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第11話「愛好心」

「それでは、夢の話を」

「えぇ、夢の中の私は、ヴァイオリニストでした。演奏会が近いので、最後の詰めをしたいと思っているのですが、仔猫がじゃれついてきて、とにかく演奏の邪魔をされました。構って欲しいのかと思って、玩具を渡そうとするのですが、嫌がって受け取らないのです。そうかといって、無視して練習を続けると、スラックスを引っ掻く、譜面台を倒す、背中に飛びついてうしろ襟やタイを引っ張る。とにかく、ありとあらゆる手を使って妨害してくるのです。集中して演奏できなくて、ほとほと困りました。ひとしきり暴れたあと、鳴きながら擦り寄ってきたので、餌をやったのですが、これが少しも食べないのです。苛ついてきましてね。部屋から追い出そうとするのですが、なかなか捕まりません。やっとの思いで捕まえても、ドアや窓から放り出した瞬間に駆け戻ってきて、閉まる寸前の隙間から進入してしまいます。打つ手がなくなったので、演奏の練習を諦めて、ヴァイオリンをケースにしまうと、大人しくなりました」

「お話は、以上ですか?」

「えぇ。仔猫にとって、弦楽器の音が耳障りだったのでしょうね。猫の気持ちなんて、人間に分かるものではないでしょうが」

「そうですね。それでは、よい旅を」

「おもてなし、ありがとうございました」

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