表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロ化世界  作者: ゴスマ
30/50

第28話 罪のない出汁巻き卵

目を通して頂きありがとうございます。

 知らない内に合鍵で入ってきたサリーが俺の部屋に見たことも無いジャネットとコタツ台越しに顔を近づけているのを目撃したとしたら?しかもジャネットが飛び切りの美女だったりしたら?


 「おーきっと貴方がサリーさんですね?」

 「そんな奇麗なお友達が居て、私の事...からかっていたのね?」

 「サリーさん、誤解です。私たち只のBPです。」


 恐らくジャネットは極秘任務のビジネスパートナーという心算で言ったのだと思うがサリーはBPという言葉を妙な物と勘違いしたらしく、突如ポーチの中からガサガサと神を1枚取り出すと

 「婚姻届け...」 と声を絞り出した。


 おろっ、今俺の目の前で破るの?!


 「今から出してきてやる!!」 


 そう言ってサリーは壊れた卵の入ったスーパーの袋は放置のまま勢いよく出て行ってしまった。後を追おうとする俺の右手を何故かジャネットが硬く握りしめてブンブン上下に振る。

 「おぉー、お二人は結婚するですか?お幸せにです、羨ましいです!」

 「サリー、やめろおぉオぉー誰も得しないぞおぉーー!」

 仕方が無いのでジャネットには俺たちが付き合っている訳では無い事。ギルメンで何故か婚姻届けを持っているが、あれは彼女の悪い癖の様な物で余り意味が無い事。彼女を傷つけないようサブマスからお願いされている事などを説明する。

 すると意外な事にジャネットはPOJOと自分の事を語り始めた。

 所処その美しい睫毛を伏せ気味に話すその姿は、彼女も又過去に何か辛い思いをしたのだろう俺に思わせ、都度胸が痛くなった。

 胸と言えば俺の部屋はクーラーが故障していて窓全開で扇風機という戦闘体形が基本だったのだがジャネットが窓は締めてと言うのでとにかくムシムシと暑かった。

 彼女もハンカチで顔を押さえながら汗を処理していたが、段々白いブラウスが透けて淡ピンク色のブラが透けて来たのは不可抗力だ。冷蔵庫からコーラに氷を入れて何度も運ぶ。しかし、飲みすぎは逆効果だったかもしれない。


 結局サリーが役所に提出しなかった婚姻届けを持って戻って来たのはそれから1時間後だった。丁度俺がでっかい出汁巻卵を2個造り終えた所だったので暑い部屋の中3人で一緒に食べた。


 食事の後、俺はサリーにゆっくりと事情を説明する。やっぱり込み入った話はお腹が一杯な時の方がいいみたいだ。もちろんジャネットにも援護して貰う。

 「おかしいわ?ジャネットさんが馬ちゃんの住所を知って居るのが怪しい。それにチューしようとしてたの見たし。」

 おかしいのか怪しいのかどちらなのと突っ込みたかったが我慢する。

 「おーそれはバトゥさんが感染していた居場所特定プログラムのお陰です。消去する前にデータを活用しました。」

 ジャネット...お前って奴は..。


 「あーそれなら納得。」

  そんな突拍子も無い事をすんなり納得されて俺は暑さも相まって頭がクラクラした。

 「俺は疲れた。少し休ませてくれ。」

 「だめです、未だ任務の話が終わって居ません。」

 「ジャネットさん美人だから馬ちゃんが妙な気を起さない様に帰るまで見張ってる。」


 サリーに話せる範囲で、残りは次回という事でやっとミッションを聞いた。

 結局任務と言うのは複数人いるとされるブラックカードボックス関係者の一人に接触する事だった。しかも人物は俺たちの住む昼夜の街に潜んでいると言う。

 「じゃあ何でこんな所まで遥々来なきゃいけなかったんだ?」 文句を言ったが可能な限りF.B.Iを避けて秘密裏にジャネットと接触する為にこういう方法を取ったとの事。


 「その男の特徴は?」

 「今探っている所でーす、えーっと何か分かったら連絡するからゲーム内でJから通信機を受け取って欲しいです。暗号化されているから絶対盗み聞き去れないはずだから。それと、恐らく貴方を感染させた奴が深く関わっているです。一方的に感染させる事は不可能だけど、カモフラージュしてなら出来るです。例えば握手を求められてその手を握り返す、物を渡されるなんて事をした相手が容疑者になりえるでーす。」


 「成程、普段接触した相手の誰かって事だな?物の受け渡しなら露店や商店主も容疑者になるって事か、ん?それより通信機があるならレディーJからそれを馬之助に渡すだけでジャネットが態々危険を冒してまで此処に来なくても良かったんじゃないのか?その通信機で教えてくれれば?」

