第14話 最強レンタルミサイル
目を通して頂き有難うございます。
ゲーム内にも装備のレンタル屋さんという商売が有ってもいいと思いました。
『レンタルってシステムがあるんですか?』
本当に様々なシステムが組み込まれたゲームである。どうやらギルドメンバー間に限りそのシステムが利用可能でレンタルすると日割りで僅かばかりの費用を払えば高価な装備でも借りる事が出来き、期間が終了すると自動的に持ち主のイベントリへ戻ってくるので安心なのだそうだ。但し、レンタル中貸した本人のイベントリの1枡が使用中となりロックされてしまうのが少し不便だとか。
馬之助はご厚意に甘させて貰い憧れのランドミサイルを手にする。
ランドミサイル(レンタル)+250,特殊効果 炎・氷・土・風・光属性の5発の魔法ミサイル弾を発射(表記各800,消費MP300/回)”行けミサイル達よ!”のキーワードで発動。5要素のエレメント抵抗が30%上昇。
『サリー、アイスタートル行こ!早く行こ!』
馬之助はサリーを急かす様にテレポートする。
アイスタートルの攻撃権取得合戦は今日も熾烈だった。しかし粘って3時間後に1匹ゲットした。偶々振り回していた先にポップしたというラッキーパンチだった。
”ズバッ”
恐ろしい程の切れ味で亀の甲羅を切り裂いたその攻撃表示を見て愕然とする。
『5万7133! なんだそりゃ?』
『チートアイテムか?』
『おい、良く見て見ろ!あれ準聖剣じゃねえのか?』
『いやーん、お金持ち。私と付き合って~』
残念ながら最後のはクネクネしたマッチョだった。無視!無視である。
1撃でHPの25%を削り取ったランドミサイル。名前の由来であるミサイルも披露する。
『行けミサイル達よ!』
言葉を発した直後、剣は輝き5色の魔法ミサイルが地を這うように自動追尾で発射される。
”ずががーーん” 派手な爆発の割りにはダメージが大した事無かったがそれでも5発全部で4,000近いダメージが入った。これを低レベルの時に使ったら反則だなと思いつつ、MPが枯渇した馬之助はそのまま準聖剣を振るう。
”ズバッ”,”ズバッ”,”ズバッ!”
残り3刀で巨大なアイスタートルを屠った馬之助に周りの冒険者が拍手喝采を送ってくれた。
『すげー!カッコいい』,『アンタが次のチャンピオンだ!』,『きゃー素敵!』
戦い終わってランドミサイルのステータスを調べると全く刃こぼれしていなかった。耐久力は100%のままである。返却時に自動的に修理費用が差し引かれるので大事に使わなくてはいけない。
『全く出鱈目な強さね。でも勘違いしないで?貴方が強いんじゃ無くてその剣が強いだけなんだから!』
ツンデレのフラグなのか何やらサリーが叫んでいる。
『サリー、良かったらMOB狩りをしたいんだけど?』
『仕方無いわね付き合ってあげる。途中オートに入れるかもしれないけど、この子気まぐれだから突然帰っちゃったりしたらゴメンねって先に謝っとく。』
『了解!』
場所を其処から南西の草原地帯に移し巨大なバッファローを狩る事にした。
ここは不人気狩場だがバッファローに紛れている30cmくらいのバッタが殺しても殺しても湧くので高火力職にとってはそこそこの狩場である。バッファローは大型バス程の長い毛で覆われた黒い巨体を揺らしながらのんびりと草を食べている。こいつの糞を踏むとスリップして3秒程フリーズしてしまうので注意だ。ネット情報ではフリーズしている間に踏まれて死亡と言うパターンが多いらしい。
『フレイムランス 扇!』 サリーが5本のフレイムランスを扇型に配置しバッタ達をナギ払って行く。バッタモンスターの正式名称はキラーホッパー Lv101,素早さが特徴の様だ。経験値は二人PTで1匹に付き俺が12,サリーが50である。俺が12って無いよなーっと言うと、
『えっ?経験値倍増持って無いんだ?まあ模擬戦とボスは効果無いからアンタの場合買うだけ無意味かな?でもクエストとかの経験値には効果あるから今度試して見な。』
はい、絶対無理です。それって1か月有効で1個2,000リアルマネー(円)する課金アイテムですよね?そんな金あったら俺は卵と牛乳を買い込みますよ。
さっきのボス戦で二人共経験値バーが100%に近い所まで来ていた。
馬之助もランドミサイルを振り回して秒速8~10匹のペースでバッタ狩りをする。途中邪魔なバッファローはHPが10万って突進されるとソコソコダメージを食らう癖に経験値がバッタと同じと言うお邪魔キャラである。しかしランドミサイルの前に巨体は1撃で真っ二つに割れ其処には”上級ステーキ”1枚と魔核(中)が落ちていた。
10分も狩るとサリーのレベルが101に上がり、その後すぐに馬之助もLv106へアップした。
◇
狩りに夢中になってナンの事をすっかり忘れていた。
1次発酵が行き過ぎてぼわんぼわんになったパン種をオリーブオイルを薄く付けた手で切り分けて形作っていく。これじゃあ2次発酵しても少ししか膨らまず硬いナンになりそうである。ともあれ、作業が終わるとサリー達にお休みを言ってゲームからログオフする。
勝手に秘密結社に行かれると怖いので最近はずーとオートには入れずきちんとログオフする様に心がけている。例えば停電などでログオフの手続きをせずに通信を遮断した場合、自動的にオートモードに切り替わってしまうのは以前馬之助が行動した通りである。
寝る前にネットでニュースを暫く読んだ後ナンを冷蔵庫と冷凍庫にしまって寝た。昼間に食べたスパゲッティーミートソースは細かく切ったニンニクの代わりにチューブニンニクを入れたのでいまいち味が宜しく無かった。まあ食べられるだけ感謝しなくてはね?それにしてもRMT...500億ギールあるから100億位い売っちゃっても良いよね?でも其れでアカウントロックを食らったら?しかし背に腹は代えられぬと昔の人も言っているし...。......しばらくするとそのまま寝てしまった様だった。
◇
(つづく)
ナンはちゃんと作った事無いので、話に書いた事を契機に今度挑戦してみようとまずは粉とイーストだけ買って来てみました。




