第１０話 退社・おはずかしい台詞
目を通して頂きどうも有難うございます。
念の為申し上げますと俺君は架空の人物です。
アイスタートルのボス狩りで出会った二人組は格闘家だという虎亜人の名前を”大牙”レベル80と主に火系魔法使いだという猫の妖精ケットシー。名前が”ねこじゃらしんちゃん”レベルは79だった。アイスタートルを二人で狩るには少しレベル足らずな気がしたので恐らく下見に来ていて偶々我々が善戦しているのを発見し混ざりたくなったのだろうと推測した。
意外とタイガが特殊能力の咆哮でアイスタートルの足止めに役立ってくれた。咆哮中に毛が逆立っているのは芸が細かいと感心してしまう。
ケットシーは魔力の総量が少ないのか頻繁に魔力回復薬を飲んでいたがサラマンダー魔法は300近いダメージをコンスタントに与えてくれた。
馬之助は盾役に集中し、10回に1回攻撃を入れる程度だったが火属性攻撃付与の武器を大層羨ましがられたので照れながらも嬉しかった。
40分掛かってやっと倒した頃にはサリーちゃんの魔力回復薬が残り僅かになった事もありそれで解散となったが皆lvが1個づつ上がった。
所でアイスタートルなど一般的なボスの湧き場所は該当エリア内に4か所あり、ボスの何れか1匹のＨＰが残り20%になった時点で4匹目がポップする仕様となっている。
強引なＰＴだと狩りの途中にメンバーの一人が抜け出して新しく湧く予定場所へ向かい、新しく沸いたボスへと繰り広げられるファーストアタック争奪戦に参加すると言ったＰＴもある。運よくライバルを差し置いてボスへのファーストアタックに成功するとそのボスへの攻略権利の獲得という訳である。
但し近くにいて攻撃を受け続けるか3分に1回は攻撃するかしないとボスの興味が他に移ってしまう。こうなるとボスモンスターはギャラリーを攻撃する様になり攻撃を受けたＰＴへ攻略権が移ってしまい、今度はいくらファーストアタックしたＰＴが攻撃してもダメージを受けない状況になってしまうので相当な装備を有してボスの注意を引き続けれるＰＴメンバーを持たないとそんな芸当は出来はしない。
通常は順番待ちで1日に1匹攻撃権を取れれば上の下と言った所だろう。
さて、帰りに付近一帯を検索して行くとやはり先ほど偶々見つけたアイスタートルは昼間の間にウロウロ動き回ってポップ位置から外れていただけの様でネット検索で出て来た地図の場所には4か所共に２~３ＰＴが待機していた。装備の色からすると鋼鉄装備か昆虫型モンスターの素材装備系が大半で、1チームだけが全員ミスリル系の青銀装備だった。何れのチームも魔導士が主体で盾役が２~３人と言った感じで、つまり俺たちの様に二人でボス狩りへ来ているチームなど皆無であり、大よそ7人～10人編成であったのだ。
馬： 「人増やした方がいいのかな？」
サ： 「経験値美味しく無くなるよ？倒せるなら少人数がベスト。明日までに火属性強化をマシマシしておくから楽しみにして！」
強化？ まあそれで装備が壊れてもそれをフリカケ替わりに美味しいご飯でも食べさせて貰おうかな？
◇
「2年の間、大変お世話になりました。御社で学ばさせて頂いた事をきっと次の職場でも活用して頑張ります。」
「えー、という訳で私としては大変残念な事ですがこの度.........『嘘つけ！順当なら後1年延長契約だったのにお前が次は可愛い女性が良いって会議でごねた事皆知ってるんだぞ？ 嘘ばっかり付いて社会人として恥ずかしく無いのか？！』......という事で最後は関東1本締めで参りたいと思います。お手を拝借。イヨーオ。パン。どうも有難うございました。」
「〇×さん、2次会は？」
「いえ、明日から就活に忙しいのでここで失礼させていただきます。」
おっと俺迄嘘ついちゃった、人の事言えないね？でも角が立たない様に付く嘘は無罪放免って事で。
ちなみに有給が去年の残り分で2日と今年の分10日で12日分余っていたので残り2週間全部休んでやった。申し送り？ 知るか！ キチンと申し送りして欲しかったら法律通り1か月前に通知しやがれ！
次の女性の面接も終わって見たいだし、送別会の連絡後に実は人事上の事は3週間前までは公開できなくて...なんて言ってくるんじゃねえぇーーーーーーーー！
...ハアハァ。
休みを取ったのは顔も見たく無かった事と、せめてもの仕返しの気持ちである。
さて、契約元の会社からは未だ次の面接を言って来ない。
契約期間満期での離職なので特定理由離職者には該当せず3か月の給付制限期間無しで失業保険を受け取れる筈だから焦らなくてもいい。1か月以内に次の面接もあるだろうし其れで決まらなければ失業保険を貰いに行けばいい。但し失業後10日間の待機期間を待たずに失業保険に必要な離職届を請求すると勝手に自己都合退職扱いにされて3か月の待機期間を食らうので要注意だ。
その間の家賃はどうするかって？最悪の場合は市の住宅支援給付窓口に行って借りる。
ついでに言うと職探し中にはアルバイトもする。
よく言われるのが”失業中にアルバイトはしちゃダメだ”である。
基本そうなのだが、雇用保険に加入する条件が1週間に20時間以上若しくは31日以上の雇用が見込まれる事と決められていてそれを超えなければ良い。勿論超えると雇用されたと見なされるので失業保険が出なくなる。
また、雇用と見なされない時間未満の短期バイトはＯＫなのだが気を付けなくては行けないのはハローワークで失業保険給付申請する時にアルバイトの収入は正確に報告する義務があるという事。これをしないと後で給付金の3倍を請求されると言う物凄く怖ろしい罰が待っている。
アルバイトの収入を申請しても失業保険給付＋そのアルバイト金額が職に就いていた時の80%を超えた場合にその分給付が減るだけなのでその辺りは計算してバイトをすれば良いだけなのである。お金のやり取りには証拠が残り嘘を付いてもバレた時のダメージばかりが大きいのでここは正直に攻めるべきだと個人的には考えている。
えっ？ 良くご存じですねって？ いやあ、昔苦しい時があって色々調べたりしましたので（微笑）。
◇
取り合えず派遣会社の担当の方には「又面接が有れば宜しくお願いします」と言った物のプログラム等特殊な技術を持つわけでも無く、かと言ってデザインが出来る訳でも無く、経理は最近コンピュータに需要を取られ、単純作業はロボットに...止めとこう。自分の価値の無さに涙が出て来たから。
そして今日もモニターの電源を入れる。オートで動かしているのだがちょくちょく確認したいという癖でパソコンは入れっぱなしである。ふふふ、ギルドの皆さん。馬之助が■コメントに成り続けたら私は死んだ物と思って下さい、なんちゃって。
中にはＰＣが落ちて勝手にオートのまま飛んでもない所まで冒険しに行ってました、なんて事もよくある話で。
そんな事はさておき遅くにINするとサリーちゃんが待って居た。
『おっそいよ、バカ』
「ごめんよ〇×僕には待っててくれる人がいたんだ...。」
すみません、1回言って見たかっただけです。大人にもなって昔見たアニメの台詞を口にするなんて恥ずかしい。
（つづく）
