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第2話「好奇心」

「それでは、夢の話を」

「はい。気が付くと、扉の前に立っていたんです。初めの扉を開けると、そこは豪勢な食事が並ぶ部屋でした。夢の中ですから、いくらでも食べることが出来ました。すべて平らげると、入ってきたほうと向かい側の壁に、煌びやかな扉がありました。その扉を開けると、そこには、宝箱がありました。開けると、綺麗な洋服と、高価な宝飾品が収められていました。壁の姿見で自分の姿を見ると、みすぼらしい格好をしていたので、急いで着替えました。箱の中身をすべて身に帯びると、入ってきたほうから見て右側の壁に、瀟洒な扉がありました。その扉を開けると、沈魚落雁、絶世の美人が手招きをしていました。それで、その」

「お楽しみになったわけですね? 割愛して結構。それから?」

「めくるめくような時間を過ごしたあと、いつの間にか、一人きりになっていました。そして、入ってきたほうから見て左側の壁を見ると、黒塗りの扉がありました。期待を膨らませてノブに手を掛けました。ところが、扉は頑なに閉ざされたまま、ビクともしません。叩いたり、蹴ったり、思いつく限りのことをしているうちに、段々と腹が立ってきました。そして、無理矢理、力任せにこじ開けました。すると、夥しい数の虫が出てきました。扉は壊してしまったので、閉めることは出来ません。戻ろうとしたのですが、壊れた扉のある面以外は、壁しかありません。蝶に、蜻蛉に、蛙に、蛞蝓、蜘蛛。最後には、蛇や蝙蝠まで出てきました。部屋中に生き物が溢れ、息苦しく、視界が真っ暗になったところで、目が覚めました」

「お話は以上ですね?」

「そうです」

「そうですか。それでは、よい旅を」

「お世話になりました」

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