第18話 ね・ら・い・撃ち
目を通して頂きありがとうございます。
『おう、バトゥ。リアでサリーとデートしたらしいな? あいつ面倒くさいけど宜しくな。でもマジには成るなよ?碌な事に成らないからな。』
ハメさん、あんたはサリーの元彼か?と言いたくなったがグッと我慢する。
『金が無いのでもう二度と行きませんけど。それよりサリーのお陰でレベルが大変な事になったんです、今日模擬戦お願いできませんか?』
そう言ってお願いすると快くレベル上げに付き合ってくれた。Lvを98まで戻した俺はもう直ぐレンタル期限の切れるランドミサイルを少しでも活用する為に狩りに出かけようとする。
『そう言えばサリーは?』
『指名が入って横浜に向かった。』
『デリヘルの話って本当だったんですか?』
『だとしたら?言って於くが女を縛りたいと思うなら女の方がお前を縛りたいと思うくらい惚れさせなきゃ無理だぞ?』
『別に...レベル上げ手伝って欲しかっただけですから...』
とは言え、何だかモヤモヤした気分のままフィールドでMOB狩りをしていると1Lvも上がらずに契約時間を終えたランドミサイルが持ち主へと飛び去ってしまった。
流石に自分の武器では効率が悪すぎて続ける気にはなれずギルドホールへ戻るとカオスさんに会った。
カオスさんは俺のレベルに気が付くと何も言わずに励ましてくれた。それと明後日になれば西の都にもっと防御力の高い装備を探しに一緒に行ってくれると言う。恐らく防御力不足でボスキャラにやられたと推測してくれたのだろう。
所で何故明後日なのか?それは明日が待ちにまったオークションの日だからである。
カオスさんに聞くと明日もランドミサイルを出品してくれるらしい。買うぞ!絶対買うぞ!
◇
『あっスーパーさんお早うございます。』
『バトゥ殿、本日も模擬戦は如何かな?』
『是非お願いします、所で今日は月に1度のオークションの日ですが、スーパーさんは今日も夜勤ですか?』
『28日まで夜勤で休み・休み・休みの次が朝勤だねえ。そうそう、もしオークションに”人魚の涙”が出品されていたらセリ落として貰えないだろうか?お金は手形を切るのでこの範囲内で落とせればという事で。』
スーパーさんから手形を預かった。へえーこんな機能が有ったんだ、本当に色々無駄な?機能があるゲームだ。
模擬戦でLvを98→100まで戻した馬之助はスーパーさんのLv155サソリボス狩り
に同行し盾役を頑張った。意外な事にサソリ狩りPTは3か所で行われているのみで在り、1か所を得て時間は掛かったが2匹のサソリを狩る事ができた。
(馬之助Lv100→102,スーパーさんLv141→143。)
『この街の上位陣がLv152の壁に突き当たったから又これからしばらくはサソリ狩りができると思うよ。』
Lvが152になるとサソリボスを狩っても突然経験値が殆ど貰えなくなる。
このレベルになると経験値アップの課金アイテムを両脇に抱え毎日8時間MOB狩りしても2日に1Lvと言った所なのに加えて、敵の攻撃も激しく下手をすると死亡でLvを落としてしまうPTも少なく無いと言う。
『カオスさんがLv178ボスのヒュドラ狩りに付き合ってくれると良いんだけどなあってハメさんがボヤいていたよ。GMは自分のレベル上げに忙しいから付き合って貰っても日に3匹が限度だそうだよ。』
街のランキングでハメさん(Lv166)はカオスGM(Lv333)に次いで堂々の一位である。以下、
2位集団 Lv153 8人
その下の集団 Lv148~130 23人 となっている。
またTOPギルド中の上位ランカーの分布はギルドで配布している新聞によると以下の様になっていた。
ギルド「カオスワールド」 GMカオス(333),副GM破滅の杖(166),
