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一話目 「不吉な夢」

俺はなぜ倒れこんでいるのだろうか。

熱い....何かが燃えているのだろうか。肌が焼けそうだ。


「に、逃げろぉぉ!」


遠くから悲鳴が聞こえる。何かから逃げているようだ。


「ノア君っ!ノア君ってば!早くしないとみんながっ!」


自分の肩を揺らしながら、語りかけてくる。この声は.....


「きゃっ!」


何かが爆発したような音が鳴り響く。気づくと自分へ語りかけていた少女はばたりと倒れた。


意識が朦朧としてくる。俺はこのままどうなるのだろうか。意識が途切れそうになったその時、誰かがこちらへとこつこつと歩いてくる音が聞こえる。


一体誰なんだろうか。


最後の力を振り絞って、顔を上げるとそこには一人の少女が立っていて


「貴方しか生き残ってないのね....大丈夫かしら?私の名は○○○○よ」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー








「ノア君っ!ちょっと、ノア君ってば!」


うるさい、こっちは寝てるんだ。もう少し静かにしてくれ。


そんな俺の心の叫びを無視するように、俺の幼馴染、シーナ・マルティネスは俺の肩をぐいぐいと揺さぶってくる。


「早く起きないと先生が!」


ん?先生がどうし


「ノア・ロペス!なんで君は何時も私の授業のときにだけ居眠りをするのですかっ!?」


「がはっ!」


大きな声聞こえたので、顔を上げたら丁度先生の投げたチョークに直撃した。

痛い。これ体罰で訴えられない?まぁ、居眠りしてた俺も悪いんだけど...


はぁ、まだ眠気が取れてないので適当に返事しとこう


「すいませーん」


「ふん、まぁいいでしょう。次からは注意するように。では、授業を始めます」


ちょろい。まぁ、こっちにとっては好都合だからいいんだけどさ。


「じゃぁ、前の授業の復習です。今から数百年前に起こった第二次人魔大戦で人族は負け、魔族に領地をほぼすべて奪われました。いま残っている人間の領地はここの集落しかありません。はい、質問はありませんか?」


今は歴史の授業。先生が言った通り、そう、俺たちのご先祖様は戦争に負けて、魔族に領地をほぼすべて奪われてしまったんだ。まぁ、自業自得のようなもんだけどな。


三千年ほど前、人間と魔族は小競り合いをしているだけだった。魔族は魔法が生まれたときから扱えたが、人間にはそれができなかった。人族は代わりに優れた武器などを製造して対抗していたのだが、魔法の力の方が圧倒的だったんだ。それで魔法には単なる武器では対抗出来ないと思った人々は魔法を扱う手段を作り出そうとした。人間は体内に魔力がないので、魔法が普通に使えない。なので空気中にある自然の魔力を扱おうとして生まれのが「魔術」だ。魔術ができたことにより、人魔同士の小競り合いは本格的な戦争へと変わりつつあった。人間と魔族はそれぞれ競い合うように、魔法と魔術の鍛錬、進化をしてきた。そして、約二千五百千年ほどまえに「第一次人魔大戦」が始まった。結果は人間の勝利。魔族の王である魔王を討ち、人間と魔族で分かれていた世界を統一した。


「えーと、それで第二次人魔大戦で人間が負けた理由はただ一つ.......魔術です」


そう、第一次人魔大戦後、平和になった世の中で魔術は次第にその存在価値を失っていた。魔術でも一通りの作業などはできたが、本来の目的である魔族に勝利したことで人々は魔術を捨て、科学の道へと走った。魔術よりも科学の方が人間たちにとっては効率が良かったんだ。だが、科学の力を発展させすぎた人間は魔術を完全に忘れてしまった。魔族に対抗できる手段が魔術だけだと言う事も忘れて。そして五百年ほど前に、魔王が再び現れた。魔王は普通死ぬと、魔王の血筋の者がその地位を引き継ぐらしい。だが、後継ぎがいない場合は、数千年後に突如として新しい魔王が生まれる。突如に現れた魔王は自分の眷属を大量に造り出し、人間へ戦争を仕掛けた。人間は科学の力で抵抗はしたが、魔族には効かなかった。それから数年で瞬く間に人間の領地はすべて魔族に奪われてしまった。山奥、そうここの集落に逃げ込んだ人間はこの数百年間で科学の力を捨て魔術をまた復興させた。魔族に復讐するために。


ここに居るすべての人間は魔族を殺すために訓練されてきた。この学校も魔族に対抗する術を教え込むためのものだ。


無論、俺のその内の一人。魔族を倒すために生まれ、訓練し、魔族を倒すためだけの術を学ぶ。

それがここ、人族最後の領地「ハルマゲドン」


「それでですね、そのあとに起こったのが....「授業中すいません!直ちに広場に集まってくださいっ!」


一人の男が勢いよく扉を開けて教室へと入ってくる。


「どうしたんですか?今はまだ授業中で「そんなことはどうでもいい!早く集まるんだっ!」


広場に招集がかかることなんて滅多にない。

居心地の悪い緊張感の中。俺たち生徒は教室を出て、広場へと向かった。










広場へ着くと、大勢の人がいた。どうやらこと集落の人間全員に招集がかかったみたいだ。人々が混乱している中、一人の男性が台の上に立ち、喋り始めた。


「よく聞けっ!我が同士達よっ!我々は魔族に対抗するために日々日々努力を重ねてきたっ!どうやら魔族達も焦ったのか、この近くにある集落に兵を送っていた。数は精々二百。それに対して我々は二万!我々に敗北はないっ!今こそが、魔族に復習する時だぁあっ!」


「「うぉおおおおおお!」」


歓声が上がる。どうやら、本格的に魔族に戦争を仕掛けるようだ。偵察によればこの近くの集落を見ると、文明差はそこまでないようだ。そして、こっちには二万の兵ある。この近くの集落を占領できれば、活動地域を広められ、さらなる戦力増加もできるかもしれない。この戦争...勝てるかも?


「出陣は明朝六時!今こそ、我々人間に祝福あれっ!」


「「祝福あれっ!」」


沢山の歓声の中、俺は今日見た夢を思い出した。


.......


単なる夢だろ。


人々が解散した後、俺たち生徒は教室へと戻った。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー









その様子を見ているひとりの魔族がいた。


「ウィル様に報告しなくては、ふひひひひ」


不敵な笑みを浮かばせながら、闇の中へと沈んでいった.....





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