表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

第3話「猜疑心」

「今日は、夢を話せますか?」

「一週間も足止めされちゃ、商売上がったりだと思ってたけどね。今日は、大丈夫。ちゃんと覚えてるよ」

「それでは、夢の話を」

「はいよ。気付くと、夢の中で走ってるんだ。何かに追われてるんだね。すぐ後ろに誰かがいる気配がするんで、そう思ったんだがね。それで、街の中を逃げ回ってると、路地に入ってね。こいつがまた、運の悪いことに行き止まりの袋小路でね。これは参ったと思っていたら、頭の上のほうから、声が聞こえてきてね。オイラの名前を呼んでるんだ。そうしてるうちに、不思議と身体が軽く感じられるようになってね。肩の後ろ骨を、背中の骨に近付けたり遠ざけたりしながら、腕で水を掻くようにすると、面白いことに、身体が空に浮かぶんだ。それで、そのまま追っ手から逃げたんだ。そのまま雲の上まで行くと、もう、捕まらないと分かってね。ほっとしたところで目が覚めたってところさ」

「そのお話、確かに見たのですね?」

「あぁ、そうさ」

「そうですか。残念です」

「残念って、どういう意味、どわっ」

「嘘をつくと、どんなに隠したつもりでも、必ず言葉や仕草に現れるものです。失礼とは存知ながら、この一週間、食事の席で、行動パターンを分析し、チックを見抜かせいただきました。その結果、嘘をつくと鼻を擦る癖があると判明致しました」

「痛たたた。やい。何の真似だ?」

「不誠実な人に、饗応は致しかねます。そちらの地下迷路、出口に繋がる正解が、一つだけあります。熟考の上、お帰りください。荷物は、出口に運んでおきます。それでは」

「待て。閉めるな。おい……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