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ゼロ化世界  作者: ゴスマ
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第16話 第3勢力 レッドクイーン団

目を通して頂きありがとうございます。

 昼間っからゲームをしていると契約している派遣会社から電話があった。

 電話の内容は単発派遣の誘い話だった、俺は首を傾げる。

 何故派遣会社が何故単発バイトの紹介を?

 日雇い派遣は違法だったのでは?

 そもそも未だ勤務先を休んでいるだけの状況のはず?(これはアルバイト日が正式退社日以降なら問題なし。)

 一番気になるのは、そのバイトを正規に受けた場合雇用保険が継続とされ当てにしていた離職票を貰えないと困るな?という事だった。しかし派遣会社と事を荒立てなくない俺はストレートに言えずに悩む。

 『因みに何時位の仕事なんでしょうか?』


 『3週間後くらいですね。特定の仕事には短期派遣もOKなんですよ。今回のファイリングの他にも調査やOA操作、財務処理なんかもそうですね。』


 『ちょっとその時期は法事が祖父の実家でありまして、ええ、遠いので暫く向こうにいる予定なんです。』


 『そうですか、ではまた予定が変わったらご連絡いただけますか?』


 どうやら上手く断れた様でホッとした。

 

 そうだ、アルバイトの準備をしておこう。

 そう思い立った俺はコンビニへ行く無料配布で貰える薄っぺらいアルバイト紹介雑誌を手に取る。家に帰ってしみじみ読んでみると...まず6割が四六時中募集を出している常連企業様方。こちらは勝手な判断で申し訳ないがブラックかセミブラック、時々ハードブラックなので近づかない事にしている。

 後若い人が多い職場です!は魅力的だがもう若くないので後回し...介護、警備...行き成り初心者が言っても邪魔になりそう。まあ何しても最初はお邪魔者にしか成らないから覚えるまでは我慢なのだが、ド短期しかしないつもりならモット初心者向けな仕事がいいかな?


 まあゲーム片手にゆっくり読もうと再びゲームにログインするとブラブラ露店巡りをする。あっ誰か俺の方を指さしている。ランドミサイル様のお陰で俺も有名人の仲間入りかなぁ何て照れていると行き成り後ろから押さえつけられた様で画面が地面のドアップになった。

 『ちょっとなんだ?俺はカオスワールドの人間だぞ?こんな事して只で済むとは...』

俺、何かフラグ立てちゃったかしら?

 『はんっ!カオスの所も質が落ちたもんだ、こんなLvばかりでヒョロヒョロの奴がホープだなんて!』


 ええっ!何でLvが分かるんだい!?それにヒョロヒョロってステータス迄見られてる?気持ちが悪いぞ。

 『待ってくれ!何かの間違いだ俺は悪い事なんか一つもしていない!』

 ...事はないな?一応不本意ながら悪い組織の一員だし。ピノキオなら鼻が2cm程伸びていた所だった。

 『おい!真実のオーブが曇ったぞ!こいつ何か隠し事をしているみたいだ。』

 『それってまさか!』

 『そうだとも、そうに違いない!』



 『クイーンの前まで引ずって来い!』


 『助けてくれー!』


 後ろ向きに引っ張り起され縄で引きずられた瞬間に画面に男達の姿が映る。

 顔中傷だらけの山賊集団かと思いきや逞しいが至って普通の冒険者達だ。

 おかしい、これは誰かの陰謀に違いない。

 街ゆく人々に助けを求めるが、皆冒険者達の腕に付けている腕章を見ると目を背けてしまった。

 模様の入った青い腕章、これは確か...そう!自称自警団の奴らだ!!


 ◇


 『姫、姫の仰る男を街で捕まえましたが飛んだ軟弱者です。姫には相応しくないかと。』なに!?姫だと?此処は街だぞ?王族がいる筈は...


 『■ 私サリー宜しくね!』 


 がくっ!! お前かっ!!ばばあ相手に姫呼ばわりとか何を寝ぼけているんだこの男達は。


 『■ その子はバンバン鍛えてあげてね!』

 『分かりました!おい、自警団の練習場に連れて行って鍛えてやれ!』


 『止めさせろ!おい、止めろ!くそばばあーーー』

 世の中に地雷があるとその数だけ信管がある、口は災いの元と言うが俺が口にした言葉は地雷の信管にピンポイントで狙撃した様な器用さを発揮した。崇拝する神を愚弄されたマッチョな臣民達を猛牛さながらに怒り猛らせたのだった。

 自警団の練習場はHPが1以下にならない保護フィールドであったと共に、武器、防具が自動的に一時保管され、つまり男達が下着姿で体を鍛える見ているだけで暑苦しい場所だった。

 そこで追いかけ回され殴り合いを演じているとサリーが降りて来た。

 練習場に入るとサリーの装備も解除され、なんとスクール水着姿に!

 ババア本当にいいかげんにしろ! と心の中で抗議しなが手は一生懸命マウスを動かす。


 自警団の若者達はサリーの水着姿に両膝を付いて礼拝しだした。


 『付き合い切れるか!あばよっ!!』


 辛うじて捨て台詞を入力すると全速力で逃げ出した。

 後から男共が追いかけてくる。

 更にその後方には神輿に乗せられ男達に担がれた赤い魔法少女(中身はババア)の姿が!

 スタミナの続く限り全速力で走ると後はヘロヘロと言った表現が正に当てはまりそうな様子でのろのろと走る。奴らどうやって俺を認識している?ババアから貰った何かに発信機?いや何も貰って居ない。ならば全身のミスリル鎧か背中の剣で見分けている?

 路地に入ると古着屋に入り適当な服を購入、すぐにミスリル装備とチェンジする。手に持つランドミサイルは収納、手...手袋!すぐさま古着屋を出ると防具屋を探しあてて初心者が使う鱗革の手袋を装着する。


 ニックネーム表示は巻物が無いので直ぐ変えられないが、目印無しで人込みの中で探すのは時間が掛かるだろう。その間にあそこにたどり着かなくては!


 ◇


 はあ、はあ、画面の中で馬之助は激しく肩を上下させながら呼吸する。

 やった!逃げ切ったぞ!

 俺は街はずれの道具屋のドアをそっと開けた。

 『■ いらっしゃい、ああ誰かと思えば馬之助さんか。いつもと恰好が違うので一瞬だれだか分からなかったよ。今日は何が必要なんだい?』

 AI優秀だなあ、対人スキルが。 

 若い店主はほっそりした手で商品ウインドウを開くと見せてくれた。

 馬之助はニックネーム表示変更のスクロールでは無く飲み薬を注文した。

 ・隠密酒 … 飲むと30分間敵に見つかりにくくなるお酒。お酒なので攻撃命中率が下がると言うデメリット有り。

 ・身代わりの木 … 忍者ご用達。移動ルートをセットして投げれば自分に変身して歩き出す。PTでは主にモンスター誘導用として用いられる。

 ・トリックオアトリートの実 … 食べると50%の確率でお菓子に成る。残り50%は神のみぞ知る。※悪戯用なので人に用いても処罰は付きません。

 

 各5個づつ買ってもう鞄が一杯になったが、お値段が全部で30万ギールだった。


 安い!


 いや以前の馬之助には大金だったが、皆が良く使う体力回復薬(中)1個30万ギール(体力の20%回復)や体力回復薬(大)1個100万ギール(体力の50%を回復)と比べるとやたら安い印象を受けた。


 とにかく購入したこれらの品で今度は俺のターンだ!


(つづく)


はい、自警団の正式名称は「レッドクイーンを崇拝する団体」でした。

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