表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロ化世界  作者: ゴスマ
17/50

第15話 利用規定違反

目を通して頂きありがとうございます。

  翌朝、パソコンの前でナンとスクランブルエッグ・ミートソースかけを食べながらネットでLLON,RMTで検索する。LLONはライトニング レジェンド オブ ナイツの略号である。検索結果が今一つだったのでゲーム内隠語である”ローン”、それからストレートにRMT”で検索して見たら何とRMT専門店というHPにたどり着きた。

 『LLON本日の相場:1億ギール→お客様買:8千2百円(玉が少ないためお一人様2億までとさせて頂いています,お客様売:5千円』


 うおっ!しかしトレード税が凄まじいこのLLONでどうやってギールのやり取りを?

 詳細が見えないので急いでメールアカウントを1個作り受付フォームに”売り,100億,夜昼の街(3)イシューリア”と書きメールアドレスも入力する。


 来たっ!直ぐに返事が来た。


 「前略 本日はRMT専門店 倍々をご利用頂き有難うございます。

     続きまして下記リンクよりSSL通信でキャラクター名を

     ご入力下さい。折り返し此方側のコンタクトするキャラ名

     と落ち合う時間、場所をご連絡させていただきます。 

     ***********************   」


 急いでリンクを開くとキャラクター名、有効にしているニックネーム,ご希望の取引日時(1時間以上先で指定下さい。),ビットコインの送付先宛名の入力欄が有り其処に記入すると送信ボタンを押した。


 メールが届いた。


 「受け賜りました。ご希望の7/25にち正午にイシューリア露店販売場にて当社キャラ”倍々325号君”がお取引させていただきます。パスワードはRM034OERTです。担当が出るまで根気よく呼びかけをお願いします。」


 後1時間後である。急いでこの会社のネット上の反応を調べる。1件でも悪い噂が有れば詐欺の可能性があるので行くのを止めようと思ったからだ。

 幸いな事なのかネット上で悪い情報は1件もヒットしなかった。いや有るとすれば買おうとしても玉切れで買えなかったというレビューくらいだろうか?

 一方良い情報もヒットしなかったので迷いながらログインした。大体RMTで取引したやつが”いい取引でした、お店も誠実でこれからも利用させて頂きたいと思ってまーす。”なんてコメントする訳も無く…


 心臓の音を耳元で聞きながらフラフラと夜の大通りを歩き、昼(リアルタイムでは夜間)は賑やかな露店でごった返している広場に着く。

 

 ゲーム時間では夜なのに思ったより露店が多かった、皆オートモードで露店を拡げているのだろう。


 仕方が無いので端から1軒ずつ覗いて行くと少し離れた場所に子供キャラの露店がポツンとあり、怪しいので近づいて見るとビンゴであった。


 倍々325号 『■いらっしゃいませ。』

 馬之助『RM034OERT』

 倍々325号 『■何ですかそれー?』 

 馬之助『RM034OERT』     

 倍々325号 『■何ですかそれー?』 

 馬之助『RM034OERT』 

 10分程根気よくやっているとメッセージが代わった。

 倍々325号 『■SSL:お待たせしました。担当の池田です。100億相当のバンパイアの心臓を露店に準備しましたのでお買い上げ願います。因みにバンパイアの心臓は一時的に不死になるアイテムですが朝までに消費しないと消えて無くなります。万が一3時間以内にビットコインの振り込みが確認出来ないなど、正当な理由での御返品の際は暫く居ますのでお声かけ下さい。』


  俺は震える手で露店に新しく表示されたバンパイアの心臓(100億ギール)を選択する。

 覚えきれない程のアイテム数が売りのLLONだがこんなアイテムは無いと断言できる。

 今ネットで検索したからだ。

 チートアイテム迄作ってしまうこの倍々という業者は一体?!


 倍々325号 『■それは直ぐにビットコインを振り込まさせて頂きます。手数料はお客様持ちになりますのでご了承願います。』

  倍々325号 『■いらっしゃいませ。』

  倍々325号 『■いらっしゃいませ。』

 もう返事をしなくなった。急に不安になりビットコインの口座を開く。

 まだ振り込みは無い。何かいたたまれなく成りクソ暑い外へ帽子を被ってランニングに出る。「どうしよう」「はぁはぁ」「詐欺だったら」「どうしよう」

 30分程走り、その頃にはどうせゲーム内の宝くじで当たった物だから駄目でもクヨクヨするのは止そうという気持ちで戻って来た。

 まず水シャワーを浴びた、そしてビットコインの口座を覗くと…


 「うぉっ!50万相当!マジかー、やったー、今夜はステーキガ〇トだー!!」

 と喜びで部屋をゴロゴロ転がり捲ったが、目が回って来た頃には現金が無い事には変わりが無かったと気が付き外食は自重する。

  それでもさっそく通販の直ぐ着く配達でチューハイとビールのセット、牛ステーキセットを注文した。

 明日は酒盛りとステーキだー!


 ◇


 ちょっと燥ぎ過ぎました。職が無い=収入の見込みが無いという状況に変わりは無いのでビットコインも大事に大事に使わなくてはと反省ながら昼食のスパゲッティ-ミートソースを食べる。近所のスーパーで牛乳や卵を買いたかった事もありビットコインを商品券化する方法をネットで探したりしていた、あっア〇ゾンギフトは買えるんだ。


 それにしても食と住が崖っぷちじゃないって心にゆとりがあっていいよね。


 鼻歌交じりでゲームにログインすると親しく話せるほどの知り合いが誰も居なかったのでランドミサイル片手に狩りに行く。

 この時間ならアイスタートル空いているかな?

 残念、4か所共に以前見た事のある様なメンバー達が狩っていた。

 しかし座っていると秘話モードでPTメンバー加入のお誘いが有ったので承諾する。

 お望み通り硬いアイスタートルをランドミサイルでズバズバ切り裂いて上げると大喜びされた。

 しかし11人PTだと経験値が次のレベルまでの30%程度しか貰えないのね?

 えっ?他の人は実入りが減った?多分俺がザクザク敵HPを減らしたから?


  『経験値が減っちゃうのは申し訳ないのでやっぱり権利待ちしてますね』


 そう言ってPTを抜ける。

 とは言え争奪戦で勝っても一人で亀を独占している事に変わりなく、何だか申し訳ない気がしてすごすごとバッタフィールドへ移動して剣を水平に振り回すと草刈りの様にバッタ狩りをする。

 あー、サリーが居ないと数が捌けない。しかしその時結構高価な魔力回復薬飲みながらやってたようなあ、サリー。後で何かプレゼントしてお返しして於いた方がいいかな?

 などと考えながら狩りをしていると携帯に電話があった。

 

 「アルバイト?ですか?」


(つづく)

オンラインゲームでは「RMTは犯罪です。」と表示されている事が多いです。俺君は架空の人物です、真似を成されない様お願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