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第1話「執着心」

「それでは、夢の話を」

「はい。坂道を、リヤカーを牽きながら登っていました。坂道は、どこまでも続いていて、先が見えないまま牽き続けるのですが、リヤカーの荷が、徐々に重く感じるのです。坂道の勾配も、心なしか急になっているような具合で。ひっばる私の姿勢は、どんどん前傾し足取りは重くなる一方です。喉も渇いてきました。一体、何を積んだのかと振り返るのですが、見れば大量の札束が、堆く積まれているではありませんか。驚いた拍子に腰が抜けて、その場にへたり込みました。すると、リヤカーは坂を猛スピードで駆け落ちていきました。呆然としていましたが、すぐに水音がすることに気付き、音のするほうを見ると、坂の直ぐ上に泉が湧いているのが分かりました。泉の水を飲め、喉の渇きを癒し、畔の手頃な大きさの石に座り、ぼんやりと下を眺めると、何十人、何百人という人間が、紅顔に汗を滴らせながら、何かに取り憑かれたかのようにリヤカーを牽いて登ってくるのが見えました。一人一人をよく観察してみると、ある人は食糧を、ある人は武器を、ある人はトロフィを山積みにしているのがわかりました」

「……お話は以上ですか?」

「そこで目が覚めたもので。積荷の謎は、判らずじまいです」

「そうですか。どうぞ、よい旅を」

「ありがとうございました」

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