55話 あらあら、加速装置ですって
ネズミ隊の思惑通りに、事が運んだことは僥倖だったわ。
ウフフ、個人的には三途の河を見た気がしたけれどね。
ルバー様の計らいで、バラバラになった王家の秘宝“雷鳴の首飾り”で進化を遂げたわ。
はぁ〜……順番は、大吉・吉・中吉・末吉・凶のおみくじ並びでして行ったのね。
忠凶が無事進化を遂げたのが夕闇を通り過ぎ、深夜に差し掛かる時間帯だったわ。
私は新生ネズミ隊を見届けて、意識を手放したの。
『忠凶……姫様はまだお目覚めになられないかぁ〜』
『まだだよ』
『忠末……マノア様はお目覚めになられたかぁ〜』
『まだだよ』
『忠中……青様はお目覚めになられたかぁ〜』
『まだだよ』
『忠吉……エディ様とホゼ様はお目覚めになられたかぁ〜』
『まだだよ』
『『『『忠大が五月蝿い!少しはジッとしていろ!』』』』
『ウッ』
「ウフフ、今起きたわ」
「わたしも起きた!」
「私もです」
朝から面白いモノを見せてもらったわ。
右往左往する忠大は、進化しても何も変わらないのね。
安心したら、眠たくなっちゃったわ。
「ナナちゃん! 寝ないで!」
「青ちゃん……無理……フニャ〜」
そんな事を言われても眠たいものは眠いわ〜、と口には出さなかったはずなのに、スッカリ青ちゃんには見抜かれたわね。
布団を剥ぎ取られ、コチョコチョされてしまったの。
流石に起きるわ!
起こし方としては完璧ね。
さて、本日の朝食は和食だったわ。
鯵の開きに豆腐の味噌汁、味付き海苔に春雨と胡瓜の酢の物。
そして、ホカホカの銀シャリ。
パーフェクトな朝ごはん。
身も心も癒してくれる味に、あぁ〜日本人っていいなぁ〜と実感したわ。
食後のお茶を啜っているとノジル様から、本日の予定を聞いたの。
「ナナちゃん。シュードから何だけれど。教室には行かずに直接、闘技場へと行ってくださいと言付けを受けていますわ。他の皆さんは教室で授業があるようですわよ」
「え! 母さん。俺たちも見たい」
「う〜ん……、私の一存では何とも言えないわね。先生に聞いてごらんなさい」
「は〜い!」
「さぁ、そろそろ行かないと遅刻しますよ!」
「「「「「行ってきま〜す!」」」」」
闘技場の前でみんなと別れて、私だけで入ったわ。
中では凄い事になっていたの。
お父様は勿論のこと、イヴァン様、マギノ様、ベルネ様の4貴族揃い踏み。
王様に王室職員、ギルド職員と勇者の面々。
そしてなぜか、身なりが豪華な豪商の方々まで居る始末。
観客席は満杯ですわ。
「ルバー様。あちらの方達はどなたですの?」
「あははは〜、はぁ〜。昨日の進化の話を聞き付けた人達だよ。ナナくんが気になるようなら、全員出すが」
「いいえ、結構ですわ。隠してもすぐバレることですし。それに……私達に手を出す……幾つの命が必要なんでしょうかね。ノホポロス様。貴方様の情報は得ていますわ。勇者を金で買い。ルバー様に嗾しかけましたわよね。そして完膚無きまでに返り討ちにあった。私達、異世界人に手を出すと、返り討ちだけでは終わらないかもしれませんわね。ウフフ、棺桶に入りたいのならいつでも言ってください。お手伝いは厭いませんわ。オホホホホ!」
名指しされた豪商は、忌々しそうに私を見ていましたね。
屁でもないわ!
「で、何を知りたいのですか?」
「もちろん、進化したネズミ隊の確認だよ。雷属性の魔術は5個しか無いんだ。その内の1つは身体強化系で、4つが攻撃系。僕しか居ないから、どんなモノか見た事が無いんだ。よろしく頼むよ」
「もちろん、それは……大丈夫?」
『はっ。何をお見せ致しましょうか?』
忠凶が闘技場のグラウンドへと進み出たわ。
そこに待ったがかかったの。
ちょっと待った! とね。
『待ちニャ。雷属性の威力が知りたいのなら、対戦すればいい。ネズミ隊も使い勝手を確認したいなら、実践に勝るものは無いよ。どうだい? あたしと一戦やろうニャ!
