第18話「冒険心」
「それでは、夢の話を」
「うむ。夢の中で儂は、ついに念願の機械を発明することに成功した。その機械というのが、時空を自由に超えられる機械でな。細かい設計上の理論は省くが、とにかく、その機械を使えば、過去も、未来も、遠く離れた地の果てであっても、瞬時に移動できるという訳じゃ。これほど優れた発明品を、使わずに温存しておく馬鹿も居るまい。儂は早速、色んな時代、色んな世界を旅することにした。過去の自分、未来の自分は言うに及ばず、歴史上の出来事の目撃者となり、時には命の危機に晒されながらも、冒険を楽しんでおった。ところが、じゃ。好事魔多しというが、良いことが続くと、悪いことが起きるものでな。突然、機械が故障してしまってな。暴走した機械から振り落とされ、何もない、真っ白な空間に放り出されてしまった。一体どうしたものかと頭を抱えているうちに、意識が呆然としてきてな。気が付いたら、寝台の上じゃ」
「そうですか」
「まったく、世紀の大発明をしたというのに、惜しいことをしたものよ。そうは思わんか?」
「現実化できると良いですね。それでは、よい旅を」
「何にしても、助かったわい。危うく、野垂れ死にするところであったからな。それじゃ、さよなら」




