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第10話「探究心」

「それでは、夢の話を」

「はい。これでも、陶器職人の端くれですから、夢の中でも、創作に励んでいた訳です。茶碗を作っていました。ひたすら、土を捏ね続けて、程良い硬さまで練り上げ、轆轤を使わずに、己の手だけで茶碗を成形し、窯に火を入れ、まずは低い温度で素焼きをし、それが終われば、釉薬掛けと陰干しを繰り返し、今度は高い温度で焼成します。焼成中に釉薬が溶けたところを見計らい、窯から引き出して冷やします。土の捏ねが足りなかったり、成形が甘かったり、窯の温度が高すぎたり、低すぎたり、釉薬が足りなかったり、乾ききっていなかったり、窯から出すのが早すぎたり、遅すぎたりしたり。どれか一つの工程が疎かになれば、納得のいく作品は仕上がりません。作る品が、花入れにしても、水指しにしても、香炉にしても同じです。とにかく、何度も、何度も、挑戦を続けました。気泡が入ったり、罅が入ったり、色艶がくすんだり。何度も、何度も、失敗をしました。次第、次第に、ここは、こうしたらよかった、あんなことをしなけれはよかったと、反省点が見つかり、最後に挑戦した作品を、窯の中から出す寸前で、目が覚めました」

「そうですか。職人の目で見て、この森の土は、いかがですか?」

「率直に申し上げますが、焼き物には不向きかと」

「なるほど。それでは、よい旅を」

「何とお礼を申し上げてよいか、感謝の気持ちでいっぱいです」

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