そうだねぇ〜。あたし対ネズミ隊。あんたらは雷属性だけであたしは水属性だけの、変則マッチと行こうじゃないかぁ。負けないニャ!』
開いた口が塞がらないわね。
で、絡まれたネズミ隊は……。
『願っても無い事で御座います。やるからには負けませんぞ!』
はぁ〜。
属性が増えると脳筋になるのかしら?
トホホと困っていると肩を叩かれたわ。
振り向いて見ると、ルバー様だったの。
「簡単でいいから、説明を頼むよ」
「そうですね。簡潔に言いますと、ロクが水属性だけ対ネズミ隊が雷属性だけの試合をして、威力だったり操作性を確認してはどうかと言っていますわ。ルバー様、許可願いますか?」
「本当かい? ! 頼めるんだね! こちらからお願いするよ」
「はぁ〜。ロク、大丈夫なの? 1対5よ。しかも属性的にも、ロクが不利じゃない。本当に平気?」
『大丈夫だワン。確かに不利だけれど、不利じゃないワン。属性も魔術の使い方もロクの方が上ワン。昨日今日、得た属性をネズミ隊がどこまでモノにしているが勝敗のカギになるワンね』
「なによハチったら、解説者気取り? みんな怪我だけはしないでちょうだいね」
『はいニャ』
『『『『『はっ』』』』』
ロクの提案で試合をする事になったわ。
でもその前に、新しくなったネズミ隊のステータスを公開するわね。
(初期値)
忠大・忠吉・忠中・忠末・忠凶 Gランク
【忠大】オス Gランク
《配下魔獣 ケナガネズミ》
HP=2000
MP=2000(忠凶だけ4000)
STR(力)=1000
VIT(生命力)=2000
DEX(器用さ)=1500
AGI(敏捷性)=2000
INT(知力)=3000
《魔術=黒属性》
ダークボール(黒)
ダークシールド(黒)
ザイル(黒)
ヒプノティック(黒)
ロック(黒)
《特殊魔術》
魔獣化
《スキル》
影法師・意思共通・走破・完全擬装・気配察知・魔力察知・絵心
次が進化したステータス。
忠大・忠吉・忠中・忠末・忠凶 Eランク
【忠大】オス Eランク
《配下魔獣 鬼鼠》
HP=3500
MP=6000(忠凶だけ6500)
STR(力)=1500
VIT(生命力)=2000
DEX(器用さ)=2000
AGI(敏捷性)=5000
INT(知力)=5000
《魔術=黒属性・雷属性》
ダークボール(黒)
ダークシールド(黒)
ザイル(黒)
ヒプノティック(黒)
ロック(黒)
ブラックホール(黒)
加速装置(雷)
雷喜(雷)
雷怒(雷)
雷哀(雷)
雷楽(雷)
創造(無)
《特殊魔術》
魔獣化
《スキル》
影法師・意思共通・走破・完全擬装・気配察知・魔力察知・絵心
こんな感じに変わったわ。
何より目を引くのは、敏捷性と知力の高さよね。
ロクやハチに引けを取らないの。
本当に大丈夫かしら?
「ナナくん。済まないが魔術を使った場合、その名称だけを言ってくれ。それだけでいいよ。他の説明などいらないから。どうも、集中して見ていないと動きが追えそうにない」
ルバー様がそんな風に言うと、お父様も大きく頷いたわ。
私こそ大丈夫なの? との不安を読み取ったハチが僕に任せて! の顔をしてくれたの。
ある意味、安心ね。
「さて、ナナくん! 試合を始めてくれ!」
テンションMAXの人など放置して、私はロク達を見たわ。
「ロク、忠大、忠吉、忠中、忠末、忠凶の魔獣化を許可します。怪我などしない様に、思う存分楽しんでちょうだいね」
『分かったニャ。魔獣化!』
『『『『『はっ。魔獣化!』』』』』
私の許可で魔獣化を始めたの。
ロクは美しい獣クロヒョウへと変わったわ。
あら? 小さい? 縮んだ?
