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第13話「子供心」

「それでは、夢の話を」

「……俺が先に話そうか?」

「わたしが先に話すわ。スミレ、タンポポ、スイセンに、ユリ。気が付いたら昼下がりの花畑に仰向けになっていたの。それが、どこかおかしいの。でも、起き上がったら、疑問が解けたわ。いつの間にか、大人になっていたのよ。手足がスッと細長くて、おなかも、こんなみっともなく膨れてないの。それで、周りのお花を摘んで冠を作ってたの。出来上がって、腕を伸ばしてお日様に向けてたら、ヒョイっと奪われてね。いつの間にか、うしろに立っている人が居たの。すごくハンサムな人でね。花冠をかぶって、おどけてみせるのよ。返して欲しければ、捕まえてごらんって言われたから、走って追いかけるんだけど、全然追いつかなくって。悔しいやら、疲れたやらで、座り込んで泣いてしまったところで、目が覚めたわ」

「そうですか」

「今度は、俺の番だな。ウサギ、フクロウ、キツツキ、リス。気付いたら、森に生えてる大きな樹の上にいたんだ。そうしたら、どこからか話し声が聞こえるんだ。でも、近くに人間の姿がないから、おかしいなって思って、声のするほうをよく見たら、喋ってるのがさっきの動物たちだって分かったんだ。はっきりとは聞き取れないんだけど、ウサギが、面白い冗談を言って笑わせたり、フクロウが。小難しいことを語って感心させたりしてるみたいだった。俺も仲間に入れてもらおうと思って、話しかけようと動物たちの前に出て行ったんだ。ところが、いざ口を開くと、言葉が出てこないんだ。変な鳴き声しか上げられなくって。そうしているうちに、ウサギも、フクロウも、キツツキも、リスも、みんなどこかへ行ってしまうんだ。寂しいやら、やるせないやらで、幹を思いっきり蹴ろうとしたところで、目が覚めたんだ」

「そうですか。昨夜は、華麗な踊りと奇術を披露してくれてありがとう。それでは、よい旅を」

「お礼を言わなくちゃいけないのは、こっちのほうよ。ありがとう」

「この恩は忘れないぜ。ありがとうな」

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