マダガスカル(lv153),スーパーホース(143),ハローグッバイ(131)
ギルド「はむすたー軍団」 GMハム王(153),副GMハム姫(153),
スカンドール(lv153),コロコロリン(153),白っ熊ん(153)
ギルド「リトルモヒカン」 GM侍モヒカン(153),副GMちっさいおっさん(153),
モヒート君(lv150),浜茶屋(149),サードで5番(145)
ギルド「ラブライム」 GMラブ+(153),副GMサラ・ナイン(153),結婚願望(lv153),アンナルージュ(149),リーリアズ(148)
『ラブライムってGMが女性でギルドも女性が多いって所ですよね?』
『ああ、主婦と水商売の女性が多いという噂だがどこまで本当だか。』
スーパー氏は噂に否定的なようだ。
『レベルを聞く限りではギルド対抗戦って”ハムスター軍団”が皆上位レベルで強そうですね?』
『そうだね、実際ハムスターは強いよ?但し対抗戦はHP回復無しの勝ち抜き戦なんだ、うちは露出狂のサリーさんが1番手、副のハメさんが2番手、3番手がカオスさん、4番・5番がそれぞれマダガスカルさんとハローさんだから...』
スーパーさんよりLvが低いのになぜハローさんが?と聞くとハローさんは珍しい魔法を使うのでそれを見込んでの事らしい。
色々教えて貰ったお礼を言って一旦ログオフした。
◇
「ピンポーン」
誰だろう? 又新聞の勧誘かな?
若しかして又NH〇の集金だったらやだなあ。テレビ見ない派なのでパソコンのモニターしか置いて居ないにも関わらずインターネット経由でも映るはずだから払えとか前回も可成り揉めたもの。今度携帯持ってるだけでも強制契約とかガクブルである。
いっそのことNHKの毎月の視聴料を有料のBS・CS放送の様な契約にして見ない人には映らない様にすれば揉めなくて済むのにそうもせず法律を盾に集金するのは何かおかしいと感じている。
そーっと除き穴から覗いてみると相手も此方を覗いていて吃驚した。
「勧誘なら帰って下さい、NHKもTVは持ってません。しつこいと警察を呼びますよ!」
ドア越しに怒鳴って見た。これで帰ってくれれば良いのだが。
「大丈夫です警察です。捜査に協力して頂きたいのですが、開けて頂けますか?」
へっ?
◇
実は警察と言うのは嘘でドアを開けた瞬間足を突っ込まれ閉めれなくなった挙句雪崩れ込まれるというドラマの様な展開を予想して念の為チェーンロックはした状態でドアを開ける。
警察手帳を見せた刑事らしき男達はパソコンを調べさせて欲しいと言う。
「実は国際的なIT犯罪組織に関する調査でして、この辺りのパソコンを虱潰しに調べているんです。ご協力...頂けませんかね?」
別に見られて困る妙な写真や動画を保存してあるわけで無いので調べるくらい良いのだが、もしもこの人たちが偽物警察だったとしたら?
「警察手帳なんか本物を見た事が無いので見せて貰っても分かりません。調べるって何をどうやって調べるんですか?」
扉から遠い所に立っていた刑事がこっちに寄って来た。
「すぐ終わりますよ。このUSBでソフトをインストールして判定ボタンを押すだけです。我々が探している不正プログラムが見つかればその感染元をたどる為に1週間ほどパソコンをお借りする相談になりますが、おっと、その間は勿論署の最新型マシンをお貸ししますので。」
胡散臭い!
警察が押収の補填をするなんて話がうまく出来すぎていて胡散臭い!
「そのソフト自体がウイルスでない事を証明できますか?」
刑事たちは顔を見合わせた。
「そういう事を仰ったのは貴方が初めてでして、IT関係にお勤めですか?」
あほかー!偶然パソコンに疎い人ばっかりに当たっていただけだろう?
「失礼ですが僕の所で何件目ですか?」
「1軒目ですよ、狙い撃ちですから」
えっ?
(つづく)