不思議な顔をしている私に、お父様が説明してくれたの。
「ロクは毎朝、スキルの鍛錬や魔術の精査をしているんだよ。そのおかげで、無駄な魔力を抑えられる様になった様だね。少し小さく見えるのは、魔力の流れを完璧にコントロールしているからだよ」
『さすが、ガロスだワン。僕も毎朝しているワン!』
「まぁ! そんな事をしているのね。だったらネズミ隊は、何をしているの?」
『彼奴らは偵察ワン。自分達の役割をしっかり理解しているんだ。ただ……今度からは朝トレに参加させる方がいいかもね』
ニヤリと笑ったハチが、怖かったわ。
その、当のネズミ隊の姿は。
「キャ! ピ、モゴモゴ」
「マノア! それを言ってはダメだ! ! !」
「みんな? !」
悲鳴と共に現れたのは、クラスメイトのエディ達。
マノアはホゼに羽交い締めにされ、エディからは口を塞がれていたわ。
詳しく説明してくれたのは、もちろん青ちゃん。
「エディとマノアが、進化したネズミ隊ちゃんが見たいと言い出して。1時間目の授業も魔術と魔獣だったから、実際に見て見ましょう。と、言う事になりココへと来たのよ」
「僕が許可したんだ。生で見れる素材は、その目で見るに限るからね」
ドヤ顔で偉そうに話したのがルバー様。
全く余計な事をしたものね。
はぁ〜、癒しのネズミ隊が恐怖のネズミ隊に変わらなければいいんだけれど。
私の右隣にはマノア、ホゼ、エディ、ユント先生の順番で座ったわ。
マノアの横にホゼが座ったのは……よね。
右隣はルバー様とお父様が座って、後ろにハンナが居たわ。
準備万端ね。
グラウンドではクロヒョウのロクと、膨よかな電気ネズミもとい鬼鼠のネズミ隊が対峙していた。
『さぁ、始めるニャ。かかってきなぁ』
『では、遠慮なく行かせて頂きます。やるぞ!』
『『『『オー!』』』』
ネズミ隊の掛け声が合図となり、散らばったわ。
私が確認できたのはココまでね。
後はハチの説明を受けながらお話しするわ。
だって、ロクは中央でじっとして居るのに対して、ネズミ隊は絶えず動いていて見えないんですもの。
「ネズミ隊が魔術“加速装置2”を使いました」
「なぁ〜にぃ〜! 加速装置2だと……昨日の今日だと言うのに使えるのかぁ!」
ルバー様の話によると、魔術“加速装置”は身体強化系の技でスピードアップするんですって。
5段階あって、自転車から飛行機までの速度差みたい。
1が自転車で、2が原付で、3が車で、4が新幹線、MAX5が飛行機と思ってくれたら理解しやすいかしらね。
あくまでも、私が話を聞いて感じた速度を表現しただけよ。
ルバー様が、自転車や飛行機と言った訳ではないことを添えとくわ。
だって、説明が「歩くスピードより少し速くて、もう少し速くて、凄く速い」これで分かる方が不思議よ。
それにしても、この“加速装置”なんだけれど、ルバー様でも2が限度のなの。
あまり速いと思考が付いて行けず、事故るみたい。
普段は1止まりみたいよ。
その、魔術“加速装置”の2を使いこなしているネズミ隊に、驚いた様ね。
で、今どんな状況かと言いますと。
『フン。なかなか、やるじゃないの。加速だけならあたしより速いかもね』
『ありがとうございます。ですが、まだまだ行けますぞ!』
『『『『はっ』』』』
そう言うとネズミ達の口から加速装置3の声が聞こえたわ。
もちろん報告したわよ。
皆んなから返事が無かったけれどね。
ハチの話だと。
ネズミ隊の素晴らしい連携と、ロクの神業的な回避の闘いらしいわ。
目視、出来無いんだけど。
私からは、真ん中でロクが左に右に上から下へと避ける姿しか見え無いのよ。
素朴な疑問をハチにぶつけて見たわ。
「ねぇ、ハチ。ロクは何の魔術を使っているの?」
『何も使って無いワン』
「何も? ! じゃ、どうやって避けてるのよ」
『肉体? 言語?』
「……意味わかん無い」
そんな会話をしつつグラウンドを見ると、第1ラウンドの終了を告げる鐘が鳴ったわ。
実際には土煙だけどね。
『まだまだ、甘いニャ!』
ロクが叫んで、宙返りしたの。
そのままの勢いで着地したわ。
すると左前足に忠凶、右前足に忠末、左後ろ足に忠中、右後ろ足に忠吉を踏みつけていた。
そして、忠大を尻尾で吹っ飛ばしたの。
加速装置3の強さで壁に激突したわ。
ボコ!
嫌な音が響いた。
砂煙が収まり、漫画みたいなぺったんこな忠大が! と思ったのにピンピンした姿で着地したの。
平気みたいね。
勝敗はロクの勝ちってとこかしら?
間髪入れずに、第2ラウンドへと突入したわ。
『次は魔術を使うよ』
『はっ』
言葉と同じ位の速さで、ネズミ隊がまた拡散した。
何処に誰が居るなどと聞か無いでね。
分かんないから。
でも、今度はバチバチと小さな稲光が場所を教えてくれていたわ。
忠凶だけは何となく分かるかしら?
