う事になる。優勝者へは総帥であるアニヒレイター直々に強力な魔装備を貸与され、表の大会に殴り込む手はずとなっている。


 あれ?ちょっと待て...俺がもし優勝して表の大会に出るとしたらファーイースト大陸からだよな?若しかしてホームタウンの夜昼の街からだったりしたらお世話になっているGMのカオスさんの邪魔をすることになってしまう。これは拙い!


 そんな事を悩んでいる内に俺たちを乗せた馬車は北の都郊外にある遺跡にやってきた。やはりここでも古代遺跡を借り切って武闘会を行う様だ。


 『開会宣言、選手代表 Bud Guys。』


 『宣誓!我々アーマゲダン一同は正々堂々より確実な一手で相手を倒します!選手代表Bud Guys。』


 欧米のミリタリーロボットの様なマッチョが宣誓したが、中身は最低だった。まあこいつらそう言う集まりだから。


 トーナメント表にはニックネームとレベルが記載され、馬之助の所は”Driver(運転手) ♂ lv120 となっていた。流石は全世界から集められた悪共だ、見渡すと中には馬之助よりレベル高い敵が3人も居た。ハリーケーン・ソルジャー(台風戦士) lv131,アメリカ大陸 準優勝。ネイビーブルー lv162,アメリカ大陸優勝。チャンチョンソン?ん?なんだ誤訳か? 彼は一番レベルが高く199も有った。出身はここ中央国となっている。

 因みに表のトーナメントの方はというと、アメリカ大陸、アフリカ大陸、アジアオセアニア大陸の東部(馬之助の居る所),中部(インド・ロシアに該当する),西部(ユーロ・北欧エリア)の5エリアで優勝者と準優勝者を選び総勢10名で世界大会を戦うのだが、アジアオセアニアの1位は言わずとしれた我らがGMカオス氏、昨年度の時点でlv330.実はこれはレベルだけで言うと上位3位に入るのだった。

 優勝者のミスターPOJO氏はアメリカ大陸所属でlv335,

 準優勝者のミスターPKG氏は西部サーバー、ユーロエリア所属でlv283.彼がPOJO氏の言っていた聖剣レベルの装備を3つ所持するという強者である。

 3位はアフリカ大陸のオモンディ氏でlv332、残念ながら3回戦でPOJO氏に敗れたカオス氏は4位-5位決定戦に快勝し4位だった。


 詰まり言いたかったのは、裏社会の猛者たちが集まったのだがレベル的には表のトーナメントでは本大会出場すら危ういという事だ。こんな一目瞭然の事に目を瞑るとはアニヒレーターとは妄想家なのか、はたまた貸与されるという装備がこのレベル差を跳ね返すほど強力なのかは今は分からない。

 

 とにかくPOJO氏からのミッションでアニヒレイターの本体の居場所を掴む事が重要だった。その為には彼を握手する、もしくは彼に物を渡す必要があった。そうすればウイルスソフトが自動的にダウンロードされる様、ジャネットが改造したからである。


 そう言えばジャネットをまた数日見ていない気がする。部屋に籠って解析でもしているのだろうか?朝飯くらい食べに来ればいいのに...そう思ってゲーム内のレディーJから受け取っていた専用の通信機で呼びかけて見る。


 『J、此方”運転手”聞こえるか?』 

 因みにバトゥの頭上に表示されている”運転手”というニックネームは巻物偽装品である。実際にその欄はサリーが折角付けてくれたのに悪いのだが消して空白になっている。


 応答がない。ふむ、どうやら不在らしいな。90%SOHO可能と言っていたが流石に出社したのかも知れない。


 俺はジャネットが作ってくれた偽造の社員証(パート社員用)を貰っていた事を思い出し、パソコンでワールドハピネス社日本支部の場所を調べるとクールビズな格好で電車に乗って出かけた。


 今日の裏武闘会は開会式だけで実際の試合は明日からだし、一度スーツ姿のジャネットを見て見たいと思っていたからだった。


 しかし大きなビルの前まで来て怖気づいた。


 本人が一番良く分かっているのだが、これは偽造カードで俺はパート社員ですら無い。


 もしばれたらどうなるのだろうか?警察に突き出されるのは御免だ。やはり帰ろうかと思案している横を同じようなカードを首にぶら下げた社員らしき人達が中へ入って行った。


 自動ドアは何もせずに開いた。

 

 エレベーターの前にタッチ機とゲートがあるがそこにカードをタッチさせて人々はエレベーターで上がって行く。確か12階~15階までを借り切っているとジャネットが言っていたのを思い出す。あのゲートが開かなかったら諦めて帰ろう、そう思って中に入りタッチして見るとゲートはすんなりOKサインと共に開いた。


 此処まで来たならとエレベーターに入ると12階を押す。ジャネットはエグゼクティブと言っていたから15階だろうが行き成り侵入禁止エリアの可能性もある。まずは12階を押して見た。


 オフィスは受付と会議室、その奥に広いオフィス空間が広がっていたが行き成り入口付近の会議室からジャネットが出て来た。


 咄嗟にエレベーターに隠れようとしたが、他の目もありそれは止めてジャネットに正直に見に来てしまった事を言う事にした。

「やあ、ジャネット。済まないな。一度見て見たくて来てしまったよ。」

美しいジャネットはスーツ姿が良く似合った。

後ろで纏めた黄金の髪も細い首元やうなじも全てがいつも通り美しかった。

しかし、彼女は俺に向かってただ不思議そうな顔ををするだけだった。


「おい、ジャネットったら、断りもせずに来たのは悪かったからそう無視しないでくれ。」


 「ちょっと...えーと此方の会議室へ...宜しいですか?」


 あれ?何だか言葉使いがまともだ。そりゃーそうだよなー、会社では流石にキチンとした言葉を使い分けてるんだよなー。


 そう思いながら会議室に入るとジャネットは行き成り内から鍵を掛けるとその見慣れた美しくも涼し気な目でこう言った。


 「貴方、どなた?」


 「えぇーーっ?」


 (つづく)


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