 「でもー、ゲーム内であんな花束貰ったから...どんな人か見て見たくって。」

 「ちょっと馬ちゃん、何色の花を贈ったのよ?」 サリーがジト目で見てくる。

 「何って支部長の勧めで村の周りに咲いている珍しい白と濃い赤色が混ざった花だけど名前何て出なかったから知らないよ?」

 「ばか。あのゲームの初級者クエストに奇麗な洋服が貰えるのがあるのね。その中でイケメン交換してくれるの。で、その時貰える花の色でイケメンの評価がも分かるって事になっていて、白い花や薄いピンクは好意、黄色は友情、濃いピンクか赤い花の花束を贈るって事は婚約してくださいって言われる時なのよ?だから女性キャラに赤い花なんて送ったらそう言う意味って勘違いされるかもしれないからね?

 つまり知って居るでしょう?システム的にゲーム内のキャラクター同士を結婚させる事が出来るって事。」

 いえ、全く知りませんでした。

 「私の分身が付き合うかも知れない人を一目この目で確かめて見たかったのです。レディーJとの結婚式は何処でやりますかー?」

 「ええー?そんな暗黙のルール知らなかったんだよ、ぉ、ぉ、オおおお?!」

 ”ぎゅうううぅぅぅぅ”

 サリーの指が思い切っり太ももを挟んでねじるので悲鳴を上げない様に我慢するので精一杯の状況に陥った。

 「悪いけどジャネット。NPCに勧められただけでそう言う意味のある花だとは知らなかったんだ、ごめん。」

 そう何度も謝ってどうやら許して貰えた様だ。俺とジャネットがヒソヒソ話をしようと顔を近づけた所を見てキスしようとしていたとサリーが違いした件も誤解を解いて貰った。

 ジャネットが帰るととサリーも一緒に駅までいくと言って二人して仲良く去って行った。

 俺は窓を全開で開けるとそれでも暑かったのでシャツを脱ぎ風呂で水シャワーを浴びた。


「あっ?」


 ジャネットの不法侵入と違法プログラムの件うやむやのままじゃないのか?



 多分ジャネットは今頃電車の中、レディーJはオートモードのままだったが馬之助は暇を告げると俺を忘れて置いて帰ってしまったジョーンズさんの馬車を歩いて追う。


 村に戻ると直ぐに帰り支度をしたがハタと困った。


 『ド田舎で次の駅馬車は5日後だった...』


 手がかりを掴んだと言うのに5日もこの村で足止めとは歯がゆい思いがするが、仕方が無いのでギルドの依頼で害獣退治をこなす事にした。


 ◇


 2日後の朝、ドアベルが鳴った。サリーからはあの後もう一度実家に戻るから今日帰って来ると伝言があったがこの時間はサリーでは無い。もしかしてジャネットか?

 予期せぬ来訪者達に懲りた俺は除きレンズから外を覗いて怪しい人では無いかまずは確認した。ん?普通のラフなサラリーマン見たい?手に持っている封筒は見たことがある、アパートの管理会社の封筒?


 「どちら様でしょうか?」

 「あっすみません、2〇△号室の〇×さんのお宅ですよね?不動産会社の物ですけど、実は私共もこんな事初めてなのですが急きょ大家さんが代わる事になりまして...」

 「ちょっ そんな!行き成り出て行けって言われてもこっちも行き場所が無くて」

 「あっ立ち退き要求とかそう言うのは無かったんでご安心下さい。ただ、大家さん変更に当たって合意書に簡単な書類にサインを頂きたいんですが?」


 ドアを開けると少し小太りで猫毛な中年男性から封筒を渡されたので中の書類を確認すると、アパートの所有者がワールドハピネスという会社に代わる事ので今の大家との間の契約をそのまま引き継ぐ事を承諾する書類1枚と2Fの部屋を改装するので工事中は煩いでしょうから1Fの空き部屋を準備すると言った内容だった。


 「下空いてるんだ。改装ってどんな改装なんですか?」

 「隣に大家さんの会社の従業員が入って来るんですけどね、あっ寮としても使う裸身ですよ。それで一部壁を壊して断熱材を入れたり、防音効果の高い壁材を入れたりする工事をするそうです。」

 仕方が無いのでサインすると下の鍵を貰って管理会社の方には速やかにお帰り頂いた。

 2Fと1Fとは言え、荷物を全部移動するのはかなり大変である。夏でもあるし毛布2枚と枕、パソコンだけ下におろすと冷蔵庫など台所周りは其のままにして置いた。

 サリーからはラインが入っていて戻ってくるのは3日後に再延期したそうだ。只お母さんの容態は順調で久しぶりだったのでもっとゆっくりしていって欲しいと言われたのでと書いてあった。


(つづく)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