稲妻が少しだけ大きいもの。
「ネズミ隊は魔術“加速装置3”と“雷喜”を使いました。ロクは……まだ何も使用していません」
「……!」
ルバー様の驚きの顔は、鳩豆の顔ね。
鳩が豆鉄砲を食ったよう、のアレ。
魔術“雷喜”は、まんまサンダーボールね。
今のサイズは金柑ぐらいの大きさで、ロクを狙って四方から発射されているわ。
加速装置3のスピードで、繰り出される技は弾丸の様な速さなの。
それを避けるロクって凄いわ。
でも……いま放った特大晩白柚サイズのウォーターボールはホームランになっちゃったけれどね。
それでも、ロクは避けながら金柑サイズのウォーターランスを繰り出しつつ牽制しているわ。
忠末が直進してきた。
ロクはウォーターランスを繰り出し忠末の足を止めた様に見えたわ。
けれど実際には止まらず、左に避けただけ。
その避けた先から、忠凶が雷喜を発射していたの。
あ! と思ったら、尻尾を使ってウォーターボールを出して相殺したわ。
間髪入れずに、ウォーターウィップで忠凶を打ち付けた。
右からは忠中が魔術“雷怒”を放った。
ワンテンポずらして、忠吉も同じ技を使ったの。
この雷怒と言う魔術は、雷の槍で貫通性があるみたい。
2本の槍がロクを襲ったわ。
当たる直前、格子状のウォーターウォールを出したの。
「そんなんじゃ、通過しちゃう!」
思わず口から出てきてしまったわ。
焦る私を他所に、笑いながら説明してくれたのはルバー様。
「あははは、大丈夫ですよ。と、言うよりロクくんは素晴らしい。ウォーターウォールをあんな使い方をするなんて。アレはね。電気の性質をよく知ってるウォールの出し方。皆んなも目に焼き付けておくことだよ。水と電気は相性的に悪い。水は電気を通してしまう。ココでは、通すと言う表現は正しくないなぁ。吸収してしまう、がいいかもしれない。格子状にする事で、前方が見渡せ尚且つ雷怒をウォーターウォールに吸収させる。素晴らしい技のアレンジだね」
「おぉ〜」
どよめきが起こったわ。
確かに凄いわね。
同じ魔術でも使い方1つでこうも変わるの。
私にも魔力があれば、と思ったけれど無い物ねだりしても仕方ないわね。
第2ラウンドも最終局面に到達した様よ。
ウォーターウォールを解除したロクは、忠中と忠吉の右側に夏蜜柑サイズのウォーターランスを放った。
もちろん、左側に避けた忠中と忠吉。
4匹が1つに固まったわ。
その真上に、忠大が飛び上がり叫んだ。
『雷楽』
魔術“雷楽”は雷鳴なしの雷なの。
特大の雷が、ロクに落とされたわ。
避けると思っていたのに!
その身に……受けた。
「ロク!」
『なかなかの痺れ加減だよ。コレでもくらいなぁ! ウォーターウィップ! ……とどめだよ、ウォーターボールじゃなかった、ウォーターリキッド!』
悲鳴を上げた私に対して当のロクは、強がりな表情で宣ったわ。
そして、最後に放った魔術は“ウォーターボール”なの。
始めにホームランした魔術はこのとき用の為だったみたい。
でも大きさが、尋常じゃない代物だったの。
あれ?
今、ロクは魔術“ウォーターリキッド”って言わなかった? ?
驚いている私に、ハチが説明してくれたわ。
『始めに投げたウォーターボールだけどウォーターボールじゃないんだ。ウォーターリキッドなんだワン。アレはスキル“闘気功”で薄い膜を作って水の魔力を丁寧に練り合わせた、特製ウォーターリキッドなんだ。おそらく……終わったワンね』
「なに、その含みのある言い方。気になる!」
その言葉通り、忠大を含めた5匹が折り重なる様になり上を見上げた。
ロクが放った魔術は“ウォーターリキッド”は破裂するタイプの技では無くて、中に取り込みタイプの技だったみたい。
だからこそ、ロクはバラバラに動くネズミ隊を一箇所に集める必要があったのね。
でも、水属性の魔術。
雷属性のネズミ隊では“雷喜”1つで破られそうだけど……あれ? もがいてる? 苦しんでいる?
私を乗せたハチが動いたの。
壁を乗り越え、宣言したわ。
『試合終了! ロクの勝ち!』
「え? ……あ! 終了! ロクの勝ち!」
『解。どうだい? 雷が効かない水もある事を頭に入れときニャ』
『『『『『はっ』』』』』
「誰か説明して! !」
思わず叫んだ所で、ルバー様達もグラウンドに降りてきたわ。
「おそらく……いや、ここは明確な答えを聞きたいね」
お父様は顎に手を当てながら思案中。
ルバー様は思い当たる事があるみたいだけれど、ロクの口から聞きたいみたい。
さて、どんな解答なのかしらね。
「ロク、アレは何?」
『アレは、魔術“ウォーターリキッド”を丁寧に練り合わせ純水な水にしたニャ。純水は電気を通さないからね。ただ練り合わせるのに時間がかかるニャ。ネズミ隊の速い動きには驚かされたけど、それに頼ってはダメだね。雷属性の魔術を考査して、鍛練しないといけないよ』
『『『『『はっ。肝に命じます』』』』』
呆れるわね。
どんな師弟関係なのよと、思いつつもみんなが無事でホッとしたわ。
ルバー様にロクの話をしたの。
すると驚くと言うより、関心しきりな溜息でマジマジとロクを見たわ。
「はぁ〜、君は凄いなぁ。もちろん、ハチくんも忠大くんも忠吉くんも忠中くも忠末くんも忠凶くんも、みんな素晴らしい! ガロス、魔獣とはこんなにも知性が高い生き物なのかぁ」
「俺も、それは考えていた。今日の事をもう一度、考査し直そう」
「そうだなぁ」
グラウンドに降りて来た人達。
ルバー様、お父様、クラスメイト、ユント先生にハンナ。
みんながみんな、関心しきりな顔をして闘技場を出て行こうとしていたの。
そこに、忠大が走り込み。
私の前で訴えたわ。
『お待ち下さい! 姫様! ルバー様にお伝え下さい。魔術“想像”には、雷属性と相性が良く、枝分かれした魔術が御座います。ご覧に入れますので、暫しお待ち下さい』
「本当なの」
頷く、ネズミ隊。
私はルバー様に急いで声をかけたわ。
「ルバー様!待って下さい! ネズミ隊が、忠大が言うには魔術“想像”に枝分かれした魔術が有るみたいです。少し待って下さい!」
私の言葉で、みんなの動きが止まったの。
壊れたおもちゃの様に、ゆっくりこちらを向いたわ。
「ナナくん……今なんと言ったかなぁ?」
「ですから、魔術“想像”は雷属性と相性が良いみたいで、分岐した魔術が有る……のよね?」
『はっ』
「有るみたいです……わ!」
驚いたのなんの!
だって、私の腕を掴み揺さぶったんですもの。
「ル、ル、ルバー様! やめて〜〜!」
助けてもらうべくお父様を見たのに!
当のお父様ったら、惚けた顔をしてネズミ隊を見るばかり。
誰か助けて! !
ネズミ隊VSロクのバトルでした。
ここで訂正させて下さい。
【ロク】メス Cランク
《配下魔獣 黒ヒョウ》
HP=4000
MP=8000
STR(力)=1500
VIT(生命力)=2000
DEX(器用さ)=1000
AGI(敏捷性)=2000
INT(知力)=1700
このロクのステータスを変更させて下さい。
【ロク】メス Cランク
《配下魔獣 黒ヒョウ》
HP=6000
MP=8000
STR(力)=5000
VIT(生命力)=5000
DEX(器用さ)=2000
AGI(敏捷性)=4000
INT(知力)=3500
ネズミ隊のステータスを決めた時、ロクのステータスの見劣りしてしまい……すいません。
次回予告
「凄かったわね。ナナちゃんの手下は」
「ベルネ。手下では無いと思うぞ」
「あら? マギノ、だったら何よ」
「私は家臣だと考えるが」
「確かに……イヴァンの意見を採用するわ。で、次回予告誰がするの? 私達の出番ここで終わり?」
「「……」」
「誰か何とか言って! !」
「俺がやろう。次回予告。ネズミ隊から齎された魔術“創造”から分岐した魔術が、ガラスの運命を変える。どんな魔術なのか! 未来が変わる布石になる……見逃せない未来がここにある! !」
「「「王様!」」」
お喋りが無かった人達に、喋って頂きました。
最近は土曜と日曜はサン&ムーンをしていまして、少しだけ遅れるかと焦りましたね。
でも、間に合って良かった!
また来週会いましょう!
次も間に合わせてみせます!




